5周年、とこれから。
5周年、とこれから。_f0035084_23474845.jpg常連の方にお祝いをいただくまで、スタッフ一同すっかり忘れていましたが、昨日5月24日は当店の5周年でした。
早かったような、色々あって濃かったような、不思議な感慨を覚えます。

わたしが往来座の前身、古本大學東京芸術劇場店に初めて客として行ったのは、浪人して予備校生になった18歳の春でした。
単調な授業と自習の繰り返しに心が渇き、予備校の近くに見つけた古本屋をふと訪ねたのです。幅広く身近で買いやすい本のラインナップに惹かれ、また店員のみなさんのひかえめなやさしさと笑顔にホッとして、いつしか週に何度か行くように。少ないこづかいの中からポツリ、ポツリと買った本は、今でもすぐ書名が浮かびます。だんだんと顔を覚えてもらうようになり、私の好きそうな本を薦めてもらったときの嬉しかったことといったら。でもあくまで、無名の客とお店の関係に過ぎませんでした。

翌年の始めごろでしょうか、店が移転することを聞き衝撃を受けました。その後ほどなくして進学先が決まり、古本大學として最後の月となった3月、意を決して自分をアルバイトとして雇ってもらえないかと突然お願いに伺ったのです。今思えばずいぶん無謀です。カウンターの女性(=のむみち)にはじめて自分の名を名乗り、店長に聞いてみますと言われ、その時せとさんの名前も知りました。数日後結果はもちろん駄目でしたが、それをきっかけに親しくなって、閉店当日(H.16年3月31日)もそれ以降の作業中のお店にも顔を出すようになり、引越し作業も手伝わせてもらうようになりました。レコードがつまった箱が重かったこととか、台車で当時の倉庫をみんなで往復したこと、新しい店舗の空っぽの本棚にちくま文庫をつめたことなどなど、そのときの高揚感と共に思い出されます。そう、本当に嬉しかった。年上の方々に仲良くしてもらったことも、古本とこれまでにない距離感で接せられたことも。

大学の学年があがるにつれ店との関係性も変わり、気付いたら番台の中にいて、今では沢山働かせてもらっています。本棚も店員目線で見てしまい、客として店の本を買うこともずいぶん減ったような気がします。それでも私の中にはどこか、あのころ、二十歳前後の心もとなさと、古本大學とその周りの人々に対する濃い愛着心の記憶が残っていて、思い出すとあたたかい気持ちになります。ほんとに支えだったのだなぁ・・・と。
それとともに、もちろんもう先に進んで、店を作っていく一員として、これからは少しでも役に立たなきゃ、と思っています。ふがいなさとか限界に心折れることも多いけれど、当時の自分からしたらとても幸せな立場にいるのだから。

写真は、当時自宅に届いた古本大學の移転のお知らせ(左)と往来座としての新装開店のお知らせ(右)のハガキ。自分の物持ちのよさに苦笑です。当初の営業時間が10~22時(※現在:11~22時)など、いろいろ懐かしい。


ところで今日、念願の市場デビューをしました。私もいくつか入札させてもらって、結果は落札できませんでしたがすっごい勉強になりました。たくさんの本の山から気になるものを見つけ出して値踏みして勝負する。狙いのものと共にしばられた必要じゃ無い本の処分方法をも念頭に置きながら、損をせず、でも勝てるように鉛筆に力をこめる。考えすぎて頭がぐらぐら、肩もバリバリに凝りました。
往来座から神保町まで自転車で片道30分。代表せとさんの後ろにくっついて走った初夏の風吹く道は気持ちよかった!くせになりそうです。また日が開きすぎないうちに行きたいです。

なつき
by ouraiza | 2009-05-26 01:06 | ふらふら散歩(終了) | Comments(0)
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