『小津安二郎生誕100年記念 国際シンポジウム OZU2003 プログラムブック』
蓮見重彦 吉田喜重 山根貞男編 スタッフ・キャストが全員載っているフィルモグラフィーが嬉しい。 年末年始のシネみち シフトの関係で、異例(おそらくここ10年で一番長い休暇)のまるまる一週間休暇となった年末年始。しかも帰郷なし。 死ぬほど観たり読んだりするつもりでいたのに、結果は模範的寝正月。嗚呼・・・ それでも以下何本か。 年末編 ◎『黒い画集 第二話・寒流』'61東宝(鈴木英夫監督 池部良 新珠三千代 平田昭彦 志村喬 宮口精二 丹波哲郎 中村伸郎) ◎『乾いた花』'64松竹(篠田正浩監督 池部良 加賀まりこ 三上真一郎 宮口精二 東野英治郎 山茶花究) ◎『現代人』'52松竹(渋谷実監督 池部良 小林トシ子 山村聡 山田五十鈴 多々良純 望月優子) ◎◎『トイレット部長』'61東宝(筧正典監督 池部良 淡路恵子 久保明 藤木悠 浜美枝 沢村貞子 森光子)以上@新文芸坐 ◎『ここに泉あり』'55独立プロ(今井正監督 小林桂樹 岸恵子 岡田英次 加東大介 三井弘次 山田耕作)@銀座シネパトス 年始編 ×『トロン:レガシー』'10米(ジョセフ・コシンスキー監督 ジェフ・ブリッジス)@板橋サティ ◎◎『死なない子供 荒川修作』'09アルゴ・ピクチャーズ(山岡信貴監督 ナレーション:浅野忠信 音楽:渋谷慶一郎)@渋谷イメージフォーラム ○『濡れ髪剣法』'58大映(加戸敏監督 市川雷蔵 八千草薫 中村玉緒) △『濡れ髪三度笠』'59大映(田中徳三監督 市川雷蔵 本郷功次郎 淡路恵子 中村玉緒)以上@新文芸坐 ◎◎『96時間』'08仏(ピエール・モレル監督 リーアム・ニーソン)CS 『黒い画集〜』面白かったです、が、傑作と聞いていた割にはうーんそこまでかしらん、というのが正直なところ。ただし、三角関係にある池部・平田・新珠が旅館に泊まるシーンや、丹波哲郎率いるヤクザ一味のまるで脅迫になっちゃいない脅迫シーンなど、爆笑シーンがいくつか。あと、本作での新珠三千代は、神。もともと嫌いではない女優だが、これまでに観た新珠映画の中で、ぶっちぎり一番美しい。 『乾いた花』初(若い)加賀まりこ体験。き、きゃわゆい・・・。冒頭等で使われる花札の札をカタカタ言わせる効果音、池部良が醸し出す虚無感など、「乾いた」感じが印象的。音楽は武満徹。 『現代人』建設省での収賄事件を扱った作品。男どもを転がし手玉にとっちゃう豪快なマダム役の山田五十鈴が素晴らしい。実生活で恋愛経験が豊富だったといわれる五十鈴ちゃん、役的に結構地でいけたのでは、なんて推測してしまう。狡猾極まりない多々良純も素敵。池部良もよかった。本作は、役者として演技面においてターニングポイントになったんだそう。池部良扮する青年の実家が「自由書房」というインチキくさい本(当時「赤本」と呼ばれていた廉価版など)を出す出版社で、そこらじゅうに返本の山が・・・。戦後の貧しさが如実に表されたいいセットだったと思う。 『トイレット部長』大変面白かった。至るところにちりばめられたトイレネタなど笑えるし、一般人から馬鹿にされるような仕事でも誇りを持って携わるサラリーマンらにエールを送りたくなる。妻(淡路恵子)の無理解によってまったくうまくいっていなかった夫婦が、最後にはその妻の尊敬を得て円満になるという展開もマル。自分が部長だったら、藤木悠のような部下が欲しい。藤木悠が出した、トイレットペーパーに広告を印刷するというアイディアなど、当時にしては斬新だったんじゃないかしら。池部良扮する部長に軽くスルーされてましたが(笑) 『ここに泉あり』今も実在する群馬交響楽団創立当時の実話を基にした映画。脚本は水木洋子。何度か見逃していた作品だったため、観れて嬉しかった。150分はちと長かったが。いい俳優がたくさん出ていてそれも楽しかったけれど、彼らの演奏を聴く学校の子供たち、村の農民たち、体の不自由な人達が涙を流しながら聴いている表情が胸を打つ。音楽は人生を変える。口が達者ででも気のいいマネージャー役の小林桂樹が適役。顔的に好きな俳優は鶴田浩二ですが、体的に惚れているのはガゼン岡田英次です。食べてしまいたいです。そして食べられたいです。 『トロン:レガシー』これが本年度の映画初めだったと思うと本当に泣きたくなる。駄作の極み。3Dだったけど。