2010/10/28    せと
2010/10/28    せと_f0035084_022521.jpg しまった先月の台所大賞を忘れていた。ひとつ下に投稿。

 ご紹介せねばならない新委託商品や新配布物がいろいろあるのです。お預かりさせていただいたのだから、紹介したい。しかし、いつも、店を閉めると、脳の力がそれ以上出ず、できない。申し訳ないです。

 買い取りにお呼び下さったその住所から地図を広げると、あの、なんとなく気になっていた、高い石垣の上のお宅だ。猫の匂いのするお宅だ。
 世紀末芸術を専門になさっていた奥様のご蔵書は、ぎらっと濃密な内容の、基本から枝葉まで、すばらしいもの。しかし、本棚の最下段の列は、猫が自然をぶつける壁でもある。築年数の古い、和洋折衷の木造家屋の隙間から野良猫が自由に出入りし、伸び伸びと生活しているそうだ。独り暮らしの奥様は、その猫たちを追い立て追い出すことをしない。もう数カ月でマンションにお引越しなさるらしい。本を縛っていると、小さいのや大きいの、慣れているわけでもなさそうなやつ、ずうずうしそうなやつ、鈴がついているやつが、足もとを通り過ぎていく。
 引き取らせていただいた大量の岩波文庫と海外文学の文庫を、雨の日の店内で、猫の尿の匂いのしない商品化できるもの、商品化できないものに分けた。本とともにある生活。その生活の一部に猫がいた。猫に近い本に、匂いという表情が加わる。もちろんもったいない本もたくさんある。しかし楽しかった。

福島泰樹著作 販売中!!!!
LP『曇天』福島泰樹+龍 昭和56年 砂子屋書房
ブックレット付 盤面極僅かよごれあり
3000円
『望郷』(寺山修司追悼歌集)昭和59年 初版 思潮社
1000円
『妖精伝』(たこ八郎追悼歌集)昭和61年 初版 砂子屋書房
1000円
など。
(『完本 中也断唱』思潮社2010 は新刊委託商品のため定価3600円での販売です)

<『妖精伝』より>
福島さん口惜しいけれど人生に逆転KOなどありえぬよ
なぜか中也とたこ八郎が肩組んで百人町を闊歩しておる
逃げたりはしない、お、俺は、ただすこし慌てて墨を吐き出しただけ
豆腐故郷を納豆しつつ冷麺のなにがなんだかわからぬ夜明

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by ouraiza | 2010-10-28 23:50 | Comments(0)
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