カマボコと新世界    せと
10月17日月曜日。
 明日の『名画座手帳2023』発売準備のため定休日の隠密営業はせず。
 昼早めに出て古書会館の市場へ。ぼんやりとだが依頼されている商品を落札せねばならない。市場を売りに利用するが買いに行くことがほとんど無いので、久しぶりの方々にお会いしてたくさんご挨拶する。そうだ市場ってこういうなんだかざわざわした感じだったと思い出す。数点に入札したが、いわゆる”ヨタふだ”であって、落札できないだろうと予感しながら。市場で買うことの感覚は、まったくもって、店に慣れていると鈍くなる。繰り返し通わないとその感覚は会得できない。ちょっと欲しいから市場行こ〜とピクニックしても上手くいかない、とはわかっているが、それでも何かラッキーな拾い物を求める。

 東京堂書店さんへの経由地である八木書店さんと、神保町シアターさんに『名画座手帳2023』を納品。
 午後店に戻り、手帳の販売店各店様宛への手帳梱包作業、オンラインストア発注の梱包。催し棚ステップに手帳を並べて売り場作り。イラストレーターで宣伝看板作り。「名画座手帳ON SALE」幟を店外入口上に設置。ムトさんの誕生日祝いを兼ねてシャンパンや缶ビールや缶チューハイ他諸々で賑やかだった。
 やはり市場の落札は無し。天井を利用した新工作のアイデアを構想して天井をずっと見上げる。

10月18日火曜日。
 休み。店では店員TTとノムが『名画座手帳2023』の発売初日を迎えている。午後、まだ1冊しか売れてないよ〜と店からラインが来る。
 
 少し地下を書く。
 夕方、ご近所の、長い東京住まいから北の故郷に帰還する友人宅へ片付けの下見へ。ぼくが作った本棚を使ってくれていたのでその引き取りを算段。
 夜、その友人と居酒屋バシトンにて軽い宴。仕事についてのとても有意義な指針をもらい、非常に合点がいく。無かったことを新たに加える難行ではなく、軽く遠慮がちに扱っていたものにもっと重きを置くべき、という無理のない指針。ひとえに、無名者の肉声。飲みすぎてよれよれと帰宅。

10月19日水曜日。
 とにかく休みたくてYouTubeで教会ミサ曲をずっと流して目をつぶる。ぼくはなぜソプラノ聖歌隊の一員ではないのだろうか。

 夕方買い物ついでの散歩に出て、サンシャイン内クマザワ書店さんにて木村紅美さんの『あなたに安全な人』(河出書房新社)を買う。

 夜、なんとなく気になっていたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を観始める。とてもおもしろく。ドヴォルザーク「新世界より」(を利用したエバン・コール作曲「震天動地」という曲とのこと)が流れる。家にあるカセットテープをなんでも聴いていた小学生のころ兄はホルスト「惑星」がお気に入りで、ぼくは「新世界より」が好きだった。と唐突に思い出した。

10月20日木曜日。
 開店して急いで諸事。

 久しぶりにドリルやペンチなど工作道具セットをオリコンに詰めて、車で近所の友人宅の本棚解体作業に行く。約11年前に組み立てた時よりもいとも簡単に解体できる。改造などをしやすくするためにボンドを使わないのだが、よかった。ビスの山、ダボの山。インパクトドライバーの手の平へのノックが気持ちいい。組み立て設置のときにも手伝っていただいたNさんが解体時にも手伝ってくださっていて不思議。中サイズが3つと大サイズが1つ分の本棚の木材を車に積む。最後に一番大きな面積の背板に使ったベニヤ板を車に入れようとしたら、ギリギリ1、2センチの都合で入らない。切らねばならないか、と悩みつつグイグイと無理に試していると、Nさんが、「カマボコ型に曲げれば!」と声をかけてくださり、その通りにしてベニヤ板は車の荷台に無事納まった。ぼくは、流しそうめんのそうめんが流れる竹のレール型、と言うのかつまり逆カマボコ型に曲げて試していた。
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 とりあえず、まったく手入れをしておらず庭がジャングルになった実家に木材を降ろして保管。 

