『古書月報』より転載    せと
 『古書月報』は東京古書組合の毎号とても面白い一応非一般公開な機関紙です。「支部喫茶室」という組合員による自由コラム欄があり、稀に作文の任をいただきます。8月号のぼくの迷走を10月号で信天翁センパイが続けてくださり奇妙な連作となったのでセンパイの許可をいただき転載いたします。



『古書月報』2023年8月号より
依頼テーマ「コロナ明け?これからの古本屋について」

『よいお年をお迎えください。ブログ「往来座地下」より』
古書往来座 瀬戸雄史


12月22日月曜日
 11時に「見せ」に出勤して開店作業。「店」がお客様に本を見せるだけの「見せ」になって約5年。昔の概念で言うと博物館みたいなもので、入場有料1200円。今日最初のお客様は1冊12万円(25%の税込)の文春文庫『鬼平犯科帳』をご所望のご常連Kさん。先日奇跡的に板橋区の蔵から見つかった第7巻をショウケースから出してご鑑賞いただく。

12月23日火曜日
 午後、昨日Kさんがご購入くださった『鬼平』をポストドローン(通称「クロトンボ」)に載せて空に投げる。クロトンボは人類が文庫1冊を「重い」と主張するようになった昨今での郵送方法。貴重な骨董品である「本」という物体を傷付けぬよう頑強なダンボール箱をぶら下げてお客様宅の屋根の上まで空を舞う。
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12月24日水曜日
 出勤してUNIB(ユニーブ:旧「日本の古本屋」。名称が冗長で古臭くてダサい、というヤングの声を受けて変更された。「UNION、UNIQUE」+「BOOK」)からの発注に対応。登録すればすぐに売れる二十三万円の角川文庫『三毛猫ホームズの推理』を梱包、クロトンボ発射。
 夜、母親から小包が届く。板橋区で採集されたDMを送ってくれた。コロナウイルスが駆逐されたと人類が安心しきっていたところへ土中に隠れていた最後の一株が自衛隊の核研究施設に侵入、核融合しコロナムウイルスとなり大爆発、人類の人口を3分の1に減らしたのが四年前。2年後、コロナム陽性だった小学2年生のタカシ君が板橋の公園で何気なく飲み込んでコロナムの疾患が徐々に緩和したことにより世界中がその採集に躍起になったDM(ダンゴムシ)。それからは1日2粒のDMを摂取することを政府が国民に義務付けたがほとんどが養殖DMであり、母親がこの効能の強い板橋産野生DMをどうやって入手したのかはわからない。そうか今夜はクリスマスイブだった。

12月25日木曜日
 鼻腔に詰めていたエアマスクの調子が悪い。絶えず鼻から下へ送風して口からのウイルス侵入を防ぐ超小型扇風機だが、残念ながら寿命は半年ぐらいのようだ。役所のコロナム科で新しいものに交換してもらおう。ハーバード大学人体研究所の調査によって日常的に5年以上使い続けると耳介構造を前方に倒しダンボ形に変形させてしまうと判明したゴムひも付きの口に被せるマスクなんてもうイヤだ。
 出勤してダンボール箱折りたたみロボット・ダンタムを起動。「ヘイ!ダンタム」と声をかけると充電器から立ち上がって目の前に積まれた空きダンボールを潰してたたんで縛ってくれる。以前よりめっきり数は減ったが1年間溜めると30個ぐらいにはなる空きダンボール箱をごみ集積所に運べばよいだけの状態にしてくれてとても便利。
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 雨雲レーダーや過去のデータからの予測ではなく冥王星に住み地球の天候を支配指定している生命体ライジーンと直接交信することによって2日後までの確定した天気を知らせてくれる店舗用品「レインボーイ」によると明日の年内最終営業日は快晴とのこと。
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12月26日金曜日
 出勤してUNIB発注を処理をしていると入店券を購入する直前の年配女性から受け付けにいたぼくに声がかかった。「入る前に訊いときたいんだけどエホンある?」ああ、リサイクルショウルームにはそのコーナーもあるので勘違いなさっているのだろう、ぼくは「すみません、うちエアフォン扱ってないんですよ」。すると意外な応えが返ってきた。「エフォンじゃなくて絵・本、ここ本の『見せ』なんでしょ?」「あ、すみません!180万円の『100万回生きたねこ』だけ、ネットにまだ登録してないのがあります」「きゃー探してたのよそれ観せて!」
 ありがたい最終営業日になった。テラミクロデータチップを眼底に染み込ませる目薬を差すと、昔はスマホと呼ばれた通信機器の画面が視野右上の中空に浮かび眼球の動きとまばたきで操作できる「エアフォン」、略して「エホン」と「絵本」の聞き間違いはまだたまにある。
 夕方にいつもよりちょっとだけ雑巾を広く使うだけの大掃除を済ませて見せを閉める。2006年に前店主が始めたこのブログ「往来座地下」を「店」と同時に引き継いでから早10年、2043年が佳い年でありますように。