ジェフ・ブリッジスは大好きだけど。 『死なない子供 荒川修作』期待通りの衝撃。観る前「えー、たったの80分?」と思っていたのですが、いざ観終わってみると、300分くらい観たような感じ。それぐらい「生きる」ことについて深く考えさせられるし、映画を体で観たというか。三鷹にある「天命反転住宅」行ってみたいー。一つ残念な点は、荒川修作のしゃべりが独特すぎて、あまりよく聞き取れず。テロップを入れた箇所もあったけれど、個人的には全編に入れてほしかったくらい。ひょっとしたらまた観に来させるための策略だったりして。でももう一度観に行ってもいいかな、と思うくらいの秀作だと思う。「相対性理論」とのコラボが衝撃的だった渋谷慶一郎、「荒川修作の映画の音楽は「映画音楽」じゃダメだった。」とコメントしている通り、音楽だけでも独立した作品と呼べるのではないか、という素晴らしさ。 『濡れ髪〜』映画館入る前にすでにほろ酔い、劇中もちびりちびり飲んでたら、おじさんすっかり眠くなってしまってうつらうつら。ので完全に評価できる身分ではないけれど、それにしても凡作だったと思う。中村錦之助の『殿様弥次喜多』と同じような娯楽時代劇ですが、そっちに比べると華がないし、テンポも負けてるように思った。本郷功次郎が、デビュー作とはいえ全くなっちゃいない。 『96時間』リーアム・ニーソンは好きだけれど、リーアム・ニーソンがハードアクションってどうなの?と思い全く期待していなかったのだが・・これが!ストーリーはいたってシンプル。元CIAの男の娘が友人とパリに行ったら東欧の人身売買組織に誘拐される、でそれを父親が救い出す、ただそれだけ。この映画の何がいいかというと、ひねくれたプロットが一つもなく、主人公は当たり前に悪人どもをやっつけまくり、自分の危機一髪は当たり前に切り抜け、最後は当たり前のハッピーエンド。愉快痛快爽快極まりない。超おススメ、シネみち印!ただ後に残るものは皆無! パーマネント野むら
by ouraiza
| 2011-01-08 22:04
| ノミムメモ(土曜)
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Comments(4)
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みょーちゃん
at 2011-02-12 21:38
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初めまして。
往年の日本映画と岡田英次が好きなみょーちゃんと申します。 「ここに泉あり」のような社会派の映画に出まくって、実際にレッド・パージも経験した硬派の方のハズなのに、いつも妙にエロいのが好きです(笑)鶴田浩二と共演した「日の果て」もいいですね。
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ouraiza at 2011-02-13 02:45
みょーちゃん様、
鶴田浩二と岡田英次が共演、つまり自分にとって盆と正月が一緒に来たような映画、ということになりますね。ううぅ、どこかで上映してくれますように・・・・!
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みょーちゃん
at 2011-02-13 19:19
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ouraiza様、コメントありがとうございます!
「日の果て」はDVD化されていますので、大きなレンタルショップには置いてあると思います。太平洋戦争中のフィリピンが舞台なのですが、病に倒れた鶴田浩二を献身的に看病する岡田英次という一粒で二度美味しい光景を拝めます(笑)南国が舞台のせいでしょうか、岡田英次は何度か上半身裸になってます(笑)
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ouraiza at 2011-02-14 01:30
みょーちゃん様、
明日にでも借りに行きます!ムフームフー(鼻息)。 情報誠にありがとうございました! シネみち
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