古書組合北部支部の副支部長の任期が今月まで。役員会の朝の早さがつらかった。うっかりすっぽかしてしまったのが2度。そこで使う書類を用意するのがひとつの役目だったのでとても迷惑をかけてしまった。必要無い、と思う事柄があるにはあり、しかしそれらは、昔からやってるから、という理由で存続することになる。そういう空気が確かにある。支部というものがどんなふうに構成されて運営されているのか、完全にとはいかずおぼろげながらだが教えていただいた。活気のある時代のホッチキスを活気のない現在でも使おうとしているような気もした。しかしそれもゆっくりだが変えていこうとしている気もした。
北部の管轄である東武東上線や西武池袋線の、沿線にあった小さいけれどそこに住む人には重要な存在だった古本屋が日に日に少なくなっていく。全国的な傾向でもあろう。ぼくが育った上板橋、東武練馬、常盤台、その周辺には、思い出す限り10軒以上の古本屋があった。上板橋のさかえ書房、常盤台岡川書店で、日々携帯する本を買っていた。(上板橋には伝説の新刊書店、一葉書店さんもあった)。ちゃんと確認していないが、今は3、4軒だ。組合加盟店に限ればもっと少ない。東長崎の湧泉堂書店さんも今年閉店なさった。古本屋は、「めずらしい」。以前より如実に希少な存在で、希少化は今後も進行する。板橋、練馬、北、豊島区、東京北部は特にそういうところだと思う。 「新しい芽がでても水をあげる感覚がない」「若い人を育てなかった」。大先輩から聞いた記憶に残る言葉。ほんとになんとなくである。何も考えていないぼくのなんとなくで無責任でアホな勘である。北部の古本屋が生き残るイメージは「大衆酒場」ではないだろうか。味のある赤ちょうちん。西口噴水広場でやらないかな、赤ちょうちんモツ煮へべれけ古本まつり。あー無責任。でもそういう、むりやりダンスを踊り狂うようなところがあったほうがいいと思う。バカになるというか。 石神井川そばにある北部古書会館は、もと賃貸アパートだった二階が耐震上の問題で立ち入り禁止になっている(ちょっと入って写真撮影を、という願いは即却下された)、木の床がきりっと美しい、本をさばくための使い込まれた飴色のかっこいい台がある、古本屋の仕事が永く積み重なってきた迫力のある場所である。 下画像は玄関の内側にかかっている看板。今の場所が北部会館になる以前、池袋に市場があったことはよく聞く。豊島区雑司ヶ谷町五丁目七一ニ番地。諸先輩のおはなしを総合すると、今の東通りのサンドウィッチ屋さん、サブウェイが1階にある建物の上階だと思う。組合員だけに向けて発行されている『古書月報』の今年の2月号内「ふらり、お店探訪」では、南部支部の飯島書店さんに、九蓬書店さんがインタビューなさっていて、池袋市場について語られている。飯島書店さんの最初のお店は池袋だったそうだ。 ” 三年半修行して、昭和二十八年に池袋の西口バス通りに間口九尺の物件を借りて商売を始めたんだ。立教大学の優勝パレードで長嶋を見たこともあったよ。東口に古書会館があったから市場にも通うようになったんだけど、振り手の二階堂さんがひょうきんな人で、初めて声を出したときに『君の名は?』ってその頃流行ってた映画のタイトルを返されてね(笑)。 当時の池袋には沢山の古本屋があって、親しくしていたよ。近藤さん、小出さん、宮入(盛明堂)さん、高野さん、栗林(正林堂)さん、それから今では「国文社」という出版社をやられている蕨書房と色々な方がいた。夏目さんは特に可愛がってくれたかな。 (略) 私もかなり買った方だけど、埼玉や下町の方からも多くの業者がやってきて、とても賑わっていたよ。人気のある市場だったんじゃないかな。本を置けば買ってくれるような時代だったから、山で仕入れてとりあえず値段をつけておけば良かった。商売もすごく面白かったね。(後略) ”(『古書月報』450号 2012/2 ) ![]() 入荷した図録をふとぱらぱらしていたら、吸い込まれた。ウィリアム・ケントリッジ(William Kentridge)という人のドローイング。これがアニメみたいに動くという。ユーチューブにたくさんあった。かっこいい‥‥ 図録『ウィリアム・ケントリッジ ―歩きながら歴史を考える そしてドローイングは動き始めた……』 2009 京都国立近代美術館 1600円 ![]()
by ouraiza
| 2012-07-17 23:57
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Comments(3)
> 上板橋には伝説の新刊書店、一葉書店さんもあった
以前の記事へのコメント失礼いたします。 懐かしい名前が出てきたので、 つい反応してしまいました。 上板橋マンションでしたね。それにしても伝説とは?
コメントありがとうございます。伝説‥‥10年前の記事ですが、ちょっと大げさに書いておりまして。一葉さんを憶えていらっしゃるかたにお会いする(当時の話です)とたいてい、そうそうとてもいい本屋さんだった‥‥と懐かしそうになさる、という程度のことです。
さっそくのご回答恐縮です。
懐かしい。 今でも探せばしおりが何処ぞにある筈。
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