『古書月報』2023年10月号より
依頼テーマ「店のBGM」

『Inspired by August 2023』
古書信天翁 山崎 哲


「2023年山の日、西早稲田2-9早稲田通り沿い、同時刻」
 と声に出すとピアスポッズがリクエストに応じて通りの喧騒が聞こえ始める。
自動車のエンジン、バスのウインカー、人通り。最近のお気に入りだ。ぴあポにしてからというもの特に音楽は聞かなくなった。
 日時と場所を指定するとAIが膨大なデータから天気や風土、その時起こった出来事等も加味して生成する疑似音響空間「Spotifine」だが、メタバース版ほどの人気コンテンツにはならなかったようだ。
 けど僕は好きだ。仕事中はこれしか聞かない。単純作業に集中できるというのもあるが、往時の賑わいをなんとなく感じられるのがいい。行き交う休暇学生の会話や走り抜ける子供たちの声。こんなにも若い子が一杯いたんだなと思う。
 と言ってもぴあポを開けてからまだひと月しか経っていない。3年前に発売されたピアスポッズは耳たぶに装着したデバイスが外耳を介さず直接脳に信号を送るとかなんとか。そんな触れ込みだけでこわいと感じ気後れしてしまう世代なのだが、リアルで立体的な没入感は別次元のものらしく耳に装着タイプのイヤホンはあっというまに淘汰されていた。耳に被せる大きめのヘッドホンはファッションアイテムとして若い世代に今も支持されているそうだが(ヴィンテージ品には驚くようなプレミアが付くこともあるようだ)。まあ先日のブラックフライデーで格安の出物をゲットできたので遅ればせながら着け始めたというわけなのだが、これがすこぶる良い。身体の一部として機能するという謳い文句もようやく理解できた。

 さてユニーブの注文品をクロトンボに載せたら仕事納めだ。今年もクロトンボには本当に助けられた。14年前。インボイスが始まり立て続けに翌春、働き方改革関連法が施行されると中小運送会社と一人ドライバーが激減し日本の物流は一度止まった。ハブ局の倉庫は未配の荷物で埋まり料金改定以前の荷物が大量に破棄されるという事態に陥っては国際問題へと発展した。時の移民政策も肝心の働き手に日本は敬遠されている事実が浮き彫りになっただけで何ら効果を得られなかった。通信販売は最大手Aの日本撤退を始めこの国の通販事業は末端の個人取引まで悉く信用を失い消えていった。
 そんな中、古書籍通販で生き残れたのはユニーブだけだった(当時の名称は日本の古本屋。今となってはその名が冗長であるが故のユニーブへの変更という自嘲気味の冗句が当たり前に語られるが、あの物流暗黒時代を乗り越える舵取りを見事に成し遂げた事業部の方々へはきっと死ぬまで足を向けて寝られないだろう — 現在、ユニーブのコショタンは地球上で最も信頼され売り上げを作り出し買い手にも喜ばれるキャラクターとして、全世界から愛されている)。

 夕方、南池袋の古書肆へと向かう。先代には大変世話になったこともあり、代替わりした今も何かあるときは恩を返すことにしている。
 やあ久しぶり。赤い扉を開き缶ビールを差し出すと「わあセンパイ!」と雑巾片手に二代目がテカっとこちらを振り返る。だからやめてくれないか。僕は君の先輩じゃあない(先代の知人ということで彼はいつまでも「センパイ」という呼称を使い続けるのだ)、ぶらぶらと歩いて来たのでそう返すのも億劫に感じる時間帯だ。午前中に券売機が搬入され今は店内の模様替えも大詰めを迎えている。先代の時代からずっと店にこだわり店を続けてきたこの古本屋だが、代替わりして約5年。年明けからとうとう「見せ」に切り替えることにしたのだという。
 いたし方のない事だと思う。インボイスの導入以降、個人商店は次々と消え新たに事業を始める者などいなくなってしまった。店舗を構える古本屋もめっきり減りユニーブ頼みばかりとなっている。こんな時代に、先代の事業を引き継ぐ形とはいえ彼は己が名のもとに「店」を切り盛りしてきたのだ。実のところこの若者のことを私かにリスペクトしている。年の瀬の彼の決断に、むしろ歓喜の歌をもって祝福してやりたい気持ちで足を運んだのであった。
 さて何をしましょうか。と声をかけつつも出来ることは限られる。握力を失くし本を結わくこともままならないので、せいぜいダンタムが縛ったダンボールを集積所に運ぶくらいか。「センパイはビール飲んで応援しててー」とスタッフが声を掛けてくれるので「それじゃ何しに来たのかわかんないよ」とダンボールからガムテを剥がすのが苦手なダンタムの手伝いをすることにする。うちにはダンタムがいないので、彼の画一的な動作を眺める機会は結構好きだ。

