ペガソス!!!わめぞの天馬古書現世向井さんが名古屋へ!!!「『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)刊行記念イベント 南陀楼綾繁2009冬のトークツアー」の一環。ああ、観たいなぁ。すべて聞いたことのない話、が展開されるのでは、という気がする。(せと)
-------------------------------------------------------------------------------- 月曜日の記事に対して、u-senさんがガツンとしたエントリーで反応してくださり、すごく興奮した。 ・長谷邦夫の著書にも徳南の雑司が谷在についての記述があったこと ・徳南が昭和32(1957)年10月に上京して最初に住んだとされる「手塚治虫先生のお住まい」並木ハウスには、その時期手塚はすでに(半年前に)転居していること という新事実、特に後者にはびっくり。 刺激をうけて、さらに私もいろいろ調べてみました。 今日は、早稲田の現代マンガ図書館に1時間ほど立ち寄ってから往来座に出勤。 徳南の自伝らしい『孤客―哭壁者の自伝』(太田出版 QJブックス) 1998や『ひるぜんの曲―青春マンガ自選集』 (太田出版 QJマンガ選書 (07))1997があればと思ったが 作家別の目録ファイルをめくると残念なことに「徳南晴一郎」の項には 一番有名な作品『人間時計』の駒絵工房復刻版 1979(※発行協力:現代マンガ図書館)と太田出版復刻版 1996の2冊しかなかった。 (あ、今気づいたけどペンネーム「市川誠一」で探すの忘れた!) ともあれ初めて見る実物、感動しながら時間がないので両方をザッと流し読む。 『人間時計』はさすがに面白く、太田版に併録の『怪談 猫の喪服』の方は、徳南の自己評価が高いというが正直いまいち・・・? 『消えたマンガ家』(大泉 1996)が年譜の典拠にした駒絵工房版の解説がいろいろと詳しかったので、1枚100円(!!)の複写を申し込んでコピー。 以下気になったとこだけまとめてみます。 ・曙出版元編集長兼雑役 宮川義道氏によると、(p.91~) 昭和30年ごろ、少年宮川が受けていた通信教育のマンガ講座「芸術学院」の機関誌に、ある日巻頭見開き写真入りで「少年漫画家の活躍ぶりが特集されていた」。 それが徳南であり、そのころすでに何冊もの単行本を出版し、制作の苦心談などを語っていたという。 これはwikipediaでいう 「1955年に(中略)、大阪の丸山東光堂から『影を斬る侍』『あらしの剣豪』を上梓し、貸本漫画の世界に入る。丸山東光堂の社主の没後、わかば書房から『笑狂四郎捕物控』シリーズを5~6点刊行」の時期だろう。この頃の作品についてはこの「徳南晴一郎作品リスト」ページも参照できる。 宮川は大いに刺激され貸本屋に走って徳南の本を漁る。絵柄は横山光輝や白土の初期のような「三等身(ママ)の丸っこい画風であった」。 時は流れ昭和36年、宮川は曙出版で貸本マンガを書き始める。曙出版には+画人会という作家同士の親睦・企画会議目的の集いがあって、その頃 専属作家だった徳南と宮川は、例会で何度か顔を合わせるようになる。宮川のメモによると昭和36~37年にかけて4回は会っていたようだ。 また昭和34年ごろ撮影された+画人会の記念写真のようなもの(詳細不明)も掲載されている。 そして38年8月、このころすでに貸本マンガ界を離れていた宮川は、今度は編集者として曙出版に戻る。時代は劇画隆盛、 暗い画風の徳南はかなり行き詰まっていて締め切りも遅れがち、とうとう「社に館詰め」になり、宮川もかなり作品の背景やベタを手伝った。 これが唯一宮川と彼の個人的交流となる。 しかも、その助っ人した作品というのが最終作「独眼竜正宗」、つまりu-senさんが引用している長谷邦夫の「徳南の伊達政宗マンガを手伝った」という証言と同じものである。 いかに当時の徳南が追い詰められていたかが推察される。(ん? u-senさんの「伊達政宗」記述箇所が消えてる・・・?) 以下、マンガ執筆中の徳南の奇行なども味があって面白いが省略。 ・秋山庵による徳南の経歴(p.99~)に、『消えたマンガ家』では省略された箇所があった。 それは「昭和二十九年頃、石森章太郎主催の「東日本漫画研究会」に参加。」のあと、 「当時研究会同人の一人だった赤塚不二夫は徳南からふでで書いた手紙を貰った。それは漫画に対する溢れんばかりの熱情をこめた文章で、太く大胆な字が印象的だったという。」手塚に続いて赤塚との直接的接点がここに! その他、曙出版元編集長 熊谷千華代によれば(p.95~)、徳南は「東海道四谷怪談」をはじめとする鶴屋南北の作品に傾倒していたという。 四谷怪談(途中まで舞台が雑司が谷)といい、「夏目漱石や永井荷風を愛読」(Wikipediaより)といい、つい雑司が谷との関連を連想しなくもないが それは無理矢理過ぎるでしょうね・・・。 ここまで取り立てた発見はなく、やはり徳南の雑司が谷時代を探るには自伝の参照が必要か。 すると米沢嘉博記念図書館頼みでしょうか。はてさて。 ・・・ 日付は戻って昨日のこと。 そもそも徳南晴一郎とはどんな人なんだろうと部屋でごそごそ資料をさぐる。が、手持ちのマンガ辞典・年表関係には全然出てこない。 ずっと「ぱりお」だと勝手に思っていた巴里夫が「ともえさとお」だと分かったのが唯一の収穫・・・。 『消えたマンガ家』と同系統の800円本、宇田川岳夫『マンガゾンビ』(太田出版 1997)に名前をやっと見つけるも、作品紹介が主で経歴に言及なし。 貸本系資料は一切持ってないので、では前述の「東日本漫画研究会」やその同人誌『墨汁一滴』を復習しようとシフトチェンジ。 