ラック通りの交差点。と、時限ブヨ弾。    せと
7月26日月曜日。
 午前中伊那市のホテルで、多岐先生に教わって気になっていた女子バスケットボール3×3の試合をテレビで観る。勝負の綾が急展開の中で瞬発的にスパークしている。

 同行の銭湯好きのムトさんの目標だった諏訪湖サービスエリアのハイウェイ温泉に立ち寄りつつ、半移住生活をしている茅野市の友人Y宅へ向かう。
 山と川と木々に囲まれた友人宅で子供たちと怒涛の鬼ごっこ、水鉄砲合戦。そしていつかやってみたかった薪割り。斧を上から振り落とす、というより、下半身で斧を引っ張り落とす感じ。あんなに下半身の作業だとは思わなかった。1度コツを掴むと中毒性がある。
 遠投競争でゴムボールを2つ失くし、夕焼け、バーベキュー、花火を少し、ギターを出してきて適当な歌、という、成人してから1度も経験したことがなかった夏の夜の宴。用意してもらったぼくの布団に5歳長男が漏らしたり。
 子供たちがおじさんと遊んでくれたおかげで熟睡。
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7月27日火曜日。
 目覚めてから山間を散歩。YouTuberでたまに観ていた某氏の土地を眺めることができて感動。
 釣り堀の鯉。蕎麦。馬とヤギ。

 帰路、諏訪南インターから高速に入って少し進んだころ、行きも調子が悪かったカーステレオの電源が落ちる。行きにそうして復活させたようにポコポコとステレオを叩いても電気は戻らない。小淵沢インターあたりで、左車線の前を走る車との差がどんどん開いていき、あれ、とアクセルを踏むも、右足の先からアクセルの重さが伝わってこない。空振りしている。残念ながらこれはヤバい。惰性で進める範囲で安全な場所を咄嗟に探すと、小淵沢の高速への合流車線の先端が見えたので焦らぬようそこへ入って停車。保険会社へ応援を要請、高速道路会社へ報告。
 器用に賢く生きねばならない世界はぼくには無理だなあ、と台風の気配を孕んだ曇り空を眺めながらしみじみ思う。高速道路の路上って禁煙だろうか、まあいいか、とガードレールにもたれてひとまずメビウスに火をつけた。
 同乗していたムトさんが、そうだ、と、ぼくたちが発ってから数十分後に後を追うように東京へ戻る予定の友人Yへ電話。すると友人Yはちょうど諏訪南から高速に入る手前にいて、この高速道路の上にぽつんと停まって空を見ている我々のところに来てくれると言う。車がレッカーされることになれば、ぼくたちは小淵沢から自力で帰らねばならないのに、友人Yが真っ白なベンツで近くにいてくれる。
 レッカー車のお兄さんはひとまず点検してすぐ、自走して帰れますか?というぼくの質問に微笑みながら、まっさら新品のバッテリーが10個あっても無理でしょうね、と教えてくださった。オルタネーター、旧称ダイナモ、バッテリーを充電する機械が動いていないのではないか、とのこと。レッカー車の荷台に引っ張り上げられた8号(我が車の愛称)、助手席にぼく。後ろをついてきてくれる友人Yのベンツの助手席にムトさんが乗って、高速の次の降り口である長坂で一般道に降りる。
 きびきびと今後の指示をしてくれるレッカー車を運転中のお兄さんにぼくは、近頃妙に厄災ばかり続いていてなんだかもうダメなんでしょうか、と嘆いた。お兄さんはキラッとぼくを見て、あなたはすごくラッキーである。なぜならエンジン停止が暗いトンネルの中ではなく、渋滞の中ではなく、逃げる場所のない環境ではなく、かつ、なんと友達がすぐに来てくれるなんて。トラブルはあったにしても、とんでもなくラッキーが重なっているトラブルです、この古い車をもっと可愛がってずっと乗り続けるべきですよ、とぼくを励ましてくれた。ご職業柄人を励まさざるを得ない局面への対処が任務の一部なのかもしれないが、お兄さんの汗とくっきりした笑顔に接し、自分の嘆きへの傾きを正すべきだと思うことができた。

 革張りのソファーシート、開閉する天井、どっしりと安定した加速、音質のいいステレオでボブ・ディランを聴きながら友人Yのベンツに乗せてもらって東京まで帰る。あのさ、こんな時に、ってつまりこんなこと頼める立場じゃないことは承知なんだけど、ちょっと音量上げてくれる? マイ・バック・ページが流れていて、友人Yは少しボリュームを上げてくれた。27年前の高校生のころ、ぼくが新宿中央公園で殴られて頬骨を陥没骨折して失神したのを助けてくれたのも彼だった。
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 池袋西口のファミリーマート横で缶ビールを2本空けて帰宅。
 
