小沢昭一編集『季刊 藝能東西』創刊号〜終刊号まで全10冊揃
1975〜1977年 新しい芸能研究室刊 経年焼けあり 6000円 販売中!!! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ♡今週のシネみち♡ 1)◎◎1/2『女の学校』1955宝塚映画(佐伯幸三監督 鶴田浩二 寿美花代 雪村いづみ 環三千世) 2)◎◎『宝石泥棒』1962大映(井上梅次監督 山本富士子 川口浩 船越英二 野添ひとみ 角梨枝子 菅原謙二) 3)◎◎1/2『ポッポー町の人々』2012(鈴木卓爾監督) 4)◎◎『新しい背広』1957東宝(筧正典監督 小林桂樹 八千草薫 久保明 岸輝子 夏川静江) 5)○○1/2『眠れる美女』1968近代映画協会(吉村公三郎監督 田村高広 香山良子 殿山泰司 中原早苗 初井言栄 北沢彪 山岡久乃) 6)◎『四十八歳の抵抗』1956大映(吉村公三郎監督 山村聰 若尾文子 杉村春子 川口浩 船越英二 雪村いづみ 村田知栄子) 7)◎1/2『百万人の大合唱』1972近代放映(須川栄三監督 酒井和歌子 若林豪 大坂志郎 岸田森 峰岸隆之介 フラワー・メグ) 14:神保町シアター 27:ラピュタ阿佐ヶ谷 3:オーディトリウム渋谷 56:シネマヴェーラ渋谷 『女の学校』 鶴田浩二がエロい理科の先生をやっているという噂を聞きつけて観に行った。なのに。こんなに泣ける映画だなんて、聞いてないヨ~。鶴田浩二を観て涎が出そうになったら、と用意したハンカチは、普通に涙で濡れた。自分は共学育ちで女学校の経験はないけれど、ちょっぴり羨ましくなった。鶴田浩二みたいな先生が理科の先生だったなら、自分も理系の道をまっしぐらだったかもしれないなどと思う。宝塚系多数ということで、随所に出てくる音楽場面や劇部分に「おー」となる。雪村いづみがピアノを弾きながらきよしこの夜を歌い出すと、すかさず5部合唱くらいに発展したりでちょっと笑った。最後が本当に泣ける。周りのオジさんたちも、鼻グズグズ、大変そうだった。 『宝石泥棒』 あ~こういうの大好き!大映の60年代の軽いタッチの現代劇。1億円の20カラットだかのダイヤモンドのネックレスを巡って、宝石泥棒たちがバトルを繰り広げる。そこに富士子と浩のロマンスが絡まって・・というストーリー。エレガントのお小夜、アトミックのデコ、カミソリジレットのケン、ジェントルマンのゴロー、みんなそれぞれ魅力的で、始まりから終わりまでずーっとニヤニヤ。こういうの観てる時、至福ーーーって思う。本当に。富士子は、着物ものもサイコーだけど、洋服もいいねえ。船越がただでさえどことなく可笑しいのに、さらにオペラ歌手並みに声を張り上げて朗々と歌うもんだから、もう可笑しくって可笑しくって。しかしあれはまさか本人なのだろうか?!角梨枝子も、色っぽいマダム役で、ハマり役。カラダはって湖に落っこちた時は、こころの中で拍手喝采!そして忘れてはならんのが、菅原謙二。これまでは、嫌いじゃないんだけどもうちょっと何かこう、、みたいな中途半端な印象だったのだが、本作の謙二は当たり役。間が抜けてるようで、チャーミングで、皆に泥棒じゃないかと怪しまれてたのに、その正体は。。。俄然好き寄りになった。エンディングも「終」の字が出る瞬間までサイコーでした。余韻でまたニヤニヤ。 『ポッポー町の人々』 何と古書往来座で一部ロケ・・!のみならず、わめぞの皆が常日頃、多大にお世話になっているキク薬局も!!というかそもそも、舞台が雑司ヶ谷なのである!!!本作、観た人の評価がものすごく高く、観る前から期待で胸膨らませて臨んだ。そして、見事に、期待通り。いや、期待以上かな。登場人物のぎこちな~い不器用~な感じがクスクスと笑えて微笑ましく。個人的にお気に入りだったのは、「セックスととんかつのアンケート」をとって回る男性。いいわあ。都電荒川線が重要な役割を担ってて、その傍らで黒澤明の『どですかでん』の六ちゃん的役割の男性が「がしゃんがしゃん、がしゃんがしゃん、ぽっぽー!!!」とやっている。とにかくひとクセもふたクセもあるポッポー町の人々が何となく集まってグダグダな感じで「朧月夜」(あの音の外し方は計算の上だったのだろうか??)を奏でながら気がつくと皆がデモに溶け込んでいて、グダグダだった何かが一つの何かに昇華した瞬間の監督の「カット」。痺れました。行進中、登場人物の女の子の福島から来た伯母さんが涙を拭くシーンが一瞬あって、胸がキュウ、とした。観終わった後、しばらくは余韻で立ち上がりたくなかったほど。店のロケシーンでは、結構どっぷり店内の様子が映っていて、嬉しくて胸がいっぱいに。でも正直言うと、細部が気になってソワソワと落ち着かなかった気持ちも、ある。