山口瞳著
『新東京百景』
新潮社 単行本S63 文庫H5 内約15P
< 雑司ヶ谷の鬼子母神へ行くことにした。>
<終戦直後、僕は目白台に住んでいた。目白台と言えば聞こえはいいが、椿山荘と田中角栄邸の中間あたり、洋服屋の二階の北側六畳一間を間借りしていた。>
<目白駅附近は、どういうわけか台湾の人が多かった。山手線の線路際にへばりつくようにして屋台店が並び、そこでカストリ焼酎を飲んだ。>
< 鬼子母神境内。僕はここの郷土玩具ススキミミズクが大好きだ。また、ミミズクを売っている九十二歳の安井千代さんも大好きだ。>
<この境内に塵一つ落ちていないのが嬉しい。町内会でもって掃除しているのか、修行中の若い僧が掃くのか知らないが、美しい境内にいると気持がやわらぐ。>
宿にしたホテルメトロポリタンでの情景
翌日スケッチのため再び訪れた鬼子母神境内での情景