縫    せと
 雑司ヶ谷霊園から夜空を見上げるとひとつの星がひときわ赤く光っていた。火星が近づいている、と聞く。うぉータコみたいなのがいっぱい来るぞ、と友人が言った。国立天文台「火星大接近2018」

 23日月曜。埼玉の熊谷では気温41.1度で日本で過去最高の暑さだったらしい。豊島区は39度。これが体温だったら病院で解熱剤をもらって絶対安静、クーラーを効かせて寝そべって長編漫画を読み耽りたいところ。
 休眠してドラマ「カーネーション」に集中。戦争が早く終わってくれと切に願う。喜びのワット数が高いがために悲しみの影が濃い。鮮やかな悲劇。全話で泣く。主人公のモデルである和洋裁家、小篠綾子さんは1913(大正2)年生まれで、千葉に住む和裁の得意なぼくの祖母は1919(大正8)年生まれ。祖母に以前縫ってもらった浴衣を箪笥から出して羽織り、縫い目を眺める。

 24日火曜。少し早く番をあがらせてもらって実家で軽作業。父親の塑像作品寄贈を一部受けてくださる団体への引き渡し。ビバホームに寄りコロを2台購入。病院へ父の見舞い。アイスの実ブドウ味、オレンジジュース、かりんとう。

 25日水曜。夕方から名画座手帳の打ち合わせ。
 夜、店に寄ってくれた近所のMくんが、孤独で孤独でどうしようもない、、、と言うので缶ビールを飲みながらパートナー開発の方策を適当にかんがえる。1・職場周辺から同業を探す→経験上イヤ。2・習い事など環境を変えて出会いを求める→金が無いから無理。3・出会い系サイトにトライ→相性のよい人が現れるまで待つ根性が無いから無理。とのこと。どうしよう。とりあえずもう一本飲む。

 26日木曜。夕方、隣町へ出張買取りお預かり。
 夜、カーネーション。

 27日金曜。昼に店に行くと仙台から古書水の森の水ちゃんが来ていたので一緒に五反田古書会館の催事へ。多分単行本未収録の短い随筆が多く収録されている『俳句』臨時増刊、西東三鬼読本を買う。全句集などに併載されているのだろうか。『西東三鬼全集』はまだこの世にない。店で遅番ののち水ちゃんと居酒屋升三。「雨の日の方がネットが売れる」と水先生から聞く。やはりインターネット空間は、いつもダメだが雨だともっとダメな店の救世主なのだと思い、水平線のように続く広大な屋根を想う。いまさら気付くのだが、ネット上の書店では、その運営における実際の現場はとりあえず無視して対外的な面だけ見れば、風雨を避ける必要が無く、キャスターが擦り減らず、ネジが緩まず、蛍光灯が切れず、虫に追われず、ホコリが積もらず、ガムも落ちていないのである。

 28日土曜。台風接近のため、完全ガードシフトで開店して諸事。
 一日中カキピーからピーだけを抜き出すことに集中していた気がする。

 29日日曜。ついに戦争が終わった後半の「カーネーション」をずっと観る。このドラマの面白さはつまりダイナミズムではないだろうかと思う。前衛と後衛。新と旧。許容と拒絶。間に合うことと間に合わぬこと。巨大なシーソーの両端とその中心の支点。大仰な説明の無さと絶妙な配役とあいまって、もう目尻がふやけてきた。

 ある時ふと店員ノムが、とりあえずどうでもいいから描けと言うので描いた似顔絵。川崎敬三、勝新太郎。メールで褒めてくれて欲しいとまでいうハイセンスな仙台の若き同業者へ使っていない額に入れて送る。本望なものではないのに捨てづらく、片付いてよかった。大事にしてくれるに違いない。
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by ouraiza | 2018-07-31 13:28 | Comments(0)
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