どうか、再びどこかのスクリーンでこの作品を観る機会がありますように。雑司ヶ谷在住ではなく働いているだけの自分でさえこれだけ嬉しかったのだから、住んでる人々にとっては特別な作品になるだろう。町の人々が集って鑑賞できるような、そんな機会があったらいいのに、と心から思う。あとインコね、インコ! 『新しい背広』 自分が観た前日に、フィルムが4回切れたと聞いていたので、中断覚悟で行き(それでも観る価値がありそうな評判の良さだったので)上映中も映画に集中しつつも「頑張れー、頑張れー、フィルム頑張れー」と唱えていたのが、何と、前日のトラブル後の技師さんの努力により、フィルム切れず!もちろん途中コマは飛んだりはしていたが。本作は58分という短かい作品で、千葉泰樹の『下町(ダウンタウン)』と同じ「ダイヤモンドシリーズ」と呼ばれる作品とのこと。『下町』もそうだったが、たとえ1時間ない作品であっても、良い作品ならば心から満足できるし、下手にグダグダと長い大作観るより断然気分もよろしい。小林桂樹、本当に大好き。この人の醸し出す安心感はタダ事ではねぇですよ。桂樹みたいな兄ちゃんもほしいし、旦那さんもほしい。劇中の桂樹は、30歳(!)で170センチですってさ。そして八千草薫の可憐さは一体どうしてくれようか!それに比べて岸輝子のオバさん度の高さ!大好き。一緒ににわとり追っかけたくなる。桂樹と久保明の兄弟愛も美しいし、桂樹と薫の関係性も美しいし、いやぁ、いいもの見せて頂きました。通りで子供たちが「ホッピング」でピョンピョン跳ねてるシーンがでてきて、懐かしかった!昭和30年代前半にすでにホッピングってあったのねえ。 『眠れる美女』 妙ちくりん映画。原作(川端康成)は読んだことがなく、比べてみたい気もする。田村高広が老け役。はいいのだけど、老人が口から漏らすいろんなため息みたいな雑音を、出しすぎてて、ちょっと耳障りだった。一緒に観た二人の友人ともツッコミまくり。山岡久乃が田村高広の妻役で、結婚当初の若い姿(実年齢は42)を見た時は何だか居たたまれないような気分に・・。多分、時間が経ったら細かい所を忘れそうな、そんな一本。美女が眠る部屋の外に置かれた尿瓶だけは覚えてそう。 『四十八歳の抵抗』 以前友人から船越英二のトンデモ写真がメールで送られてきたことがあり、訊いたら、本作での船越とのことで、楽しみだった。そのシーンはほんの一瞬だったが、それでも観れて嬉しかった、フナコシデビル!四十八歳の主人公がフナコシデビルに導かれて誘惑に負けそうになるが、最後は「普段の生活」に安らぎを見いだす、みたいな。杉村春子、いつも通りの好演。しかしこの人も損だよなぁ。レベルが高すぎて、好演だけじゃ物足りない気になっちまうんだから。。若尾ちゃんは山村聰の娘役、でその恋人役の川口浩が生意気でむかついたったらもう!!ちろっと若尾ちゃんとフランス語で会話するシーンがあって、自分は全くフランス語喋れないけれど、下手だ、というのだけはわかった。雪村いづみが、珍しくバーのホステスで山村聰に無理矢理押し倒される役。「堪忍して!」(←『眠れる美女』にも同じ台詞が。新藤節?)で事なきを得ましたがー。あと山村聰が冒頭で本屋(古本だったのか新刊だったのはわからなかったが)に寄って世界文学全集の端本の『ファウスト』を買うのだが、あのシリーズ、普通に今当店外の特価本コーナーに、ある。ああいう瞬間がとても嬉しい。あの頃の映画で使われている小道具を日々扱いながら働いているというのが。 『百万人の大合唱』 暴力団が幅を利かせる福島の郡山市で、市民が一体となって合唱音楽祭を開き、暴力を退けるという映画。泣けた。というのにはちょっと訳が。本作で皆が歌うのが「ふるさと」、先週末に女性シンガーソングライターのNUU(ぬう)というアーティストのライブを聴いたのだが、観客も一緒に歌ったのが「ふるさと」で、そのときNUUさんが、「福島の方たちは、この曲をどんな気持ちで歌うのでしょう」と仰ってて、何とも言えない気持ちになったばかりで。他にも峰岸隆之介の思わぬ展開に驚いたり、ホンモノの山本直純に度肝を抜かれたり(漫画みたいな風貌!)、大坂志郎の訛りの完璧さなど、楽しめる要素がたくさん。当時の池袋東口の駅前広場の様子も見れて、おっ!と思った。冒頭では吉田拓郎のライブ映像も。合唱のテーマ曲がまた耳に残る曲で、観終わった後は、一緒に観た友人たちとひとしきり盛り上がった。う〜たお♪あ、そうそう、フラワー・メグさんと大坂志郎の娘役だった女優さんが観にいらしていて、いい思い出になった。 フラワー・ノム
by ouraiza
| 2012-09-16 02:39
| ノミムメモ(土曜)
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