ズッキーニ    せと
4月21日月曜日。
 営業はせず内勤。滞留物の値段つけ。
 午後、先週市場でボー(入札無し)になった商品を引き上げに古書会館へ行く。歴史雑誌の8本口を持って帰ってツブすかどうか悩むよりやっぱりもう一回だけ挑戦の出品をしよう、と翻意して明後日の市場への出品手続きをする。

 店員ノムがスマホの画像によってそれがなんという植物なのか識別するアプリ「PictureThis」で、余興として試みにぼくの写真を識別させてみたら「ズッキーニ」だった。健康なズッキーニ。和名ウリカボチャ、ペポカボチャの一種。違う写真だと判別不能になったりするので、アプリの正確機動にはなんらかの画像的要素が必要なのだろう。
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 夜、プレステ3で遊びたくてプレステ3をぼくに譲ってくれる前に兄がダウンロードしていた「ゾンビアイランド」と「NINJA GAIDEN」の体験版をプレイ。なんたるゲームの進化。

4月22日火曜日。
 休み。山田五郎さんのYouTubeチャンネル「オトナの教養講座」が面白く、メーヘレン事件、藤巻義夫の回を観る。オランダ人、ハン・ファン・メーヘレン。wikipediaも面白かった。 

 夜、山田太一さん脚本の1981年のドラマ「想い出づくり。」を観始めた。
 友人Kさんが貸してくれた古本屋を主舞台にした漫画『本なら売るほど』(児島青著 KADOKAWA HARTACOMICS)を2巻まで読む。エンターテイメントとして読みやすいように調理はされているが古本屋が抱える予感のようなものに現実味があり面白く、形式的な取材だけで得られた材ではなさそうな気がする。そして本をとても読みたくなる。読後、課題にしている読み途中の文庫本に手を伸ばす。

4月23日水曜日。
 休み。雨。
 店の発送が大変そうなので数分だけ出勤して荷物を持って郵便局へ行った以外、家窟にて無為に廃す。
 月曜日に市場に半ば諦めつつ再出品した商品が最低価格であっても落札されていて嬉しい。市場はほんとにありがたい。

 雨があがった深夜に洗濯。
 ドラマ「想い出づくり。」を観る。
 
4月24日木曜日。
 前業に遅刻しつつ少しだけ滞留物に値段つけ。開店して諸事。

 なんとなくすべき業務の迷子になりあてどない凧化。屋外の黒板を書き換える。「月曜日と火曜日が休み」という文言を、日本、英、フランス、ドイツ、イタリア、中国、韓国、ギリシャ、ポーランド、ポルトガル、スペイン、アラビア、ベトナム、ルーマニアの14ヶ国語で書いた。去年の5月13日月曜日に書いたのが9ヶ国語だったので、14はデラックスで嬉しい。
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 閉店後、よく来店してくれて店の細部を楽しんでくれる東京音大の生徒さんとお話ができ、正式な呼び名を教えていただけて嬉しい。NさんとTさん。

4月25日金曜日。
 前業にて滞留物の値段つけ。開店して諸事。
 夕方前の静かな凪の時間、ご婦人がドアを開いて入店しながら「あらタカコちゃん!」と番台にいた店員ノムを見て驚いていらっしゃる。すぐに「ん?タカコちゃんじゃない!」とお気付きになった。お聞きすると、ご親戚のM・タカコさんは店員ノムと同年代で美術大学を卒業なさって遠くない地域にお住まいらしい。

 明日に迫ったYouTubeライブ放送での担当コーナー「b-Spo」の準備をずっと。ChatGPTというものを始めて使う。Chat(おしゃべり)G(Generative 生成的な)P(Pre-trained 訓練済みの)T(Transformer 変圧器)。

 数日前にお客様がお買い物ついでに「海野十三って読み方、『うんのじゅうざ』なんですよね」とおっしゃり、「え、そうなのですか、ぼくはなにげなくずっと『じゅうぞう』って言ってました。いやはやありがとうございます」というような会話をした。すると今日いらした手帳編集部Fさんが偶然番台にあった海野十三の文庫を見て、「あ、うんのサーティーン。」とおっしゃったのだった。
 
 夜、ドラマ「想い出づくり。」を観る。1980年前後の男性主義社会の描かれかたがそれが時代を象徴していたとしても酷すぎて辛い。

4月26日土曜日。
 前業にて市場に出品へ。市会会場の展示台に商品を並べたいな、と思っていたが会場が出品準備中の本で満杯だったのでとりあえずカーゴ積載お預け方式に切り替える。並べなかった分想定より早く店に戻った。開店して諸事。

 ずっとb-Spo準備。夕方急に雨が降り出したのを店前を通りかかった外国のかたが「レイーン」と教えてくださった。

 閉店後、YouTubeライブ放送「不忍ブックストリームⅡ」の本番。ゲスト嶋田奈穂子さんのご著書『看取られる神社 変わりゆく聖地のゆくえ』(あいり出版)がとっても面白そう。b-Spoは文豪たちの架空の小説のタイトルをChatGPTに捻出させて遊ぶ「ちょっとGPT」。解答があっていてもなんとなく納得がいかないような、根本的にどっちでもいいような、淡い不安感が楽しかった。b-Spoは1:22:45くらいからです。

 b-Spo委員の面々と松屋にてマフェという鶏肉ガーリック炒めを食べながら反省会。

4月27日日曜日。
 出勤途中にぶつかり男に遭う。明治通りの歩道橋のわきで体の大きな30代後半くらいに見える男がすれ違いざまに肩を寄せてぶつかってきた。そのまま通り過ぎていくので「おいおいどういうことなの、なにやってるの?」と追いかけて問い詰めてもイヤホンをつけて灰色の半目で「警察呼びますよ」などとつぶやきながら歩を止めない。さらに追うのは時間の大いなる無駄なので、もっと平和に歩けばか、と動転してなめらかに動かない口からやっと絞り出した声を半目男の背中に投げて出勤。一日中、幼稚な狂気の種を肩から植え付けられたような暗い気分にさせられる。なぜああいう卑小な悪意が生まれ育まれてしまうのか。元凶を探してもきりがなく、地面を影で覆う雨雲はさらに濃くなる。非常に怖いのは、多分、自分の中にも”彼”が棲んでいるのだろうという目を背けたい予感。少しずつ少しずつ、お客様の晴れた笑顔をみせていただきながら恢復していくしかなさそう。
 後日ふと、明治通りの歩道で走行規制があいまいな自転車に乗っていたこと、その右手に駐輪場に落ちていて店で捨てようと缶ビールの空き缶を持っていたことをあの卑小な半目男は咎めたかったのだろうか、と気付いた。規制を気にせず昼から酒を飲んでいるように見えるズッキーニへの八つ当たり。

 番台上滞留物の値段つけをずっとしながら、連休の冒頭だからかとても多いお持ち込み買い取りの対応をする。

by ouraiza | 2025-04-28 15:46 | Comments(0)
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