こぼれたセメント    せと
12月21日月曜日。
 明日からの年末疾走モードに備えて絶対に何も予定を入れないようにしていた休日。
 北の国からのBGMを聴き名場面を流しながら地下を書く。

 夜、ムトさんが西友にて「スパゲティーバジリコ」の素を見つけ、夕飯は北の国から第19話「変なこときくけど、あんた東京にはじめて出たとき――スパゲッティ・バジリコってどういうもンか知ってたか?」を思い出しつつスパゲティバジリコ。
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 TVerにて配信が始まった「池袋ウェストゲートパーク」シリーズ初旬を数度目の観賞。池袋の景色をいちいちどこか推量するのが楽しい。「真島フルーツ」周辺、東池袋の変貌がすごい。

12月22日火曜日。
 4日間で7件の出張買い取り強行デイズ初日。
 まず隣町の買い取りご常連様事務所へ。山谷もの、など。続けて少し遠め、約20km先のご常連様ご紹介の方のお宅へ。演劇パンフなど。吉祥寺周辺の街路樹の太さ、緑の豊富さ。東京北部なんて寂れた人工物の砂漠に思えてとてもうらやましい。

 買い取りが続くので店に戻って一旦車を空にする。一部を査定。

 夜、プレステ2にて「新鬼武者」をだらだらと無目的プレイ。脳内でわだかまる運転神経のピコピコをほぐす。

12月23日水曜日。
 午後、あてどなく地下を書く。記事の1年貫通を目指し、抜けている数ヶ月分を振り返っているのだが、年内に貫通させるのは難しそうだと思う。

 午後遅く、隣区の買い取りご常連様事務所へ出張買い取り。多ジャンルを25箱。運転を2回誤る。
 店に戻って降ろし、次にすぐ近くの高層マンション18階の買い取りご常連様宅へ台車2台体制でお伺いする。大江健三郎、英会話、など。18階のロビーの窓からパノラマ画像を撮りたかったが、窓を開くことができず諦める。

12月24日木曜日。
 開店して発送など諸事。

 午後早めに毎年買い取りにお呼びくださる隣区のお客様事務所へ出張買い取り。例年より少なめで早く完了。手伝ってくれているムトさんの黒板五郎風装いをお客様に説明すると少しウケて場が和む、ということに味を占め始めている。オリコン5個。

 課題を来年に持ち越したくなく、店に戻って車の荷台を作業場にして仕分け、市場準備。年末の慌ただしさはこの自分の、節目までにできそうなことは終わらせなければならないのではなかろうか症候群、に依るところが大きいと思う。節目までに片をつける必要なんて、来年も格別変化をする予定のない営業を続ける店にとってよく吟味してみれば無い。気分をスッキリさせて新しい章を迎えたい、のかもしれないが、年号の改まりを自分の章の改まりに重ねるのもただの妄執ではないか。

 手帳編集部の朝さんが「例えばタイなど外国でコンビニの店員が務まるでしょうか」とおっしゃる。ほんと、海外であんなに複雑な業務をするなんてとてもできそうにない。

 WEB本の雑誌、橋本倫史さんの「東京の古本屋」 岡島書店さんの回がアップされている。

 夜、数日後に人前に出る仕事を控えた店員のむみちが、帳場にておしゃれリーダーめずらしいことりさんの化粧教室を受講

 中性脂肪過多のため小林製薬のEPA・DHAの錠剤、半透明で直径約1センチの楕円球、を毎日飲んでいるのだが、思い切って味を確かめようと噛んでみた。奥歯に力を込めると、玉が割れひんやりした少量の液体が舌の深い陣地に染み始めた。魚の成分、ということはなんとなく分かっていたが、魚味の鋭利なコアが口内を満たし、サバが暴れて喉を遡上してくる感じ。原材料名に「精製魚油」とあり、なるほどこういうものかほんとに魚だった、と驚いた、クリスマスイヴ。翌朝にもまだ喉の奥に漂う魚影があった。魚成分の錠剤を噛むことは、よっぽどの魚類エキス偏執狂以外、やめたほうがいい。

12月25日金曜日。
 開店して発送など諸事。

 先日お預かりした演劇パンフレット類の査定、仕分け。連続する買い取りを溜めないために仕分けを急いでいると帳場周りがごった返す。仕分けが終わって各所に配置が終われば帳場周りがもとに戻る。波が来て波が引く。

