手のひらを太陽に    せと
11月18日月曜日。
 休眠して放心。
 プレステ2「デビル・メイ・クライ3」のボーナスステージ「ブラッドパレス」を、ああもうこんなのヤメたいなあと思いながら繰り返す。

 夕方店にて諸事。大ベテランのK書店さんが立ち寄ってくださり座談会原稿確認のお話。店の目の前のバス停でKさんがバスを待ちながら、ぼくたちの店の閉店作業をニコニコと眺めてらっしゃる。ふとバス待ちのベンチに”悪ガキ”を絵に描いたような小学校低学年の男子が座る。大音声で歌い出した。「ぼくらはみんな生きている 生きているから歌うんだ ぼくらはみんな生きている 生きているからかなしいんだ 手のひらを太陽に すかしてみれば まっかに流れる ぼくのちしお ミミズだって オケラだって アメンボだって みんなみんな生きているんだ 友だちなんだ」。そんなBGMの中のKさんとぼく。古本屋だって、と思って可笑しい。

 夜、オンデマンドにて「いだてん」。

11月19日火曜日。
 発送数件と組合関連書類作り。

 キャッシュレス決済導入に伴い細かな作業や注意点が増えてめんどくさい。

 昨日のK書店さんに続いてT書店さんがご来店くださり座談会原稿確認のお話。

11月20日水曜日。
 推定だが80歳くらいの老婦人がご来店くださる。通っている大塚の眼科の帰り道とのこと。「もうね、左目がほとんど見えないの。本を開いてもぼーっとしか見えないから読めないの。小さなころから本が大好きで、ずっと読んできたわ。眼がダメになったときに自棄になって、全部捨てちゃったのよ。でもこうやって本が並んでいるところに入ったらもう懐かしくて懐かしくて。読めないけどほっとして嬉しいの。」(大意)と仰る。
 父親が半身麻痺になり、なにか読むものを差し入れしようとして頭をひねったことを思い出す。片手を使えない人が、無理のない体勢で本を読むには、どんな仕様がかんがえられるか。とりあえず父の好きな俳人の句集の文庫をA3サイズにコピーして細切れに巻を割って綴じなおした。ノートのようなリング式がいいのかもしれない。しかし父の場合それ以前の気力の問題があった(それが高次脳機能障害の現れの一つなのか判明できない)ので、片手で読みやすい本の形態を探す気持ちはそこで止まっている。視力が弱い人には大活字本というものもある。書店にそういうコーナーがあるのか、まだ詳しく調べていないが、書店やamazonを通したオンデマンドで注文できるようだ。響林社大活字本amazon。機械に慣れていれば(そういう世代ではない方がほとんどだが)ipadで文字サイズを調整して電子書籍を読むという手もあるかもしれない。父の介護を通して福祉的発想にばっちり目覚めたわけではないのだが、よく言われるように、車椅子に乗って、もしくは押してみると、いかに日常の生活環境が健常者の視点で作られているかがわかり、日々当たり前のように商材にしている本も、その一部なのだと初めて気が付いた。

 夜、アベンジャーズ追跡で「ブラックパンサー」鑑賞。

11月21日木曜日。
 この時期、雑司ヶ谷霊園が紅葉で色付き、毎年必ず、印象からだけの発想だが、ああなんかカナダみたいだ、と思う。

 出勤前に店の近所のローソンに行くと、数ヶ月前に西口のローソンに移動になったはずのSさんが店員をなさっていて驚く。Sさんの店番術をぼくはとっても尊敬している。人員不足でヘルプをなさっているとのこと。いつものようにテキトーにご挨拶して元気をもらう。しかしそれにしても、ご近所の各コンビニの店員さんたちの移動が多くて早くて切ない。そりゃそうだ、そういうものなのだから、なのかもしれないが。

 夕方、古い大きな引き出しを、買っていただいたお客様の事務所へお届けする約束をしていたのにうっかり忘れていて、電話をいただき慌てて引き出しを台車に乗せて急行する。しかしこの家具が想定していたより数倍重く、建物へは10分でついたが、お客様の事務所のある2階へ階段で一人で上げるのに、一段上げて休み、次の一段を目指し気合いを入れ、を繰り返し、さらに10分かかった。記憶と計画、大事。

 夜、なんとなくずっと気になっていた番台前の布を赤いものに変え、落ち着いた。
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11月22日金曜日。
 一日中雨。
 私担当だがなかなか手が着けられない黒い文芸書の大山の頂きを少しだけ削って値段付け。

 夜、本の列が出し入れの度に徐々に背面の板を押して少しずつ動いていく棚板を動かないようにビスで留める小工作。新しい鉄工用ドリルビットの切れ味が素晴らしくて感動。

 アベンジャーズ追跡で「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」。びっくりした。

11月23日土曜日。
 一日中雨。
 黒い文芸書の大山切り崩しの続き。

 エアペイというキャッシュレスシステムを導入したのだが、キャンペーンで新しいアイパッドを無料で貰えた。キャッシュレスのアプリを使うことがメインの用途だが、写真も撮れるしグーグル検索もできるしネットへの商品の入力もできるし、普通に一台軽いパソコンが増えたような気分。こんなことでいいのだろうか。全世界のインターネット通信網が殲滅される日はいつくるのだろう。

 やりたいという希求がいつの間にかやらねばという責務に育ってしまった工作案「ドクダミ」があるのだが、まだその想念のスパークを溜めている段階で、もどかしくて甘酸っぱい。

11月24日日曜日。
 久し振りに目覚ましをかけず休眠。猫たちの存在アピールを無視し続けて夜まで地下を書く。

 夜、ユーチューブにてトキワ荘関連の動画を探して視聴。メジャーでビッグネームになった方々と、森安なおやさんと寺田ヒロオさんの行き暮れが対比されていて面白いのだがとても切ない。

 「いだてん」観る。あと3回なんて信じられない。
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by ouraiza | 2019-11-25 03:33 | 工作 | Comments(0)
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