FDD    せと
11月3日月曜日。
 開店はせず内勤。
 次(2027年版)の『名画座手帳』での増補のため、映画の中に現れる日付けを探している。この日付け探しはFILM DAY DETECTIVE、略してFDDという企画なのだが、楽しくてしょうがない。日付けがあればいいな、とほんのり思いながら映画を観るのだが、これが新しい映画の観方との出会いだった。映画は全身全霊で真正面から受け止めて観るべきだ、という気負いが無くなったのだ。映画とはがっぷり四つで取り組まねばならないという力んだ構えはそれなりに収穫を生むに違いないのだが、映画から自分を遠ざけるものでもあったことに気付いた。いつか観たいと思っていた映画、過去に観たがもう一度観たい映画、友人がお勧めしてくれた映画を、空いた時間があればすぐに観始めることになった。日付けがあってもなくてもいいので、日付けのことだけを気にしているわけでもなく、内容も楽しめる。日付けがあった場合、物語全体の中でなにを意味する日付けなのか表現をしたいので結果的に全体を味読する。日付けがなかったとしても、映画にとって日付けの無さが重要である場合があり、それが何なのかかんがえる。日付けは邪魔にもなる。このフィルムデイディテクティブの活動が面白くて、往来座地下を書く時間を削ってしまっている。
 手帳編集部の探偵たちと、気楽な程度に依頼している少数の部外探偵たちから集まってくるデータをエクセルにまとめていく。

 『名画座かんぺ』最新号の折り作業、173枚。
 番台上滞留物の値段つけを少しして、木曜日に迫った出張YouTubeライブ「不忍ブックストリームⅡ」内の担当コーナー「b-Spo」の準備。

 北海道出身の友人Yさんが里帰りのお土産にくださったさんまの缶詰がとても美味しい。
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 アマゾンのドラマ「GEN V」の続きを観る。

11月4日火曜日。
 休み。
 午後、ムトさんの個展「沼日、また」の搬入の手伝いで、西池袋から阿佐ヶ谷に移転なさったブックギャラリーポポタムさんに行く。
 訪れるたびに阿佐ヶ谷という街の魅力的な街ぶりに驚いて羨ましくなる。巨大ではない商業と娯楽と生活の理想的な距離感の融合、というのか。ポポタムさんは相変わらず見たことのない面白そうな本ばかり置いてある一階と、きれいな光が差し込む気持ちのいいギャラリーが二階にある、親密な教会のような新店舗だった。
 ビリヤードのプレイなぞしたくはないが長年続いている伝統的なお店には興味があるというムトさんと、阿佐ヶ谷パールセンター商店街にあるビリヤードルーツさんで少しだけ遊ぶ。
 帰路、高円寺方面へ歩いていてふと立ち寄った夜の馬橋稲荷神社がとても神秘的で息を呑むような空間だった。
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 深夜、「生きる」(1952 黒澤明監督)を再観。

11月5日水曜日。
 休み。
 やらねばならいことがあり、昨日からやろうやろうと思っていたのに手がぴたっと止まって動かない。なんたることだ。

 ひたすら映画を観る。「RRR」(2022 S・S・ラージャマウリ監督)、「野良犬」(1949 黒澤明監督)、「タクシードライバー」(1976 マーティン・スコセッシ監督)を再観。「野良犬」、学生時代に一度観たが、こんなに面白かったのか。三船敏郎さんのなんたるかっこよさ。