7月28日水曜日。
 休み。オリンピックの野球、日本対ドミニカを観てじりじりする。
 動画作成や旅行で溜まりがちになってしまった地下を書く。

 長野の友人宅で半ズボンを履いていて、ブヨがいるからやめたほうがいい、と友人に注意されていたが、なんとなくそのまま過ごした。そして今、両足のスネに多分ブヨに噛まれた跡が28箇所(数える度に数が1〜5変わる)ある。友人に画像付きで報告すると皮膚科に行くことを勧めてくれたが、蚊、ノミ、ダニほど痒みがなく、ただスネという舞台でカユミがバリトンボイスで小さく歌っている感覚しか無かったのでひとまず様子をみることにした。

7月29日木曜日。
 開店して諸事。
 たいてい旅行では終盤からムラムラと店の番台に戻りたくなっているもので、そんな時はいつもの諸事がとても楽しい。湧いて出てくる諸事をこなすうちに予定していたことがうやむやになり店の時間に溶けていく。

 母と兄と東京の叔母に今回の長野行きのはかばかしくない顛末を報告。

 夕方ミヤモトくんが来てくれて、造園会社への就職を報告してくれた。非常にめでたい。缶チューハイがすぐに空く。

7月30日金曜日。
 開店して諸事。
 手近な小山3コほどをまとめて仕分け、値段つけ、配架。
 動画の素材作り。
 
 TTとノムが6段階のうちの4段階目を終わらせてくれた、新聞連載切り抜き集商品化の5段階目である全体写真撮影を一気に終わらせる。

 店の改革について、去年からの目標が一つ残っている。そして、その次は「立体感」なのではないか、と思った。

 動画作成。透過処理をしたはずのPNG画像が動画に挿入すると背景が真っ黒になっているのはなぜなのか。同じ条件でできているものもあり、運なのか。

7月31日土曜日。
 開店して諸事。すぐにワンセグテレビでオリンピック野球、日本対メキシコを観る。
 動画の素材作りなど。

 撹拌機や使用法が不明な変な機械などシュール系ブツをまとめてお買い上げくださったお客様がいらっしゃり嬉しい。

 夕方から、吉祥寺パルコにて開催中のTOKYO BOOK PARKという古本催事に参加している岐阜・徒然舎さんの代打として、会場の配置転換のお手伝い。サラサラと棚を動かして終わり、と甘い見積もりをしていたが、ワゴンを動かすために上に乗っていたものを下ろし、それが次の条件の違うポジションでは同じように戻すわけにはいかないわけで、なかなかにがっちりスクラップ&ビルドな業務をする。そういう仕事がとても久しぶりで、まったく自信がないままに、形だけなんとなく収めて終える。一昨日徒然舎さんからは大量の缶ビールと大好きな鮎の甘露煮パックを郵送でいただいている。U書林さんからYouTube動画におけるハッシュタグの重要性をお聞きする、など。フレッシュな気鋭の古本屋さんたちに短時間でもお会いできてとても楽しい。
 帰宅してからtwitterを開いてとても驚いた。くりから堂さんがあの古本催事会場配置転換の様子をタイムラプス撮影していらっしゃった。なんと素晴らしい柔軟なアイデア。凄い。https://twitter.com/kurikaramarket/status/1421469061125328902

8月1日日曜日。
 開店して諸事。

 動画がひとつ完成。先週金沢の龜鳴屋さんから届いたムトさん挿絵、泉鏡花『龍潭譚』の箱を開封する動画です。長野で撮影した天竜川の映像をさっそく使えて嬉しい。

 『名画座かんぺ』最新号の表紙をゆっくり作る。ここ3回ほどまったく同じ工程、発想で作っているので、3回の画面がとても似ている。形を配置するのではなく、引いた線から形が出る方式。

 夕方から、ブヨに28箇所刺されているスネが焼けるように痒くなる。痒くなるまでに時間差があるとは聞いていたが、月曜に刺されて日曜にくるなんて。スネという舞台で、カユミがトランペットの大音量で合奏。たまに耳をつんざくシンバルも鳴る。最大に痒いときの痒みは、蚊やノミやダニよりも鋭い。しかもそれがしつこく長い。しかし、28箇所のブヨの噛み跡があることで1箇所の痒みがシンプルに28倍かと言うと、どうも違う。スネの全体が痒いので、大まかに考えれば左右のスネの2箇所である。星をひとつずつ数えれば多量だが、星が集まれば一つの銀河になる。たくさんの虫刺されの痒みは、星の痒みではなく銀河の痒みなのだ。
 ツルハドラッグでついこの間マタズレについて相談した店員さんに今度はブヨについて相談してステロイド入りの痒み止めを購入。それを1本全部使ってなんとか我慢ができるところまで治める。明日病院へ行かねば、と決意。



by ouraiza | 2021-08-09 17:12 | Comments(0)
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