◆『名画座手帳2019』販売中!!
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定価1944円 (1800円+税)  ISBN978-4-909397-19-5 C0074 A6(文庫)判 2色 288P
古書往来座販売限定特典 折りペ『BYCATS10 旧作邦画の脇猫10匹』(のむみち選)付き
ホームページ ⇒ https://meigazatecho.blogspot.com

# by ouraiza | 2019-03-31 12:00 | Comments(0)
黒赤白    せと
 叩いたり揺すったりしなければスイッチが入らなくなってしまった一昨年から使っている帳場内で足元を暖めるための黒い小型の遠赤外線ストーブの代わりに、去年板橋区志村辺りを散歩中に見つけた、まったく日本語を話さない東南アジアの方が運営なさっているリサイクルショップで衝動買いした1970年代のものに思える赤いストーブを使ってみた。やや焦げ臭さが漂い、電源コードを包んでいる布の糸が劣化して、その上を通過中に靴底で触るとぽろぽろ崩れて霧消していくのが少し気になったが、温もりとしては充分に使えていた。

 コードを刺していたタコ足の電源タップの一面が黒く焦げている画像を店番中のノムが送信してきたのが3日後くらいだったろうか。その焦げが明瞭に赤ストーブのせいであるか確実ではないにせよ、廃除すべき危険であることに変わりなく、古い赤ストーブを使うのを止め、粗大ゴミとして処理する手筈をとるようノムにメール。
 すると不思議なもので再び使われはじめた黒の機嫌がいい。床に置いていたのを小さな台の上に乗せたことで部品の接触の具合に変化があったのだろう、叩きも揺すりもしないのに順調に帳場内を暖めてくれた。しかし古本屋内電気機器短命論を刷り込まれている身としては、黒の復活もそう長くは続かない、火球が落ちかけた線香花火にすぎないことは承知していた。

 「ご入用の方、ご自由にお持ち下さい、差し上げます」と張り紙をしてまだその用が完全に絶えてはいなそうな物体を閉店後に店の軒下に出しておくことがある。ほとんどの物体が翌日の営業開始時には消えている。しかしこの半年ほど、店の営業中であっても外の棚の一番端に、食器やタオルや販促品などがごちゃっと入った、「ご自由にお持ち下さい」とマジックでそのボディに書かれたダンボールを、我々ではなく誰かが置くことがあるのだ。その仮称X-BOXはもちろん無記名で、これは古書往来座の仕業である、と誰もが思うに違いない。しかし、たまに空になったX-BOXがそのまま放置されその容器を誰がいつ片付けるべきなのかもやもやすることがある以外、店には具体的な被害のない、悪意のないものなのだ。ひとまず様子見を続けることにして、いつかXさんがX-BOXを設置する現場に遭遇する機が来たら、ご挨拶させていただこうと思っていた。

 黒の復活後一週間くらい経っただろうか。夜10時になりいつも通り閉店作業を開始し、外の棚の端に至ったとき目を疑った。「ご自由にお持ち下さい。使えます♡」とXさんの筆跡による張り紙が貼られた、やや大きめな白い遠赤外線ストーブがぽつんと置いてあったのだ。ひとまず死に際に一花咲かせている黒の後釜として喜んで頂戴することにした。

 白がネクストバッターズサークルに控えていたのは4、5日だけだった。帳場内を縦に走る黒の電源コードを店番中のタイタイがまたいだ瞬間、コードのちょうど中央がスパーク、小さな火花が上がった。タイタイはンファーッと叫びコードは断絶し床に小さな焦げ目ができた。幸いそれ以上の禍事にはならなかったが、調子の悪いストーブで粘るのは恐いことだとよくわかった。
 YAMAZENの白い遠赤外線ストーブのスイッチをひねると、今までのストーブには備わっていなかった首振り機が付いていて、ゆっくりと全体を左右に振る。長持ちしてくれよ、という無理な願いを敢然と拒否しているように見える。 


2月11日月曜日。
 夕方病院へ父の見舞い。同行したムトさんが思いついて、父の故郷、長野県辰野町のライブカメラ映像をスマホに映してくれたが、悪天候の夜で真っ暗だった。小学校低学年のころ、ぼくが初めて外食のラーメンを食べたのが辰野町で、煮干し出汁が非常に美味しかったと記憶しており、何度も店名を思い出そうとしていたのだが、ふと父に訊いてみると「神田食堂!」とすぐに判明した。一昨年の初冬、記憶だけをたよりに歩いて探したが見つからなかった。現存している。次は大丈夫。
 深夜、最近読みふけっていたマンガ『同じ月を見ている』と『ゴールデンカムイ』既刊分を読了。