 夕方、東の隣町の買い取りご常連のお客様宅へ。翻訳文芸。お客様が韓国ドラマにはまり中であることをお聞きする。愛の不時着、観てみたい。オリコン6個。

 夜、西の隣町の買い取りご常連のお客様宅へ。とても美味しいお菓子を頂戴する。オリコン1個。年内の出張買い取りを納める。運転が無事でとても嬉しい。

 店のメインで使っている直管蛍光灯が1本切れ、ついに買い置きが無くなった。以前探したときにはなかった電球色のLED直管蛍光灯が廉価で売っているのをネットで見つけたので、思い切って4本セットを発注してみる。いつか日常的にLED直管蛍光灯が使える日が来ることを祈る。LEDは光の質が冷酷でよくないのではないか、というご意見もあるが、書店にとって従来の蛍光灯の紫外線で本が灼けることを気にしなくてもよくなることは大事件だと思う。

12月26日土曜日。
 店員のむが休みのためフル番。
 カープ菊池選手のように素早く確実に守備をし、ホークス柳田選手のようにフルスイングで攻めまくろうと1日通しの店番を楽しみにしていたのだが、とんでもなかった。まずブルペンで肩を温め、ケース別に内野の連携の確認、守備隊形の確認、バント処理の練習、用具のケア、もろもろが重なってとても攻撃にでる時間を作れない。店番のノムとT Tに、もっと早く攻めなよ〜と催促するのはもうやめたほうがいい。

 約30メートル北の建築工事のために歩道が通行止めになることを、うちの店の目の前に立って通行なさる方々に事前に報せる交通誘導員さんが、普段なら昼の3時間ほどでその役目を終えてお帰りになるのに、夕方6時ごろになってもその案内をなさっている声が店内まで聞こえ、あれ、おかしいな、と気付いた。今日は午後1時ごろから案内をなさっていたのでいつもよりかなり長時間で不思議。外の本を整えるついでに今日は長いんですねーと訊いてみたところ、若い誘導員さんは、「なんか、道にセメントをこぼしちゃったみたいで、、、すみません、、、」と仰った。そうか、なにかアクシデントがあっていつもより少し長くなっちゃってるんだな、と思っていた。20時で閉店なのだが終わらせたい値段付けを続けたので結局外の棚を片付け始めたのが21時ごろ。なんとまだ誘導員さんがいて、道の先に見える工事現場にはたくさんの人が集まって作業をなさっていた。外の棚を店内にしまい、工事現場を見に行ってみると、放水車が車道に向けて勢いよく水を噴出し、その水があふれぬよう数人が側溝の下水溝に向けて流し、歩道ではたくさんの人がスコップでガリガリとこぼれたセメントをすくっている。もう仕事を納め年末の休みに入った人も多い、師走の土曜日。新型疫病が大流行して生活の変化に戸惑わざるを得なかった不安続きの1年の、ほとんど最終日に近い土曜日の夜。なんたるセメントだろう。誘導員さんに、ぼくが先に帰るなんてなんかおかしいですね、と軽口で挨拶をして22時には店を出たが、あのセメントの片付けは何時まで続いたのだろう。

 (YOUTUBE)ニューヨーク official channelにて「ザ・エレクトリカルパレーズ」。

12月27日日曜日。
 開店して発送など諸事。
 最終営業日なので例年通りの”節目までにできそうなことは終わらせなければならない症候群”を盛大に発症して急に多方面に手をつける。

 ご来店くださったA先生が、「北の国から」の感想をしつこく言うぼくに「月曜日のユカ」のことを教えてくださった。脚本の一人が倉本聰で、英題は「Only on Mondays」。「日曜はダメよ」は「Never on Sunday」。

 夜、隣町の居酒屋にて、ある計画の会議兼忘年会。なるべくはしゃがぬよう静かめに。
 終えて店に戻るとまだ明かりがついていて、店員ノムが新年幕開けに配架する予定の中山を商品化している。やはり師走で慌てたように発注がきたブラックジャック全巻を箱詰めして発送する。

 番台上で失踪していて水曜日についに発見された切り抜き記事が挟まった芥川全集内容見本。Catch on Wednesday。
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by ouraiza | 2020-12-28 19:00 | Comments(0)
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