新入荷・声明関連
東方出版 H9.初版 春秋社 H.18 6刷 音楽之友社 H.2 初版 発売中!! もう数年前になるか、大学時代、民俗学ゼミの後輩の女の子が、「こないだ、声明のコンサート行ってきたんですよー」とある日にこやかに話していたのが、妙に印象的だった。それを聞いたときはびっくりしたのだけど、近年はちょくちょく各地で行われているものみたいですね。コンサートホールの舞台で、沢山のお坊さんによる、厳かな数時間、響く倍音・・・あれ、ちょっと私も行ってみたいかも。 ----------------------------------------------------------------------------------------- 先日の外市以来、ちょっと前代未聞なくらい自分の体調が良く、みきさん(魚月相方)と普段多くても1ヶ月に1回ぐらいしか会えないのに、ここのところ数日おきに一緒にお出かけしている。しあわせ。 で、行こうと狙っていた展覧会が続々終わりそうだったので、昨日、ふたりでかなり強行軍なはしごを計画、なんとか達成できました。 まずは表参道Opaギャラリーの「オリジナル燐寸ラベル&マッチ箱アート展」、わめぞの武藤良子さんをはじめとした沢山の作家さんがマッチをモチーフに様々な作品を展示・販売している。一昨年に続いて見に行くのは2度目、前と同じような感想かもしれないけど、マッチの小さな枠の中にこれだけの世界が広げられるんだなぁ、と、改めてマッチがさらに好きに。 写真は購入したもの。縦長の女の子のは熊本奈津子さん、紺の文房具柄は、山本恵未さんという方の作品。 ちなみにオーパにたどり着く前に、近くの手紙用品専門店Winged Wheelに長時間足止めをくらってしまった。ものすごく質がよいのにすごく安い・・・。店内の客はほぼ100%、結婚を控えたカップル達で、彼らがニコニコと式の席次表の紙などを選んでいる脇で我々は興奮気味に封筒や紙雑貨を漁る・・・およびでない・・・。 そしてそれから、みきさんが何と小学生の頃から(!)10数年間行きたかったという、原宿の絵本喫茶「シーモアグラス」に念願の初入店。こじんまりとした店内に、木のテーブルがいくつか、そして(HPによると)2500冊の絵本が出迎えてくれます。私は絵本に全然詳しくないのですが、それでも、子供の時好きだった本、これから読みたい(or売りたい)本、知らないけど面白そうな本がぎっしり棚に詰まっていて壮観でした。あと、『こどものとも』や『たくさんのふしぎ』のバックナンバー、昔の装丁の岩波少年文庫などがしっかり揃っているのも眼福、次はじっくり読んでみたい。 ただお洒落なだけじゃなく、BGMは(その時は)矢野顕子、店内には清志郎の写真もあちこちにあって、うーむいい感じ。 その後浦和に移動して、うらわ美術館で「オブジェの方へ --変貌する「本」の世界」展、最終日閉館1時間前に駆け込む。これは、うらわ美術館がこれまで積極的に集めてきた美術作品としての「本」、たとえば普通の本に手を加えてみたり、もしくは本自体を様々な(ありとあらゆる)素材で制作したもの、そういう、モノとしてオブジェとしての色彩が強い展示物を特集した、開館10周年記念展なのだった。 とても、良かった。ほとんど知らない作家ばかりで、さらには知らない芸術運動(フルクサス)や知らない美術界の流行(アーティスト・ブック制作)などがどんどん出てきて、ふむふむーという感じ。 印象に残っているのは、大岡信と加納光於による、函型オブジェ「アララットの船あるいは空の蜜」。木製の函は前面がガラスで中が見え、内側には加納が各地を歩いて集めたという金属の部品やフィルムがつまっている。その隙間に納められたのが大岡の未発表詩集。函を慎重に解体しないと取り出せないという。外観が標本のようで美しかった。 また辻井喬の詩を鉄板に刻印し金具と木で綴じた、脇田愛二郎の「信号機」、鉄に映る光のゆがみと、錆の曇りが目を引いた。 あと、わやーと驚いたのが、昔の岩波文庫(赤)に付いている古びた帯付きパラフィンをそっくり外して立たせた"だけ"の作品(福田尚代)。毎日仕事でざっくり扱っているだけに、なるほど・・・という感じでした。でもなんか綺麗。 あと、これは言い方が難しいですが、どうしても書籍の存在や中身を愛する側からすると、作品によっては、元々売られていた本が折られ縫われ削られさらには燃やされ炭と化したりしてたのは・・・(観に行く前から承知していたとはいえ)目の当たりにすると正直複雑な気持ちにもなりました。だけどそういう風に人の気持ちを良かれ悪しかれ動かす事が出来るのは、作品が力を持つ証明でもあるので、そういう意味ではすごいのだと、思う。とりあえず見られて良かったです。 -------------------------------------------------------------------- もう少し、前のはなし。 ・・・きっかけは外市で、石英書房さんと話していたときのこと。 開店準備の話を伺う中で、今の場所に決まる前、石英さんがあちこち巡られご覧になった物件候補のひとつの話が、ひどく魅力的だったのでした。 都内某所、駅からそんなに遠くないところにある、古くてそこそこ広く、かなり改修が必要な倉庫、その上に付いている2間の賃貸が格安で借りられ、上下合わせても信じられないくらい、安い。 店舗を構えるときには、礼金や手数料に加え、結構な保証金が必要なんじゃ、と勝手に思いこんでいた自分は、一挙にぐわーっと興味がわきました。店と住まいの両方が安価で解決するなんて、なんだそれ、超見たい。 そこで、数日後、さっそく不動産屋に問い合わせ内見の予約をいれ、現地に相方とふたりで向かいました。冷やかしと思われないよう多少しっかりした格好(笑)で行ったのですがまぁそれは取り越し苦労で、地元の不動産屋の女性店主が自転車でサーっと来てくれのどかな感じ。それから一時間あまりじっくり中を見て、沢山しつこいくらい質問し、あちこち計測して写真も撮りまくりました。 物件を出た後は、周辺調査(という名の徘徊)。静かな住宅街の中、小学校がいくつかあって、子供達は時折通る、うーん絵本に加え駄菓子が売れそう・・・・。少し進むと大きな図書館や郵便局、あぁ、ふたりとも店番と交代でここでバイトして生活費を稼ごう、などと現実的な妄想も広がります。 そもそも、「本当に店をやりたいのか」「やれるのか」、この二つはかなり違う上に、私たちは両方ともはっきりとイエスといえない。それは、資金・在庫・経験の全てにおいて足りない、という現状からくることだけでなく、根っから自分に自信がないという我々の後ろ向きな性格に起因する。あと私個人としては、自分はともかく相方の人生までが大きく変化してしまうのが、正直怖かったりもする。 だけど、その日実際に物件を見て、なんだか、道がばーっと開けた気持ちがしました。物事がすごくクリアになって、これから必要なことが具体的に見えてきた気がしたのです。 実際は、やらないかもしれない。だけどとにかくちょっとづつ動いてみようと思います。数年かけて、沢山沢山話し合って、何かをふたりで生み出せたら、これほど幸せなことはない。 以前から、「店をやるなら雑司が谷がいいなぁ」とこっそり思っていたのですが、今はもう少し視野を広く、あちこち見て回りたいと思います。次は埼玉某所に行く予定。 あ、ちなみに内見した物件は、人通りがかなり・・・少なそうなのがネックで、たぶん話は進めないと思います。でもスタートとして本当に良いきっかけでした。 それとあと数年間は往来座スタッフとしてお世話になるつもりなので・・・えっと、いさせてもらえたら嬉しいです。 -------------------------------------------------------------------- 体調が良いと、マンガ以外の字の本が読める。これもホント滅多にないのでうれしい。 なので、たまには◆最近買った本◆のことなど。 Pen 2010年2/1号 草間彌生特集 浜野佐知『女が映画を作るとき』平凡社新書 2005年 強く信念を持って豊かな表現活動をしている女性が好きだ。大好きだ。 今魚月が気になる芸術家「ジョセフ・コーネル」が、草間と深いつながりがあったとPenの記事で読んでびっくり。 あと、浜野監督の映画作品をこれから沢山観たいと思っている。 『鉄本(てつもと)』2009年12月 講談社 鉄道に関するマンガ(創作あり実録あり)を集めた企画アンソロジー。主にモーニングやアフタヌーンなどで描いている、今をときめく作家がたくさん集合している。 特に岩岡ヒサエの短編が良かった。彼女の細やかな描線が、田舎の駅のだだっ広い風景を、寂しく、けれど魅力的に表していた。 しかし、普段電車の造形にすごく心奪われるので、自分も少しテツ(鉄道ファン)かも・・・と思ってこれを買ったのだが、甘かった・・・この世界の深さと情報量の多さにたじろぎました。 蟲文庫さんのブログに触発されて、中谷宇吉郎随筆集(岩波文庫)を買ってみた。 雪や科学的な話にも惹かれるが、パラッとめくった時に目にとまった「一人の無名作家」という中谷の弟についての一文、これがほんの短い中にさらさらと書かれているのに味わいが深くて、最後その弟が早逝したことが分かるのだが、なんだかその悲しみが読んでいる自分の心に降り積もった。 これから寝る前にちょっとずつ読もうと思う。 なつき
by ouraiza
| 2010-01-26 00:00
| ふらふら散歩(終了)
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