「センパイ、ピアス開けたんですね」手を休めた二代目に話題にされ少し照れ臭い。
「ああ、ようやくです。今さらぴあポでもないですけどね。来年には次世代デバイスが出るって話題だし」
「エフォンはヤバイですよね。テラミクロデータチップを眼底に付けるんですって」
「あー無理。想像するだけで目が痛くなる」
「エフォンもですけどライジーンも。人類はついにここまで来たか、って感じしますよね」と二代目が感慨深そうに応える。冥王星探査機が知的生命体と接触したという今年の一大ニュースには、誰もが時代の変わり目を感じ不安と共に心を躍らせた。「見せ」への切り替えは、そんな2037年の締め括りとして至極当然なことなのかも知れない。
「ところで気になるんだけど二代目。その、エフォンはないと思いますよ」ちょっとだけ話題を反らせてみた。
「なるほど。エフォンに支配されるんじゃ感ってありますよね。」眉間に皺を寄せて腕を組み、熟考顔を見せてくれる二代目に
「いやそうじゃなくって。呼び方。普通にエアフォンでいいんじゃないですか」と問いかけてみる。そこ、アを省く必要はあるのだろうか。
「なんですと!」しばし俯き眉間の皺をさらに深くした二代目が申し訳なさそうに口を開く。
「自分も言うべきか迷ったんですけど。。センパイ。。。
 ぴあポって、古臭くてダサいんでヤングは誰も使ってません。普通にピアスです!」

(なんだって!!)

 今年もまた、衝撃の一年が暮れてゆく。


# by ouraiza | 2023-10-08 01:03 | Comments(0)
実    せと
 2006年1月から始めたこのエキサイトブログですが、ついにフリープランでの画像容量の限界がきました。当初の画像サイズが小さかったからなのか、17年間も無料で続けられたのが不思議です。もう画像は掲載できません、と警告があるたびに、アップロードだけして使わなかった画像を過去に遡って消去して容量を空ける、という作業を繰り返しましたがその作業も先日完遂、容量の隙間がふさがりました。なので、月額270円の画像容量無制限プランに移行しました。

9月25日月曜日。
 定休日の無約束営業。開店して諸事。
 Xスツールの収納ボックスを作る。スツールと収納ボックスを作るのに使った木材と金具は全て店にあった端材と備蓄金具で、なにも新たに買い足していないことが重要。ボックスにつけたキャスターは古い使い古しなので動きが鈍い。
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 市場へ出品に行こうと準備をして車に荷物を積んだが、行くのヤダなーと想を練っているうちに、そうか今日は25日、いわゆるゴトー日ってやつで、車が混んでるから明日にしたほうがいいに決まってる!と思いついたので、サボることにした。

 夜、店に立ち寄ってくださったBさんからメットライフドームだったりベルーナドームだったり、球場の名前は変化するが西武池袋線の駅名はずっと「西武球場前駅」だということと、「西武球場の渡辺美里」についてお聞きする。

 夜、プレステⅡにて「GOD OF WAR」をプレイ。

9月26日火曜日。
 休み。昼に市場へ出品に行く。
 夕方からYBA(山田ビリヤードアカデミー)。6対10で負け。これ決めれば勝ちじゃん、という難しくもないシュートを、まるで地軸がずれているかのように失敗する。数えてみると少なくとも3回の重要な決定機でだらしのない失敗で自ら負けを選んでいる。山田くんの創意工夫されたナイスショットを見て楽しむモードへ途中から移行。イージーミスを起こす心理状態とは何なのか。
 東池袋サン浜名さんにて反省会をしながら税理士の山田くんに消費税の計算方法を教わる。内税総額÷110×100=税抜き金額。小数点以下は無視。
 後に判明したが、内税総額÷110×100=小数点以下が無かったらこれで終了、小数点以下があったら+1=小数点以下を無視して税抜き金額。

9月27日水曜日。
 休み。午後、隣区のお片付けご常連様宅へ伺い本をお預かりする。お宅へ持参することを約束していた本をうっかり持ち忘れてしまう。
 今週末に迫ったYouTubeライブ放送「不忍ブックストリームⅡ」内担当コーナー「b-Spo」を何にするかここ数日悩んでいたが、一応の方向性はみえた気がする。

 夜、プレステⅡのゲーム、「GOD OF WAR」のイージーモードが完結。難易度や操作性のバランスがよくとても面白かった。

 突発的に映画「カリオストロの城」を観る。幼少のころに観たことがあったがすっかり忘れていて、こんなに面白いのか、と驚く。

9月28日木曜日。
 開店して諸事。
 セブンイレブンの「大盛香ばしガーリックのトマトパスタ」がとても美味しい。今日はそこにスライスチーズをトッピング。レンジ温め規定時間4分半のうち2分を本体温め、残り2分半をチーズ溶かしにあてる。

