岩岡ヒサエ『オトノハコ』講談社 2008
最近気になるマンガ家のひとり、岩岡ヒサエ。独特の丸っこい顔に細い目の登場人物たちがとぼけた良い味を出している。そして本作は高校の合唱部が舞台。何を隠そう私は中学時代合唱部だった。なので感情移入の割合がいつもと違う、のだ。
主人公「きみ」は高校入学まもなく、合唱部におじけづつ入部する。部員はたった5人。弱小部活のため練習場所もなかなか確保できず、廃部寸前。でも、合唱コンクールに出たい、音楽ホールで歌いたい、という目標を胸に、地道に彼女たちは練習をする。
私が所属していた部とは、人数も違うし規模も違う。私の部活は混声合唱で、先生が主体となってビシビシ練習する体育会系だったので、こんなにほんわかやっていなかった。でもなんか・・・気持ちがかぶるのです。課題曲として歌われている「春に」はとても好きな曲だったし、あぁ、腹筋背筋したなぁ、とか、周りの人と声が合わさって遠くに飛んでいった時の開放感、逆に喉を痛めて声が出なくなった時、1人冷静になる感じ・・・あったなぁ。うおぅ。
圧巻は最後のNHKコンクールに出た話、これは記憶の扉がばんばん開いた。その日初めて行く会場、リハーサル室での調整、そしてそして本番直前の舞台裏!そう、うっすら暗くて、セットの裏側が大きくて怖くて、唄う順番に学校ごとに整列してんだよなぁ。そして舞台に歩いていくとぱぁっと視界が開けるんだよなぁ・・・という風に、見事に歌う側の視点そのままで描かれていてびっくりしました。作者の岩岡さんが合唱経験者かは分らないですがかなりしっかり取材なさっているのでは。公演が終わったあと会場ロビーが学生で埋まるのもこれまたリアルでした・・・。
私自身合唱部時代に良い思い出ばかりある訳では決してなく、センチメンタリズムにひたっちゃうのが恥ずかしくもあるのですが、それでも学生時代に合唱や吹奏楽といった合同で練習してのコンクール参加の経験がある方に、ちょっとおすすめです。ふつーに学園モノとしても楽しめます。
最近のNコンはゴスペラーズが作った課題曲とか採用されてて何かすごいなー、と思ってたのですが、調べたら今年もふるってます、
森 絵都にアンジェラ・アキ!!
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はなしは変わって、ひさびさに魚月のはなし。
魚月の自己紹介ページをつくりました。往来座のサーバーにおかせてもらうことに。ほんといつもすいません・・・。
以前レポートの合間にワードで地味に作ったページなので、なんか無駄なタグがいっぱい使われていて悲しいのですが、とりあえず公開します。今後もっとちゃんとけずったりして改変します。
「魚月のご紹介」
http://www.kosho.ne.jp/~ouraiza/sakanazuki/
なつき