『墨汁一滴』について言及がある、私の子どもの時の愛読書、赤塚不二夫監修『まんが入門』(小学館 1971)を開いてふと気づく。 そうだ、この頃のマンガ入門って巻末にマンガ家の住所がばっちり明記されてる・・・。 そこでまずこの赤塚版入門所収、"こどもまんが、少年少女まんが限定"「まんが家名鑑」からわめぞエリアのものを抜き書きしてみることに。 (※漢数字はローマ数字に変更、アパート・マンション名や部屋番号は一部省略) 楳図かずお 高田馬場1-26-12楳図は確か目白などにも住んでいたと自伝で読んだことがあるが手元になく残念。 里中の南池袋というのも店と近所で面白い。 続いて、時代はもっとさかのぼり、石森章太郎『続・マンガ家入門』(秋田書店 1966)掲載「日本漫画家協会名簿」(p.208~) こちらはかなり量があるので、新宿区はもとより豊島区でも長崎や巣鴨、要町などの人は省略しました。 岩崎久人 池袋1-545 光荘貸本作家の佐藤が、上と両方に出てくるのが興味深い。 が、それをのぞいて見事に知らない人が続く・・・呵井さんとタカノさんは同じアパートだなぁと思いながら頁をめくる と、そこに 水野英子 雑司ヶ谷1-35尾古方の文字。 ん?トキワ荘(椎名町)じゃなくて? またまた恥ずかしいですがWikipediaに頼ると 「入居から約半年後の10月、故郷の祖母を心配させまいとトキワ荘を去り一旦帰郷。その後再び上京し、雑司が谷の下宿先からバスでトキワ荘に通い住人と交流を続けた[4]。」そうかーそうなのかー。これは有名なのでしょうか。むむむ? 『少女マンガパワー展』(2008)図録の水野インタビューには、彼女の原稿が並木ハウスの手塚の部屋から出てきたことが きっかけでデビューしたという記述はあるものの、雑司が谷暮らしの話は出ず。 うーん1丁目というのも並木ハウスとは違うっぽいし・・・。 さらに前述の赤塚本(1971)の名鑑の頃には、水野は(埼玉の)所沢市大字下安松の方へ移っているみたいです。 そして今日、マンガ図書館で1950~60年代の漫画家名鑑を探して貰ったところ、唯一62年の『日本漫画家名鑑』(芸術学院)が該当。 しかしこれは友の会会員のみが閲覧できる年代(1970年以前)に該当し、年会費6000円の前に撃沈。財布には2000円しか入ってなかった・・・。 ということで、ひとまず今日はここまで。話があっちこっちいっている上に死ぬほど長くてすみません・・・。 元号と西暦もごたまぜで見にくいですが後日直します。 なつき
by ouraiza
| 2009-12-02 20:01
| ふらふら散歩(終了)
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Comments(4)
いやースゴいですねー!貸本関係のモノはすこし持っているので、徳南さがししてみます。
水野英子が雑司が谷に住んでいたというのは、まったく知りませんでした。ひょっとしたら、と「少女マンガ3人展」の図録、私家版の『トキワ荘日記』、「ビランジ」の所持ぶん(丸山昭の連載)を見ましたが、記載なしでしたー。
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なつき
at 2009-12-09 03:21
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>u-senさん
コメントありがとうございます。こんな偏った話題に反応いただけるのが嬉しかったです。 マンガ史における貸本時代やトキワ荘周辺のことなどは実は全然知らないので、u-senさんの今後の記事を楽しみにしております。 私も図書館で『貸本マンガRETURNS』(ポプラ社)借りてきてちょっとずつコツコツ読んでいます。楽しい・・・。 『ビランジ』というのは初耳でしたが竹内オサムによる研究誌なんですねー。検索して出てきたリストのうち、第8号が 知られざる徳南晴一郎と ディズニークラブ 時代 渡辺泰 徳南晴一郎のアシスタント時代 長谷邦夫 という内容らしく気になります。でも品切れ・・・。 上で引用した、駒絵工房復刻版『人間時計』解説部分コピー、よかったらお貸しできますので必要だったら言ってくださいねー。
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星跡堂
at 2010-03-11 18:26
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『日本漫画家名鑑. 昭和37年版』は国会図書館にあります。→
http://opac.ndl.go.jp/recordid/000000927550/jpn ちょっと閲覧が面倒ですが、ただですよ、、(^^) 今日話した大阪堂島の店「ムジカ」は, 富士正晴や同人誌「ヴァイキング」のたまり場だったようです。私は同人の一人、久坂葉子の作品が好きでした。
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なつき
at 2010-04-08 23:07
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>星跡堂さま
国会図書館・・・うむむ、ひさしく使ってないですが、 これはやはり行くしかないですかね。わざわざありがとうございます。 ムジカは結局行けませんでした。でも大阪にすっかり惚れ込んでしまったので、次回来訪の際はぜひ! あと、先日お話した巻上公一出演の映画ですが思い出しました。 筒井康隆原作の「俗物図鑑」です。なかなか気持ち悪くてよかったです。あとすごく若い!
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