 手帳の今日やれメモにたくさん項目が並んだがやる気があてどなく彷徨いひとつずつに注力できず。
 意を決して午後遅めから閉店までb-Spoの問題作りをに勤しむ。

 ミュージシャンやバンドの〜周年という話題の途中、そういえばサザンオールスターズは‥‥と言うと、手帳編集部朝さんが「サザンはキューです」と言っていた。

 夜、吉田恵輔監督「BLUE/ブルー」を観る。松山ケンイチさんすごい。2021年4月9日公開。この映画の時期的不遇についてお客様からお聞きしたことがあったので必ず観たかった。公開3日後の4月12日から蔓延防止重点措置。4月25日から3回目の緊急事態宣言で映画館にも休業要請。あの頃、あの時、一生懸命に作られてお客様に観られるはずだった作品の一つ。
 
 ビリヤードの世界大会がしょっちゅう深夜にYouTubeでライブ放送されていて困る。USオープン、ジェイソン・ショウvsアール・ストリックランドを観る。

9月29日金曜日。
 開店して諸事。
 屋外に置く本を減らす計画の第一弾を実行。絵本、子供の本の棚「蟹」をがらがらに空ける。背が並んでいる本棚は見られない、という事実。森の中で目を凝らすより、ただ一本の木を目に映すことが選ばれる。あるいは、壁を作って待つよりも土団子を一つずつ並べたい。もしくは、がさっと手づかみで砂を掴んで投げるより一個のどんぐりを拾って投げつけたい。以前からやりたかったが店内では構造上難しくイメージができなかったが、そうか外ならできるかも、と。

 今週末に迫ったb-Spoの準備。ひたすら調べごとをする。
 夜、植木屋さんであるミヤモトくんが、種類はわかりませんが、と柑橘類の実をひとつ持ってきてくれた。なんたる美しさだろう。
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 ふと、ジャニーズ事務所の次の名称はどうなるんでしょうかね、などと喋っていたら、手帳編集部の朝さんが「次は何ーズですかねー」とおっしゃる。いや「ジャ」が問題だったのではなくて、と楽しくて缶ビールのプルタブを引く。

 映画「鉄砲玉の美学」を観る。

9月30日土曜日。
 開店して諸事。
 外に置く本を減らす計画の第二弾。文庫、新書の棚4つをがらがらに空ける。
 『名画座かんぺ』最新号の表紙作り。『名画座手帳2024』の宣伝を入れる。

 急いでb-Spoの準備をして本番。ゲスト、根津の古書店&ギャラリー・タナカホンヤ田中さんの創業時のツイートを遡って穴埋め問題にする「クイズtanakakoji2012」。とても面白かった。「『ゾウの時間ネズミの時間』てあるけど田中さんは象」とムトさんが言っていて、まったくだと思う。
 b-Spoは1:29:10くらいからです。
 
10月1日日曜日。
 最近教わって驚いたこと、藤島ジュリー景子さんは作家藤島泰輔(ポール・ボネ)のご息女。作家隆慶一郎の「隆」は師事した辰野隆(ゆたか)の「隆」。
 パ・リーグのクライマックスシリーズ出場権をかけた2位3位奪取の戦いが面白い。2位から4位までが1ゲーム差。

 開店して諸事。出来上がったばかりの『名画座かんぺ』初期コピー分を折る。70枚。

 文芸系中山に値段つけ。石和鷹既刊全単行本などに、久しぶりにグラシン紙を巻く作業。

 夜、U-NEXTでドラマ「淋しいのはお前だけじゃない」(1982 TBS)を観始める。最近観た田宮二郎版「高原へいらっしゃい」と同様、主題歌が小室等(「高原・・」は作曲と歌唱で、「淋しい・・」は作曲作詞)。
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# by ouraiza | 2023-09-30 03:42 | 工作
これいい塩、振れ、稲作し。    せと
9月18日月曜日。
 定休日無約束営業の開店をして諸事。
 メインレジが店員のむ、ぼくは番台隅で諸作業をする、という最近の構図を逆転したくなり、レジ横の座長の椅子に座る。うっかりその業務を忘れがちになっている。
 美術大判中山の値段つけが終わったので次の中山のダンボール3箱を番台に載せる。植物、日本文芸、アジア文芸。

 坊主頭でギョロ目のため「いかつい」と言われてしまう。いかつさとは真逆の本性とのギャップが大きくて違和感がある。ひとまずの打開のために、目を見開く癖を改めて、細目で生きていこうと思う。そのほうが店にとって有益だ。

 夜、ポポタムさんでの巡回展の会期を終えたムトさんが浦和からのお客様たちをお連れして店に来る。浦和のアニキ分ミヤモトくんが、この二人にオススメの本ないすか?と言うのでそんな時のために裏に控えていた『ラブ・ゼネレーション』と『詩人たち ユリイカ抄』を渡す。