12日火曜。
 市場準備、雑司が谷案内処へ納品するご近所郷土系を準備、保留物を商品化、など。
 夕方古書会館にて合同会議のついでに出品。
 
13日水曜。
 保留していた洋書の商品化がおもしろい。フランス語を検索して出自を調べたり、ローマ数字に悩んだり。地下出版のピエール・セゲルス。数学者詩人のジャック・ルーボー。
 ニチバンの赤いガムテープ。こんなに厚い必要はないと少し薄めを注文しそれが届いたのだが、色の赤まで薄くなっていて驚く。もうピンクに近い。
 
14日木曜。
 「villon」をバイロンだろうと判断。すぐにいやヴィヨンでしょ、と指摘をいただく。以前、「鈴木信太郎」に画家と仏文学者の二人いると知らず、画家の直筆挿絵の横に仏文学の蔵書目録を飾っていたことがあった。

15日金曜。
 連絡業務を多めに。
 外に出していた『ナショナル ジオグラフィック』を40冊買ってくださった若者に、研究、というかその領域の熱心なる読者なのかお尋ねすると、そればかりではなくこの雑誌の魅力はとにかく写真の素晴らしさである、と教えてくださった。見方が変わります。

16日土曜。
 夜、「昭和の池袋」を特集したアド街ック天国を観る。大御所ぞろいで楽しい。
 何度目かの「夢千代日記」をNHKオンデマンドでみつけて観始める。どうして続と新を特選に入れてくれないのか、、、。「トルコ」という言い方が出てきて、つまりそれが放送できない理由ではないとわかる。

17日日曜。
 中央市大市会場にて仙台・古書水の森ミズちゃんと待ち合わせ。
 喫煙所に腹を立てているKさんがちっくしょータバコ吸わなきゃやってらんねーっすよ、と言いながらやってきて、居合わせたOさんから一本、ぼくから一本、それぞれから渡されたタバコに火をつけ、2丁拳銃のように両手で持ってふかしながら呪詛を並べていてかっこよかった。
 夜、市にいらっしゃった沖縄古書組合の方々の宴にムトさんが招かれ、付随して参加させていただく。楽しすぎて浮かれ飲み過ぎる。Yさんが若き日に恋人と共にデモ隊役のエキストラとして参加なさった「太陽の子」、チェックしたい。
 帰路、目白駅でJRキン肉マンスタンプラリー、ラーメンマンを手帳に捺す。


詩人で数学者のジャック・ルーボー第一詩集『∈』1967初版。
タイトルは読み方のない数学記号(elements of)。「囲碁のモデルに基づいて組み立てられ」(wiki)。
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# by ouraiza | 2019-03-05 16:24 | Comments(0)
エスカレーター    せと
 右どなりのコンビニへコーヒーを買いに行くのに家を出て左へ向かい、地球を一周してついに家のとなりのコンビニに至りコーヒーを買い、また同じ道で地球を一周して家へ帰りコーヒーを飲む、のはずいぶん無駄だなあと思う。ユーチューブの観過ぎだろう。

2月4日月曜。
 店の壁にマーキングする犬、というかそれをさせる飼い主が以前から後を絶たず諦めていながらもとりあえず対策であるタバスコ割りスプレーを噴霧する。など。
 夜、沖縄から帰ってきたムトさんが、現地で配られている巨人軍キャンプのパンフレットをお土産にくれた。プロ野球球団のキャンプを観客として楽しむ、というジャンルに思いを馳せた。というところでふと検索してみるとオープン戦で森友哉さんが5打数3安打、打率6割で嬉しい(3月4日時点)。

2月5日火曜。
 文庫中山に値段付け、など。
 夜、散歩の途中、グリーン大通りと不忍通りが交差する護国寺の高架下にできたばかりのテイクアウト&立ち喰い焼き鳥屋さんが眩しくて立ち寄る。安くて気楽でありがたい。

6日水曜。
 雨で静か。保留物の洋書をひたすら値段付け。
 夕方から晴れたのが嬉しくてパカーンと思い切り外を開く。
 夜、病院へ見舞いと実家で小用。母親にイタリア料理を奢ってもらう。

