2013/2/22  せと
 先週の日曜日、今年の草野球キャンプイン。中年太りの重い腹をグラウンドで揺らす。
 月に一度ほど参加させてもらっているホトトギス・ベースボールクラブが、新年に去年をふりかえる納会を開いた。チームメイトたちが、草野球をやっていて昨シーズン一番印象に残ったシーンを語り、無性におもしろい。皆なんらかの感じを持って、グラウンドにいるのだ。痛恨のエラーの件、課題の守備克服の件、大人げない盗塁の件、などなど。チームメイトが仕事や家族サービスの合間をぬって車で集う草野球では、練習や試合が済めば解散、そこがすっきりと気楽なところでもあり、酒席を囲んで話をする機会はとても少ない。ぼくの順番がくる前に座はおひらきになり、その時思い出そうとしていた情景。ぎりぎり思い出せなかったことを今思い出したのだ。

 チーム一番の剛腕投手Tさんが4回初めからマウンドにあがった。
 ファールフライを一塁手のぼくが捕ってツーアウトになった。
 マウンドのTさんにナイスピッチィなんて言いながら球を返そうとする。
 「その」
 グローブをこちらに開いたTさんがマウンドからぼくに話しかけたので、送球の手を止めた。
 「その球さ」
 「え、なんすか?」
 「その球さ、まだ地面に着いてないぜ」
 「・・・・・・・!」
 最初の打者は三振だった。ストライクやボールがあって、何球かで三振。次の打者はぼくが捕ったファールフライ。やはりそれまでに何球かあった。でも、そうなのだ。確かにこの球はまだ地面に一度もバウンドしていない。
 「・・・!」
 驚くべきことなのか案外普通のことなのか、ぼくにはわからなかった。しかしとても不思議な気持ちだった。試合中に球が地面に触れていないこと。球に、地面に触れた球と、地面に触れていない球の二種類があること。球場は秋晴れのすがすがしい陽光に包まれていた。
 胸元へ、Tさんの胸元へ、注意深く球を投げ渡した。
 次のバッターはセカンドゴロだった。
 ついに地面を知った球が一塁手のぼくのグローブに入ってきてスリーアウト。

 そんなことがあった。
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by ouraiza | 2013-02-22 21:37 | Comments(0)
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