白い手    せと
12月30日月曜日。
 昨晩の納会では過労戦士タイタイからハイチオールC、ホワイトEX、エルシステインの良い効能について教わった。昨晩はその錠剤をタイタイからもらって飲み、今朝は店のとなりのローソン100で売られていることに気付いたばかりのローソンバリューライン「しじみ100個分のオルニチン入りみそ汁」を飲む。しじみのオルニチン、紅鮭のアスタキサンチン、ビタミンCのアスコルビン酸など、いたわりの片仮名が急に増えつつあり、狭い脳内単語部屋を圧迫する。

 長く寝て午後から『名画座かんペ』最新号のための表紙カット作り。昨日の失敗以降頭がまとまらないので、金沢でイラストの展示をしているムトさんのチラシの金魚の図を借りることにする。文言を入れて宣伝という名分も作る。
 出来上がったカットを店で表紙に案配し、嵐くすぐる先生の「おあしす」を配置して完成。

 町田に住んでいる兄が急に訪ねてきたので驚く。通信機器を持ち忘れ、池袋での忘年会の会場の場所が分からないので電話を貸して、もしくは検索せよ、と。ちょうど店にいる時間でよかった。

 さて帰ろうと店を出ると、そこにちょうど宮本くんが来てくれた。ちょっと散歩しようと”うちの本社”と愛称をつけたダイヤゲート池袋のデッキに上がって缶チューハイ片手にぐだぐだしていたら、宮本くんは新文芸坐で観る予定だった映画に遅刻、断念することになってしまった。日々中華料理店で水仕事をしている宮本くんの手の甲が、医療参考書『肌荒れ』内「最終段階直前」の症例写真みたいになっていたので、お詫びも兼ねて駅前の薬局で「ユースキンS」を買い、薬局前の路上でムトさんとふたりで宮本くんの両手の甲に塗りたくる。クリームの量が多すぎたのか、ごしごし塗り込んでもなかなか透明に馴染まず、日本の幽霊の恨めしやスタイルで両手を下げた宮本くんの手の甲がいつまでも白かった。よいお年を。
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12月31日火曜日。
 一昨日の納会で、全員をびっくりさせようと満を持して卓上に出した機種変更したばかりのアイフォン8だが、もっと演出して劇的にすればよかったなあ、と反省しつつ、設定。仕事に支障があるので新調したが、壊れた携帯電話を持っているとき、ああ、壊れているくらいがちょうどいいな、と思っていた。一つの可能な機能が次の可能をすぐに呼び、うるさい。ちょうどよさを保持したまま付き合っていけるかどうか。

 午後、買い物からの帰り道、雑司ヶ谷霊園の歩道に封を切っていないセブンスターが落ちていた。風が強く吹いているので供え物が飛んでしまったのだろう、と拾い上げて思い当たる。しかし膨大な量の墓石のなかの、誰が愛煙家だったのか。とりあえず近くの竹久夢二の墓前に戻した。

 夕方、アベンジャーズ追跡の現段階での最終回「アベンジャーズ/エンドゲーム」を観る。年内に達成できて嬉しい。

 年内に出席人数を報せねばならなかった組合支部の新年会会場になるお店へ電話をしたが不在。ホームページをよく調べると年内は昨日までの営業とあった。やはり、心残りを新年に持ち込むことになった。

 夜、紅白歌合戦などテレビ各局とユーチューブを浮遊。氷川きよしがかっこいい。

2020年1月1日水曜日。
 午後から近所の「いだてん」巡礼、嘉納治五郎像に拝礼しようと散歩にでる。護国寺を過ぎて文京区大塚、占春園という庭園内に朝倉文夫作、嘉納先生像は建っていた。さわやかな冬の大気に包まれた静謐な場所で、少し寂しそうではあった。どうしても脳内にいるのは役所広司さんなのだが、像を何周かしてつくづく眺め、信じられないことに電池がまったく減っていない新しいスマホで存分に画像を撮って、礼。

 散歩を進めながら、金栗足袋発祥の播磨屋跡を通り過ぎてしまったことに気付き戻るか逡巡して今度の課題とする。JR大塚駅付近からついに板橋駅に至る。組合支部の新年会会場となるフグ料理屋さんの入り口引き戸の隙間に、用意しておいた参加人数と報告遅延のお詫びを書いた書面を入れた封筒を差し込む。明けましておめでとうございます。

 さらに西日暮里まで歩き続け、古今亭志ん生が稽古をしていた諏方神社から景色を眺めて初詣。駅にてスタンプを捺し、『名画座手帳2019』の最後のページが埋まった。
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2020年1月2日木曜日。
 正月早々店を開けたらどんな様子なのか、初めて2日から開けてみる。18時まで。特別なフィーバーがあるわけではないがやらないよりはいい、という結論。

 去年の12月始め、数年前からずっと探していた姿のランプシェードを何気なく検索したら、AliExpressという中国の総合通販サイトに探しているシェードにとても近いシェードが掲載されているのを発見。すぐに注文したかったが念のためにアリエクスプレスでの通販についての体験談を検索してみる。全然違う物が届いたり、1年以上届かなかったり、届いても壊れていたり、安心できるやり取りではない証左とその対処法が列挙されている。しかし希望していた額よりも全然安く、送料も海外発送なのに無料。必要な4つを買って5千円かからない。無事に届けばラッキーと割り切ろう、と小一時間悩んだ末に注文。
 その電傘が、一ヶ月を経てついに今日届いた。ダンボールは少々凹んでいたが、同商品の色違いで挟んで保護してあったりして、中身は無事。注文時の商品画像よりも赤がオレンジ寄りだけど、赤いプラスチック製のシェード。なかなか見つからなかった。とても嬉しい。

 夜、新年恒例のムトさんの御実家でお母様のおせち料理をいただく宴。今年は古書信天翁センパイも一緒に。やはり八頭がとてもおいしい。年に1度の数の子。ムトさん宅の、20年間1度も足を踏み入れていない天井裏に眠っているはずの白い自転車。その開かずの天井裏に多分足を踏み入れたであろうハクビシンについて、など。
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2020年1月3日金曜日。
 『名画座手帳2019』から『名画座手帳2020』への移行ができない。2019年にまだ拾い残した落ち葉がある。

 出勤して、休日気分で思いつく業務だけをゆっくりする楽しい時間。

 ご来店くださった朝さんと新年のご挨拶。「評価が割れる時代」、「高速で回転する縄跳びにどう入っていいかわからない」、と手帳に朝さん語録を増やす。

 夜、昨日届いたシェードが今までに扱ったことのない仕様の取付口なので、東急ハンズにて現行のソケットをそのまま利用できるようにするための金具を物色。金具がダメならソケットまで取り替える必要がある。

2020年1月4日土曜日。
 正月気分であわてず思いついた仕事をするのみ。セロテープ台が番台にもう一つあったら産業革命が起こる!と興奮してamazonでポチる。など。

 夕方から実家にて清掃、片付け。必要あって父のアトリエに父の作品を観やすく並べる。
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2020年1月5日日曜日。
 午後早めに、約29.3km西へ数度目の出張買取りお預かりへ。ダンボール9箱ほど。毎回抜群に面白い内容で、それらが湧いてくる底知れない源泉を、査定の度に思い描く。
 帰り道のハードオフにて阪神タイガースの可愛い子供用ヘルメットを見つけ購入を悩むも正月で浮かれ過ぎだと反省して止める。

 夜、病院へ父の見舞い。
 
 

by ouraiza | 2020-01-06 03:46 | Comments(0)
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