9月19日火曜日。
 休み。夕方からポポタムさんにてムトさんの『百椿図』巡回展の撤収作業。ひたすら「ひっつき虫(うっかり言ってしまうがコクヨの商品名は「くっつき虫」ではない)」との格闘。絵はそれぞれトレーシングペーパーかグラシン紙で表面をカバーされ、とても丁寧にムトさんによって梱包される。トレーシングペーパーの経費もばかにならない。
 片付けを終えてポポタムさんと缶ビールにて軽打ち上げ。「額縁」というものの面白さをたくさんお聞きする。とにかくシンプルで内容を邪魔しないもの、という発想しか持っていなかったが、独特のデコレーションが内容をさらに引き立てることや、その縁の在り様を探求することに壮大な愉しみがあることを教えていただく。ムトさんの展示を見たり父の回顧展があったりで、飾る場所に飾るものを飾る、ということはすごいことだと思う。ギャラリーという額縁。

 夜、ドラマ「VIVAN」を観終わる。事件着地の模様に視聴者への大味な忖度を感じてしまう。日本の美徳なんてあるのか。

9月20日水曜日。
 休み。今年多分この一度だけになるであろうプロ野球観戦。神宮球場にてヤクルト対中日戦。試合開始直前にスコールが球場を包んだ。点灯したばかりの球場全体を照らす照明を背景に、乱れ落ちる雨の線が映える。きれいだ、と思いながらびしょ濡れに。スタンド内部の売店エリアに一時逃げ込み、戻ってから飲んだ座席に置きっぱなしだったビールは少し薄くなっている。自動で畳まれる仕組みの座面だが、とてもバネが強くて兎ならば座っていられないだろう。
 サンタナのホームラン。オスナのさよならヒット。ずっとビールを飲んで酔う。帰路、観戦会に半ば無理矢理誘われて同席してくれた印刷会社のSさんが持参した草野球で使っているミズノの外野手用グローブと硬式球を触らせていただく。とてもかっこよく憧れる。

9月21日木曜日。
 開店して諸事。
 インボイス制度に一応対応できるようにしておこう、という方向性で、印鑑やレジスターについて一日中悩む。とりあえずの前進として、有限会社の法人番号を記憶する。5011402017394。電話番号と同じように語呂を作る。「これいい塩振れ稲作し」。いい塩が手に入った。ぜひ塩むすびを食べたい。しかしそれにはまず稲作から始めようじゃないか。
 前身である古本大學芸術劇場店を引き継ごうとしたとき、大家の東京都は法人としか契約しなかったので、急いで有限会社を作った。引き継ぎはうまくいったが約1年後、東京芸術劇場内のテナント総入れ替え騒動があり移転を余儀なくされた。有限会社であることにもはや意味はなかったが、現在地での開業時にした資金借り入れなどのほとんどの公的契約が有限会社名義であり、それら変更の手間や個人事業に切り替える際の在庫私有化問題など、その煩雑さに比べたら有限会社でいるままのほうが楽かもしれない、と今に至る。いわば腐れ縁な法人格。
 コロナ禍の2年間以外は多くはないが消費税を収めることになったし、多分今後も行ったり来たりだろう。
 と、いうか。こんなふうに悩まされるのがばかばかしく。ああ、めんどくさい。政治家や制度が大爆発して消滅すればいいのに。

 アジア文芸中山に値段つけ。

 DVDで観ていたドラマ『冬の桃』が完結。そもそもの主人公の受信機としてのあり方が面白いので、原作とは違ったものだとしても面白い。

9月22日金曜日。
 先日取材のあった店員ノムに関する記事が「読売新聞オンライン」に掲載される。

 記事を書いてくださったIさんに宣伝で使うことの許諾を店員ノムに問い合わせてもらうと、許可をいただき、「今日も猟官に必死、もがいてます」とのことだった。「猟官」という単語を初めて目にした。軽検索によると「官職を得ようとねらって人々が争うこと。そのようにして、官職を得るために手立てを尽くすこと」。学ばせていただいた。

 アジア文芸中山への値段つけの続き。

 手帳編集部朝さんのスマートフォンでは、なぜか不思議と「Twitter」が「X」に自動的に変更されていない、ということがわかり可笑しい。

9月23日土曜日。
 開店して諸事。
 お客様が多め。お客様の寡多は曜日や周辺での催しに左右される面が多いとは思うが、天気で言うならば、今日のような曇りの非行楽日和にお客様はいらっしゃる。雨はダメ。快晴もダメ。少し遠出してスカッと遊ぶような気持ちにならない、面倒な傘をさしもしない、グレーな日がいい。

 夕方前、隣町の多岐祐介先生宅へ本のお預かりへ伺う。
 多岐先生はブログ「一朴洞日記」のなかで「処分のまえに」というカテゴリーを作られて、お片付けなさる本についてお書きになっていてそれがやはりとてもきょうみぶかく、まさにその本たちがここにあるということになり、贅沢な気分になる。
 店に戻って査定、仕分け。

 居酒屋バシトンにて小会議。思いついている最近の計画について。番台の前の保留物を片付けること、外の本を大幅に減らすこと、溜まっている捨てられないものをどう保管するかいよいよ諦めが必要なこと、本棚の再下段を年内に無くすこと、など。

