Vのゔぁ    せと
11月17日月曜日。
 午前中に立石書店一郎さんと合流し、極ご近所の昨日終えられなかった出張買い取りお預かりの作業をしにお客様宅へお伺いする。残してしまった最終コーナーからゴールまでを一気に駆ける。店におろして封鎖した店奥に積み上がった山脈にさらに追加。
 午後から営業はせず内勤。
 ご近所のお客様宅へ買い取りの下見へ行き、来週のお片付け当日のルートを確認する。

 夜、映画『十九歳の地図』(1979 柳町光男監督)を観る。ふとしたシーンで友部正人さんが疾走なさっていてとても驚いた。
 続けて『蒲田行進曲』(1982 深作欣二監督)を観た。ギンちゃん。

11月18日火曜日。
 休み。
 映画「月曜日のユカ」(1964 中平康監督)。前観賞時の自分の理解の至らなさがイタイ。面白かった。
 「酔いどれ天使」(1948 黒澤明監督)。三船敏郎さんのなんたるかっこよさ。
 先週前半部を観ていた「ホテル・ニューハンプシャー」を観終える。好きな映画は?と尋ねられると「ホテルニューハンプシャー」と応えていたことがあったが、やはり好きだ。
 夕方、何度目かの「幸福の黄色いハンカチ」(1977 山田洋次監督)を観てまた激しく感動。
 夜、「疑惑」(1982 野村芳太郎監督)を半分ほど観る。

11月19日水曜日。
 休み。
 映画「近頃なぜかチャールストン」(1981 岡本喜八監督)を観た。岡本喜八監督のフォークギターでの弾き語りのようだと思った。

 夕方から第29回YBA(山田ビリヤードアカデミー)。めずらしいことに二人とも絶不調でも不調でもなく、ずるずると外し合わない試合になった。画期的なセリフを山田くんがつぶやいた。「あれ?普通にやってて負けたよ」。なんと嬉しい。ラック数8対10で敗け。通算獲得ラック数170対255。総合試合結果3勝25敗1引き分け。
 とても大きな発見をした。自分の勝負弱さの一つの要因はひ弱な社交性だ。試合中に「独り」になれないこと。その場を楽しく成立させるためなら勝敗はどちらでもいいという傾向を推進してしまうピエロ性、とでも言えるか。「柳の型」を目指しているが、ここに「孤独な」もしくは「イヤホンをつけた」を加えねばならない。「独りで踊る柳の型」。
 
 夜、「都会のアリス」(1974 ヴィム・ヴェンダース監督)を初めて観た。舞台としてドイツの町ヴッパータールがでてきてとても驚いた。登場人物がモノレールに乗ったりもして、街並みもたくさん映る。元アルバイト店員小峯くんが暮らしている町。数週間前に小峯くんから町にまつわるお土産をもらった、あの、タフィーが川に落ちた町(10/24金)。

11月20日木曜日。
 前業でぼんやりと滞留物の値段つけ。開店して諸事。
 店員ノムの不定期連載である「いぶりがっこチーズに祈りを【いぶチーメモ】」を更新。
 「山に分け入って加湿器」と手帳のこの日の欄にメモが残っているがまったくなんのことだかわからない。

 手帳編集部Iさんが「ここがロドスだここで跳べ」という言い回しを教えてくださった。思い迷わずここだと思ったところで断行せよ、という実行の奨励ではなく、「跳んだ跳んだと主張するなら今ここで跳べ」という過去への固執に対する警鐘のような意味合いが濃いようだ。

11月21日金曜日。
 前業でなんとなく滞留物の値段つけ。開店して諸事。
 午後、定期的に呼んでいただいている事務所様へ出張買い取りのお預かりへ伺う。神楽坂のパーキングに車を停めていざ現場へ、と荷台のハッチバックを開けてびっくり。台車、折りたたみコンテナ、ヒモや軍手などを入れた道具袋の買い取りセット一式が載っておらずすっからかんだった。店を出発する直前、道具袋を入れた折りコンを台車に載せて店の横に停めた車に積み込もうとしたとき、ふと別の用事に気を取られそちらに傾注し、荷台になにも載せないまま暢気に買い取り先までの約30分を運転してきたのだった。慌てて店に電話をすると店員ノムが「買い取りセットが道に転がってるよ!」とのことだった。こんなことは初めてだったのでとても驚いた。
 お客様に訳をお話しして一式を取りに戻ろうかとも思ったが、車内の予備備品入れにスズラン紐と紐切りに使えるカッターを見つけ、台車はお客様にお借りすることにして、なんとか事なきを得たのだった。
 店に戻って今度はしっかり買い取りセットを積み、隣町の長年のお客様宅へ買い取りお預かりへ。玄関先で小さな息子さんお二人が交互に「はい、どうぞ」「はい、こちらです」と1冊ずつ手渡ししてくださり、お父さんは「すみません‥‥なにかと参加して手伝いたがる時期でして‥‥」と頭を掻いていらっしゃり、とても和む。思わぬコミュニケーションができてなんだかとても愉しい。

 先日酔いの睡魔に敗けて途中までだった映画「疑惑」を最後まで観る。桃井かおりさんの「ゔぁっかじゃないの」を繰り返し練習する。「ゔぁっか」は「B」ではなく「V」で始まる。

11月22日土曜日。
 早朝から先月逝去なさった同業の先輩Tさんの倉庫の片付けのお手伝いをしに下赤塚へ。もともとお店をなさっていた建物で、お伺いしたのは初めてなのに、少年時代に通って一喜一憂した町の古本屋然とした店舗の構成が非常に懐かしく、そうそう、と胸が熱くなる。
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 時間に余裕のある片付けではないので細かな分別はせず、前日から猛烈に頑張って作業をしていたKさんとOさんの指示に従って棚に残った本たちを縛って積んでいく。昼過ぎに縛り終え、Kさんの運転する先輩Tさんが使っていたハイエースで古書会館に運び、市場への出品準備をする。昼食をとった中華屋さんで、そういえばKさんもOさんもぼくも”板橋の子”だー、と意気を上げ、出身の公立中学校の話題が出たりもする。Kさんは熱心なソフトテニスボーイだった、など新情報を得る。古書会館8階喫煙テラス植樹帯の南天がとてもいい感じ。
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 夜に作業を終えてぼくは帰路についたが、KさんとOさんはまたTさんの倉庫に戻って車への積み込みをするとのことだった。

11月23日日曜日。
 前業で最近夢中になっているフィルム・デイ・ディテクティブ(FDD・映画の中の日付けを探す企画)のデータ整理。開店して諸事。
 夜、番台端飲酒会議にて、誰かが「せっせっせーのみそラーメン」をしってる?と言い出した。せっせっせーときたら「のよいよいよい」以外にあり得ないとぼくは思っていたが、4人のうち2人はああ、あったねそれ、となったので驚いた。

 映画「ハスラー2」(1986 マーティン・スコセッシ監督)を観る。勝負に生きる男とか、男の誇り、矜持とか、いや、自分勝手過ぎる。

by ouraiza | 2025-11-24 17:35 | Comments(0)
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