 YouTubeライブの本番がある明日が怖い。イメージはあるので大丈夫か。大丈夫ではないか。

11月6日木曜日。
 前業から「b-Spo」の準備。開店して諸事。
 出かける時間までずっと慌てて準備をして、夕方、YouTubeライブ「不忍ブックストリームⅡ」出張版の会場である谷中HAGISOさんに向かう。早めに着いて、築70年の木造アパートを改装なさった迫力の建物1階喫茶室での「不忍ブックストリート」関連展示をじっと観る。
 本番ではゲストのHAGISO主催宮崎さんのお話が新感覚でとても面白かった。東京芸大建築学科の図書館のことや雑誌『日常』のこと、直進よりも迂回をする経済についての本のご紹介など。建築環境学的視点というのか、古本屋で本のホコリに埋まっているぼくには衝撃的に斬新に思える。HAGISOで働いていらっしゃるジョージさんのお話も伺うことができ、本を売ることの新しい波を強く感じた。ジョージさんが熱海でなさっている「ひみつの本屋」
 b-Spoは、いわゆる記憶スケッチ、「SWEET MEMORIES」の谷根千(谷中霊園含む)著名人ポートレイト編。ひるねこBOOKS小張さん、往来堂書店笈入さん、タナカホンヤ田中さんが描いてくださった傑作たち。慌てて準備したからか、ライブならではの段取りの難しさ、あり。
 b-Spoは1:31:55くらいからです。
 終了後、配信技術担当の鈴木さんにおでん屋たかはしさんに連れていっていただいた。こんな素敵なお店があるのか!とほんとに驚いた。瓶ビールの、瓶ビールとしての輪郭が冴えているお店。手帳のその日の欄には「ゴースト・オブ・ツシマとヨーテー 子持ち昆布」とある。

11月7日金曜日。
 前業をサボって開店して諸事。
 疲れの津波が押し寄せる。「息せき切って」なにかをした後、ぶわっと疲れがでるという経年劣化がある。 

 夕方、護国寺からレンタル自転車で東京古書会館に行き北部古書会館解体後に遺された資料を見せていただく。探していたものがあったりなかったり。ちょうど帰宅時間に遭遇した組合職員で友人のKさんのタイムカードをKさん同伴のもと刻印させてもらった。紙を機会に差し込んだらガチャッと時間が記される。やってみたかった。Kさんとともにコンビニで買った缶ビールを手に帰路につく。初めて新御茶ノ水駅周辺を歩き、古書会館の近くにこんな近代的大都市のような環境があるのかと驚いた。せっかくKさんが丸ノ内線御茶ノ水駅まで送ってくれたのに、切符の券売機の前で護国寺のレンタル自転車のポートのそばに自分の自転車を停めてきたことをハッと思い出し、結局また古書会館そばまで戻ってレンタル自転車を借りて池袋に戻る。

 夜、QRコードの「QR」が「Quick Response クイックレスポンス」のことだとしった。

11月8日土曜日。
 前業でなにをしたのか。開店して諸事。
 ゆっくりやろうとしながら諸事の連発でゆっくりもできずに滞留物の商品化を断続的に。

 夜、番台端飲酒会議にて、友人Bさんからすごいことを教わった。少年時代にかぶっていた野球帽、今はキャップというのか、のちょうどおでこの上に当たる部分に、折りたたんであるのを下ろせば両目を隠すことのできるメッシュ地の硬質な布がついていた。あれは当然、まぶしいときのための日除け、サンバイザーである、と思っていた。しかし野球系ファッションに詳しいBさんによるとそれはよくある間違いで、あのメッシュ地の布は「帽子前面の型崩れ防止のための裏地」です!とのこと。縫製技術や布製品の進化によって現在は必要がなくなったようだ。いやはや、なんたる画期的な思い違いの是正だろう。

11月9日日曜日。
 前業にて番台上滞留物の値段つけ。開店して諸事。
 やらねばならぬことに手がつかず茫然と遊ぶ。

 数日前に飲んだいただきものの梅昆布茶がとても美味しく、以前にもそんなことがあったが、また梅昆布茶が店内で流行中。そうだいいことかんがえた!と店員ノムが梅昆布茶に焼酎を入れて梅昆布茶割りを作って飲みながらなんだか渋い顔をしていたので少し分けてもらって飲んだが、まったくまずい飲み物だった。しかし梅昆布茶はまだまだ追いかけていきたい。

 夜、映画「ガス人間㐧1号」(1960 本多猪四郎監督)を観た。数々の異能超人の中でもガス人間はかなり強いのではなかろうか。

by ouraiza | 2025-11-10 23:09 | Comments(0)
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