 夜、プレステⅡにて「GOD OF WAR」。

9月24日日曜日。
 開店して諸事。久しぶりに夕方まで一人店番。普段しない緩めの緊張をして楽しい。
 「第12回 手帳100冊!書き比べ総選挙!!」のために横浜に行った編集部Iさんとノムに、事前に頼んで横浜ベイスターズ、トレバー・バウアー選手のレプリカユニフォームを買ってきてもらった。着てみるとサイズもちょうどで嬉しい。バウアー選手はなにかとんでもなく画期的なかただと思う。 

 有料ビニール手提げ袋の価格表示方法を変更。必ずお客様が視線を向けるコイントレイに直接表示。
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 先週作った簡易組み立て式椅子「Xスツール」を3つ増産して完成、Xスツールのための収納ボックスを途中まで作る。
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 夜、プレステⅡにて「GOD OF WAR」をプレイ。複数の刃がランダムに突き出た回転している丸太を通行して目的地に到着することに約20回失敗。ついに成功したら今度は同条件の丸太を上に登らねばならず、約30回失敗したところでスイッチを切る。あ゛ー!と叫びながら真っ赤に煮えたぎる血の海へ50回落ちたが、明日の昼はセブンイレブンの玉子サンドを食べよう。

# by ouraiza | 2023-09-25 14:29 | 工作 | Comments(0)
像たちの帰還    せと
9月11日月曜日。
 無約束営業のために開店して諸事。午後からポポタムさんにてムトさんの巡回展の都度各地で撮影している記念動画の撮影。しかしなかなかすぐに編集する時間がとれそうもない。ポポタムさんという空間が池袋にあってくれることの幸福を想う。
 番台上中山の値段つけ。
 来年版『名画座手帳』の校正刷りを印刷会社のSさんに戻す。
 ふと何処かへ食事へ、という流れで未踏のお店を探し、経済的に優しそうな中華の南南さんへ。茹でた落花生を初めて食べて美味しさに驚く。なんたる食べ物か。ピーナッツが茹でられているとは!「ボケとツッコミ」という二つの態度がコミュニケーション内にあるとして、ぼくは圧倒的に「ツッコミ」という側面の反応をできないので練習していきたく思う。

9月12日火曜日。
 休み。待望の廃テンションで1日を過ごしたかったが、前回の登録時に排出を忘れてしまった粗大ゴミを再登録していたことを思い出し、夜、店に取りにいく。前回出し忘れた3本のパラソルと、今回新たに増やしたカビだらけになってしまった大正琴を自宅アパートの門前に置く。

 ドラマ「冬の桃」を観る。ドラマ性のために原作よりも時局の政治色を濃くしている。

9月13日水曜日。
 午後早く、自転車で実家に行き必要な持参物を集めてからきらぼし銀行へ。数ヶ月前、残金0だった父の口座からそれを確認していない母がお金を引き落とした。ATMからお金が出なければなにもなかったのだが、自動融資という制度が設定されていて、一見引き落としが成功したように見えた。しかしそれは無言の借金であって、残金0だから自動融資されたお金を返済できない。ほとんど無人の実家の電話にきらぼし銀行さんからの督促の留守電がたくさん入っていた。ということで、全額をお返しして自動融資の契約を解除していただく。3年前に逝去した父の口座がすぐにでも凍結されてしまうと思っていたが、行員さんによく尋ねてみるとそうでもないということがわかった。

 実家のアトリエを、週末に回顧展後に運送業者さんが保存なさっていた父の作品が戻ってくるのに備えて片付ける。回顧展のために一旦旅立ったのが大小合わせて84作品。帰還するのが56作品。 

 久しぶりに40分ほどの実家への自転車の遠乗りをしたが川越街道で悠々たる気分になり楽しかった。

9月14日木曜日。
 開店のためにシャッターを開けるとドア横の壁に大きな揚羽蝶がとまっていてはっとする。蝶のすぐそばに、さっきまでそれに包まれていたのであろう中身を喪失したサナギの殻がぶら下がっている。この羽が初めて触れる外気が明治通りの生温い排気ガスなのか。蝶の停留地に棚を置かねばならず、虫網で誘導して近くの植樹帯のサツキの枝に移す。僅かに浮き上がる程度の羽ばたきはするが、まだ遠くへは翔べないようだった。
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 開店直後から店員のむの取材のため某大手新聞オンラインの記者さんがご来店。このSさんが、過去にお会いしたこのあるご同業のイメージを全て覆す可笑しなかたで衝撃を受けた。ぼくの名前を聞くと、え、芸名ですか?と反応なさる(この妙技は真似させていただこうと思う)。アナーキスト詩人を自称なさり、その言は天地前後、上下左右、美醜軽重、毀誉褒貶を自在に飛び回り、いつの間にか我々は煙幕の中に立っている。学部は違うが大学の先輩。尊敬する。店員のむが「ゲラはチェックできますか?」と尋ねると、「あー新聞はゲラ見せらんねぇのよ、それ常識!」とおっしゃっていてとても可笑しい。なんでも相談したくなる。いただいた名刺を額装して飾ろうと思った。