 夜、「鎌倉殿の13人」を観る。あそうか、平家物語なのか、とやっと時代的位置がわかってきた。小栗旬さんは映画「クローズ」のゲンジさんだったが、今度は源氏を補佐なさる。

10月21日金曜日。
 約束と約束の間のエアポケットのような日で、なにかやらねばならないことがあるなーと思いつつ何もできない。帳場内を右に行き元に戻り、左に行き元に戻ったりする。

 夜、もうすぐ北方へ転居する友人と改めて壮行会。柄にもなく過去を懐かしいなどと言うのでそれでは懐かしいことをたくさん話題にしようと内心企図したが、そうすると脳の記憶原野が凍土と化しなかなかうまく懐かしいシーンを思い出せず。「”寿”の途中にエロが入る”壽”」。池袋西口中華料理の蘭蘭さんはいつになく若い女性のお客さんが多く、喫煙可ではあってもお店に申し訳なく感じ肩をすぼめて煙草を吸った。たくさんの経験を身をもって見聞しながら方向性を模索し、さらに新世界に歩を進める友人は、そんなことおかまいなしに頼もしく煙草を吸った。

 深夜、「鎌倉殿の13人」を観る。

10月22日土曜日。
 先日「鎌倉殿の13人」のお話をしていたときに手帳編集部Iさんが口ずさんでハッとした「平家物語」の冒頭、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。」をウェブで調べて音読する。口腔科学的に快適な語呂で、とても調べがかっこいい。これしかない歌詞のように音のつながりと口の運動が心地いい。ひとえに、風の前の、塵に同じ。今度どこかで使ってみよう。

 開店して諸事。
 溜まった市場用の本をまとめてしばり出品へ行こうとするがまったく心躍らずサボりたい。そうだ、道中にあるコーナンドイトで材料を買って構想していた天井を利用する工作をしよう、と現実避難所を発見。
 御茶ノ水コーナンドイト(元ドイト)にて金具と木材を調達。
 以前から、お店の帳場の上に、壁、というのか、そこが帳場であることを示しつつ空間を切断している境界、が欲しかった。数ヶ月前に出張買い取り先でいただいた、使いたいのだがまだ使い道が決まらない本棚用のはしごが、保管場所に困り転々と場所を変えながらもある。そうだこのはしごを天井から吊るしてその天井境界壁にしよう、という思いつき。
 コンクリートの天井には、開業時に解体した本来の天井を吊るす金具をさしていたネジ穴が等間隔にある。その穴に、W8分の3という直径のネジ棒を入れ、そのネジ棒にはしごを引っ掛けて載せておく台をつける。
 完成。楽しい。
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 夜、「鎌倉殿の13人」を観る。

10月23日日曜日。
 開店するとすぐに、数日前にご協力することを約束していたご近所子供会のハロウィーンパレードが店にやってくる。キャラクターがなになのかわからない(一人のお母様がポリスアカデミー装をなさっていてそれはわかった)仮装をして大挙した子どもたちが、集団の列が外にはみ出さないように縄跳びでひとまとめにされていて可笑しい。店前でトリックオアトリート!と全員で叫び、店員ノムが前日から預かっていたハロウィン柄のトイレットペーパーを一人ずつに渡していく。何人かがトイレットペーパーを見て残念そうな顔をし、ちぇ、菓子じゃねーじゃねえか、と渋々受け取っていた。

 久しぶりに秋めきつつも暖かく穏やかな天気で、店の外の路上でぼーっとするなど。
 ドヴォルザーク「新世界より」について、「え、どんなのだっけ?ちょっとサワリのメロディー歌ってよ」と店員ノムから言われても、出てこない。春の小川、第九、モルダウ、などが出てくる。
 物心ついたら夜だった。

 明日の買い取りに備えてガソリンスタンドにてガソリン補給。日曜の夜は混むのか、めずらしく3台ほど待っていつものレギュラー金額指定2000円分。
 日本シリーズ、ヤクルト対オリックスを途中から配信で観る。

 5年間売れ残っていた朝日新聞と日刊スポーツの20世紀末〜21世紀初頭18年分元日朝刊セットをバラす。チラシだけまとめて再商品化。

by ouraiza | 2022-10-24 18:53 | 工作 | Comments(0)
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