町田市民文学館ことばらんどで開催中の展示、
「尾辻克彦×赤瀬川原平-文学と美術の多面体-」を観にいった。初めて行った町田という都市の賑やかさに驚いた。
一番好きな小説『雪野』の生原稿があって、胸が高鳴った。なんと、ガラスケースの中の一枚の写真には、若き日の雪野さんが写っている。読売文学賞受賞の『雪野』はなぜか文庫化されていない。「虚虚実実実話櫻画報」が連載された雑誌『終末から』を店で確認しなければ、と思った(が在庫が無かった)。
翌朝、赤瀬川さんの訃報。うなった。
尾辻克彦名義の小説が大好きで、一時期追いかけ、古本屋をめぐった。吉行、野坂、そして赤瀬川原平の本を探しに行くことが、古本屋のおもしろさを知っていくきっかけだった。
”ひねり”とか”手先”を言われがちな気がするが、初期小説にはそれだけでは表わせない切実さがある。気にはなりながら『老人力』ぐらいから先を読んでいない。なにか、結果的に”奇を衒う”ことになるのを恐れてはいけないという自戒、そのよすがにしようとしていたのかもしれない。
約10年前、古書組合へ加盟のための書類を提出した日だったと思う。帰り道、組合のすぐ近くにある古本屋さんの壁に、尾辻克彦の色紙をみつけた。気持ちも大きくなっていたのだろう、記念に買った。『夢泥棒』はほんとは”赤瀬川”名義の書名。

小さな特設コーナーをつくりました。