7日木曜。
 大山と中山に値段付け、一部配架。
 外の歩道に仕掛けられていたガムを踏み、呪いを深める。など。

8日金曜。
 若きお客様Iさんがご来店くださり、この春からのIさんらしい進路に驚き、喜ぶ。人気のある雑誌の撮影スタッフとして来たカメラマンが、以前近所の学生たちが発行していたフリーペーパーのカメラマンだった人だったり、そういうお客様たちの航路が、番台の前に数年をかけて現れてくるのがとても楽しい。一方、こちらの軟弱な航海への反省の種でもある。

 夕方、以前棚の変更のために抜いて裏に積みっぱなしの豊島区などご近所関連本をなんとかしたいと思い、鬼子母神参道の「雑司が谷案内処」へ。レンタルボックスについてお話を伺う。

 夜、日暮里にて古書信天翁サキ先輩たちと軽宴。
 「あまちゃん」においてぼくが今のところ最も好きなキャラクター、天野春子さんとサキ先輩が1966年生まれの同い年だと判明し叫ぶ。
 「西友に入るとさ、絶対セイユー♪セイミー♪って頭の中で歌っちゃうんだよね〜」と先輩。
 そして我々が常々気になっている「西友サンシャイン店のエスカレーターは遅すぎるのではないか問題」(実は最近少しだけ速くなった気もしている)。巣鴨店も遅いらしい。後日、成増店は遅くない、とノムから報告があった。

9日土曜。
 雪の予報だったが小雨。
 大急ぎで準備して午後早めに閉店する雑司が谷案内処へ台車にビニールシートをかぶせ雑司が谷関連本を納品。往来座にあったご近所郷土関連本はその一部を雑司が谷案内処のレンタルボックスにて販売させていただいております。http://www.toshima-mirai.jp/zoshigaya/

10日日曜。
 午後からセルフストレス発散系ローテクバンドBOEESの面々が集合して古書信天翁さんのお片付けお手伝い。春の匂いと近藤十四郎さんの歌がある窓の外を眺めながら。
 終わって小奈やさん。ヨーゾーさんニュース局など。

磁器製 光る招き猫
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# by ouraiza | 2019-03-04 22:59 | Comments(0)
新しい音    せと
1月29日火曜日。
 完成した店頭看板を明治通りに置く。いかす。
 父の入院先の個室の代金の請求が来て泣く。保険は大事。父は倒れるちょっと前に訳あって解約していた。

1月30日水曜。
 お客様より「でこぽん」をいただく。こんなに突起が大きかったのかと驚く。
 極ご近所様へ台車で出張買い取り。計算機を持ち忘れたので暗算。

31日木曜。
 年に1、2度お呼びくださる会社へ出張買い取り。帰路、かなり久しぶりの雨でワイパー稼働。

2月1日金曜。
 この2カ月くらい、クレジットカードの請求に無料視聴期間内に退会したはずの「ダゾーン」の会員費が入っていて暗澹。いつだったか、大谷翔平の打席が観たくてあわてて入会しようとし、無料視聴サービスを退会した直後だったので普段使わないメールアドレスを試し、なんだかもういいや、となってそのまま放置している、気がする。その請求なのか定かではない。普段使わないアドレスとパスワードが思い出せずログインもできない。ブルーにこんがらがって。

2日土曜。
 腕枕で寝ていた猫がぼくののどの上にゲロをぶちまけたので叫んで目覚める。いつもは吐く前兆があって吐いてもいい場所へ移動させるなどの準備ができるのになぜこの日は直ゲロだったのだろう。
 初夏のように暖かい。
 店でふわふわとしているうちに、お見舞いと市場への出品をサボることになった。
 NHKオンデマンドにて「洞窟おじさん」観終わる。犬のシロ、切ない。

3日日曜。
 日暮里・古書信天翁さんの閉店イベントのお手伝い。ビートニクなセンパイが作ってきたお店のなんと和やかなことか。陽光の射す空間。差し入れで増えていく冷蔵庫内のビールが増えすぎることなく減っていく。レジ作業中に必要があってパソコンを使わせもらうと、キーボードにグラシン紙が巻いてある。使っていたキーボードカバーがダメになり、応急措置でグラシン紙を巻いているとのこと。店頭で売れたネット掲載品の在庫削除のために書名を打ち込む、など。バシャバシャ、バシャバシャバシャバシャ、バシャ。新しい役割をもったグラシン紙が奏でる新しい音。
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# by ouraiza | 2019-02-20 15:49 | Comments(0)