 番台上中山の値段つけに勤しもうとするも、なにをするべきかぼやっとかんがえているうちに時が過ぎてなにもできず。

 夜、来年版『名画座手帳』に関する重要な受け渡し。一部に問題が発覚してデザイナーさんにご協力いただき即時対処。編集部皆でまた缶ビールを飲みすぎる。
 編集部Iさんに強引お勧めの約束をしていた『四百字のデッサン』をやっとお渡しすることができた。

9月15日金曜日。
 開店して諸事。

 『名画座手帳』帯の文面を按配。他あれやこれやの諸事をやったようなやらなかったような。

 『名画座手帳2023』の経理作業を企画監修ののむがやっていて少し手伝う。編集部の皆で売上を分配できる年もできない年もあり、例えば前回は缶ビール1本分だったが、今回はそれよりややよかったので嬉しい。

 あの俳優さん、「岸辺のアルバム」でぼくは大好きになりました、あのかたのお名前が‥‥喉元にあったのに突発的放念でぎりぎりで出てこない。編集部朝さんが「四文字熟語です。竹脇無我。」とおっしゃり、確かに四文字熟語、と可笑しかった。

 夜、極ご近所に開店なさり、行ってみたいと計画していたタイ・ラオス料理のプァンタイさんへ。「プァン」は「友達」という意味だと教わる。そういう体質なので香辛料で汗が猛烈に噴出。 

 深夜3時半、ふと目覚めて「地下の見えない大洪水問題」対処のために店の水道の元栓を閉めることを忘れていることに気付き閉めにいく。

9月16日土曜日。
 準備中の来年版『名画座手帳』にびっくりする問題があった。企画構成ののむはそのことが気掛かりでまんじりともできなかった、とのこと(LINEで編集部に知らせたがほとんどが酔って昏倒していたので気付かず)。皆が目を通して確認し、デザイナーさんも見て構成も完了、その間も誰にも気付かれずに息づいていたある間違い。そして結局のところその連続。毎年その感じを脅威に思う。

 開店して諸事。朝に知った問題はのむが関係各所へ連絡をしてそちらが速やかに対処してくださりほとんどを解決してくれていた。

 番台上美術系大判中山の値段つけを綿々と。松本竣介『雑記帳』、香月泰男『シベリヤ画集』、初めて扱えて嬉しい。

 夜、プレステⅡでゲーム「GOD OF WAR」。

9月17日日曜日。
 午後早くから実家にて長野県辰野町で展示されていた父親の彫刻作品が戻ってくるのを迎える。寄贈を受けていただいた分を除いた約50体。旅立ちは4トントラックと3トントラックの2台だったが、帰還は3トントラックが2台になった。陽が差していない分暑気が大気に沈殿しているようなとても蒸し暑い中、汗まみれで運送業者さんがアトリエに運び入れてくださる。運搬が終わってアトリエに全て収めてみると、確かにほんの少しメンバーが減っている気がした。
 運送会社さんに最敬礼。トラックを見送る。
像たちの帰還    せと_f0035084_14074935.jpeg
 店に戻って諸事。美術大判の値段つけの続き。

 この時期は毎晩、来年版『名画座手帳』に向けての小さな会議の連続になる。難題も沸き起こりつつ、缶ビールの空き缶も増える。『西村賢太追悼文集』に編集部Iさんが寄せた一編を皆で回し読み。誰かを想いながら初春の川岸を一人で散歩しているような、その時に吹く一陣の爽やかな風のような凛々しい短文で、胸に刺さる。

 夜、プレステⅡで「GOD OF WAR」をプレイ。

# by ouraiza | 2023-09-18 14:48 | Comments(0)
赤いポット    せと
9月4日月曜日。
 定休日の無約束営業のため開店して諸事。
 番台上中山の値段つけをずっと。この作業がもっと必要なことはわかっているのだが外周的諸事の山脈の前で立ち止まってしまう。

 ご近所のかたから溜まってしまって困るというお米10キロをいただき、ついでに、とお宅のお片付けででた諸々をお引き取りする。その中に象印の真っ赤なポットがあり感動。殿堂入りとして店に飾ることにする。
赤いポット    せと_f0035084_14563567.jpeg

 夜、立ち寄ってくれためずらしいことりさんからアイルランドの国民的スポーツに「ハーリング」というものがある、と教わった。

 ドラマ「VIVAN」を観る。アーカイブで観ていたのだが、ついに現行の放送に追いついてしまい悲しい。

9月5日火曜日。
 午後早めに店に行き、管理会社さんとシャッター業者さんと実地の見聞をし、希望を聞いていただく。

 長野から車で運んできた荷物を板橋の実家に降ろす。ブロンズ小品と初期資料、展示とは別枠の父が生前お預けしていた石膏像3体、など。運送業者さんからのメイン作品返送はまだ先なので、その段取りをする。なんとなく予定されていた日時に彫刻運搬に必ず使う道路で大きめな水道工事があるとわかり設定が右往左往。

