しゅぎょうの日々
往来座に勤めるようになってもう2年ほど経つが、未だに買取の業務は一番緊張する。
幸か不幸か平日勤務なので、本を持ち込んでくださるお客様はそんなに多くなく、すると経験もなかなかつめない(言い訳)。しかし、店長や同僚のむみちの査定や値付けを横で盗み見て、できる時はなるたけ質問もして、徐々に学習をしていく。そして1人での店番の時、本番となる。
ピンと背筋を伸ばして、お客様から渡された袋から本を出して番台に移し、一般的にみて高く値がつくもの、当店にとっては価値のあるもの、安めだけれど確実に早く売れそうなもの、状態のよいもの悪いもの、別のお客様が探求されていたもの、どうにも値が付かないもの、えとせとらえとせとら、頭の中でぐるぐる勘案しながら、電卓に打ち込んでいく。基準はある程度あれども、正解が、ない。

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先日「週刊文春」での北尾トロさんの連載で、本を宅買い(お客様の家に伺う買取り)するエピソードが載っていて、おこがましいけれどすごく近い心境が書かれていた。短い時間でパッとそれらしい値をつけ、一対一の相手にそれを伝えなければならない。もちろん自信の無い顔はしてはいけない。そう、そうなんですよね・・・・。でももし高く払いすぎたら店にすまないし、逆に安すぎてもお客様に悪いことこの上ない。どなたも多かれ少なかれ期待されているので、がっかりした顔をなさると、内心「うわわーごめんなさい!」と本当に申し訳なくなる。時々、家に帰ってからもぐるぐる、あの値段で良かったのだろうかと考え込んでしまう。別の日に出勤して、その買った本に売値がついていて、ホッとしたりたまに青くなったり。
これは、当たり前ですがやはり実績をつむこと、そして本についての知識をどんどん増やすことしか対策はないのですよね。はやく、ほんとの自信をつけたいです。そんな日はくるのだろうか・・・。

ある夜の都電ふみきりにて。ねこさんがこちらを見ていた。
なつき
by ouraiza | 2008-07-15 00:45 | ふらふら散歩(終了) | Comments(0)
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