 夕方、店の近所で防音システム完備の基地を自宅内に建設中の知人Kさん宅にてそのオーディオセットを拝見する。神殿のよう。ほんとうはよくわからなかったが、すごい、なんてクリアで臨場感のある素晴らしい音なのでしょう、などと言ったりした。
赤いポット    せと_f0035084_14572940.jpeg
 夜、数ヶ月前に信天翁センパイの引っ越しをお手伝いした際にもう使わないからといただいたプレイステーションⅡセットを開梱してセッティング。ちゃんと動いてくれて嬉しい。
 以前ムトさんの個展の巡回展の際に盛岡6 JUMBO PINS京野さんから教わったゲーム「GOD OF WAR」をプレイし始める。とりあえずイージーモードにて。操作性がよく難易度と進行具合のバランスがとてもいい。久しぶりのテレビゲームが楽しい。

9月6日水曜日。
 約束のない休み。なかなか廃テンションに埋没できる休日がなく、待望の日。午後から夜までずっとプレステⅡで「GOD OF WAR」を遊ぶ。ギリシャ神話を壮大に背景にしているのだが主人公の闘う動機がふわっとしていてしかし走り続けねばならない。そんな感じもとてもいい。先に進むための謎解きが解けるととても喜ばしい。
 
 夜、先月ウェブで発見して驚いて購入したDVD、NHKの1977年のドラマ『冬の桃』を観始める。中学生のころだったか、再放送をとびとびで観ていたことがありいつか全編をちゃんと観たいと願っていた。こんなに静かな感じだったか、と思う。

9月7日木曜日。
 開店して諸事。台風が近づいている影響か、雨は降らないが重そうな空。
 ふと思いついた店の変更点をチェックするがいいアイデアが浮かばない。
 休日中に溜まった買い取りや連絡事項の処理。店番TTが商品化してくれた文芸系中山を配架。溜めるとどんどん動かすことが億劫になるブツ類を商品化して配架。

 夜、プレステⅡで「GOD OF WAR」、いいところで切り上げてドラマ「冬の桃」を観る。

9月8日金曜日。
 開店して諸事。
 朝から台風13号の暴雨。昼に小止みになったので一応開店はしたが外の棚は出さないカタツムリシフト。
 午後雨の中、極ご近所様へお伺いしお預かり2.5箱。査定。
 お持ち込みや郵送の小山が溜まって中山を形成しそれが帳場周辺に点々としているのでまとめて番台に大山を築く。

 夜、印刷会社のSさんが来年版『名画座手帳』の「白焼き」というのか「ゲラ」というのか、最終チェック用の原稿を持ってきてくださった。わいわいと皆でチェック。どこかに誤植がないかどうか探すのだが、結局のところ『名画座手帳』を日々使いながらも誤植や間違いを気にしたことがないぼくの目はつるつると紙面をすべる。

 ゲーム「GOD OF WAR」をプレイするのか、ドラマ「冬の桃」を観るのか、の二択に毎夜迫られるので、ここはひとつ決心して数日中に先に「GOD OF WAR」を終わらせよう、とプレイ。

9月9日土曜日。
 開店して諸事。居残りの台風が不吉にささやくので油断ができず。
 番台上中山への値段つけをひたすらに。
 
 おとなりのローソン100さんは24時間営業をなさっているので外に出している電光看板を仕舞うことがない。すると夏、地面から旺盛に生えてくる支えがあればそれに絡まる蔦式の雑草が、電光看板の内部に侵攻し、看板は野趣の濃い影絵のスクリーンになるのだが、今日なんとなく通りかかるとそれがきれいに掃除なされていた。
 
 夜、プレステⅡ「GOD OF WAR」で遊ぶ。

9月10日日曜日。
 開店して諸事。
 番台上中山への値段つけをずっと。
 入居しているマンションの年に一度の一斉排水掃除に、お一人の水道業者さんがいらっしゃる。今抱えている「地下の暴れる大河問題」(老朽化のためか見えない地下の水道管が漏水しているらしい問題。現在対策中。)とは別管轄の水道とのこと。とてもめずらしいことに、夕方お仕事を終えた水道業者さんが店にお買い物にきてくださった。数冊をご購入くださりつつお聞きすると、椎名誠の小説『水域』が格別にお好きで、人に贈ってばかりいるので自分の分がなくなってしまった、とのこと。お客様が特別に推す作品を知ることはとても面白い。いつかそれが入荷したときに、あっあのときの、と思ったりする。「水道のお仕事をなさっていて『水域』というのは素敵ですねー」と言うと「偶然です!」とのことだった。

 夜、一度はゲーム「GOD OF WAR」に注力しようと決心したがクリアまでにはまだまだ遠そうで、全7回と決まっているドラマ「冬の桃」を観終えよう、と翻意する。原作とはかなり違うような気がするが面白い。


# by ouraiza | 2023-09-11 12:31 | Comments(0)