# by ouraiza | 2027-12-31 23:59 | Comments(0)
拓    せと
12月15日月曜日。
 「無法松の一生」(1958年版 稲垣浩監督)を観て出勤し、営業はせず内勤。
 店内奥封鎖の原因である山脈を削っての仕分け。ついに大判に突入して終業時間までに終わらず。

 夜、冒頭だけ観ようと映画「赤ひげ」(1965 黒澤明監督)を再生したらやはりとても面白くて結局そのまま最後まで観る。画面内の光線と影の美。何度観ても杉村春子さんが大根で痛打されるシーンはすごい。

12月16日火曜日。
 久しぶりになにも予定のない休み。
 映画「どん底」(1957 黒澤明監督)を観る。左卜全さんをたっぷり観たければこの映画なのか!と思った。とても面白かった。
 すぐに次の映画を再生しようとするが、映画観賞に時間を使うことがどうにも日常生活に支障をきたしつつある気がするので、猫の番や洗濯、皿洗いをなるべく優先する。

 「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」(2024 ソイ・チェン監督)を観る。FDD(Film Day Detective 映画の中に日付けを探す活動)における「祭り問題」あり。祭りは日付けが特定できそうでいてたいてい複数日に渡るのでそのうちのどの一日なのかはわからない。今回は香港の「盂蘭勝會」(盂蘭盆会:うらぼんえ)。
 「突貫小僧」(現存14分 1929 小津安二郎監督)、「パリ、テキサス」(1984 ヴィム・ヴェンダース監督)を観た。「ホテル・ニューハンプシャー」でのナスターシャ・キンスキーさんが印象深いが、「パリ、テキサス」での姿も忘れがたく、この2作が同年の映画だったとわかり驚いた。

12月17日水曜日。
 休み。
 午後、「遥かなる山の呼び声」(1980 山田洋次監督)を観てまた泣く。

 夕方からYBA(山田ビリヤードアカデミー)。年内最後になるので勝ちたい気持ちが強く、目指している「愉しい孤柳の型」を意識して励むがどうにも噛み合わずに空振り。難角度のシュートをビシビシ決める山田くんに対して安全パイのシュートを外すいわゆるズコショを続けてまったく惜しくもない敗戦。ラック数4対10。通算ラック数174対265。総合3勝26敗1分。
 居酒屋大門さんにて反省会。少し前に「上戸彩って知ってる?すげぇ美人なんだぜ?」と言っていた山田くんが今日は「これからは井上真央だな」と言っていた。

 「スケアクロウ」(1973 ジェリー・シャッツバーグ監督)を観ながら就寝。

12月18日木曜日。
 前業に遅刻しつつ店奥封鎖解除への最終段階、1000冊以上ある雑誌『朝日ジャーナル』の整理。号数を確認して発行順に並べて積んでいく。開店して諸事。

 重い作業ができるメインパソコン以外によく使っていた軽作業用のサブパソコンが数ヶ月前に壊れてしまっており、昨日やっと新調する気力が沸いたので注文していた新しいパソコンが届いた。クロームブックという小型の機種が使いやすい。前号機が壊れた理由にはかなり手応えのある心当たりがあり、それは「落っことし過ぎたから」。狭い番台上のぎりぎり端になにげなく置いてあるのを引っ掛けて床に落とすことが何回あったろう。不安定な本の塔の頂上から落下させたことも何度もあった。無理な角度で床と衝突し続けたために電源コードの差し込み口が歪み、充電ができなくなってしまった。赤い機械から青い機械へ。単語登録などの各種店用の設定を終わらせる。この軽やかな足取りのかわいいバンビを雑に扱って壊しませんようにと祈る。
拓    せと_f0035084_00522738.jpeg
 夜、「燃えよドラゴン」(1973年 ロバート・クローズ監督)を観始めたがすぐに眠りの海へ墜落した。

12月19日金曜日。
 前業で昨日からの『朝日ジャーナル』整理を続け、並べは終わったが縛りには至らず。開店して諸事。
拓    せと_f0035084_00530138.jpeg
 午後、市場へ商品を少し出品に行く。

 15年以上前からのお客様Sさんは、ご来店なさるとたいてい日常生活にまつわる楽しい情報を伝えてくださる。今日は「栗原はるみ開発の蒸し器、他調理道具類の素晴らしさ」、「SB食品の粉のカラシの美味しさ」、「板橋区大谷口の練り物屋さんの愉しさ」を教えてくださった。
 閉店前に立ち寄ってくれたミヤモトくんからは、いい感じの居酒屋さん情報を聞く。下板橋竹の子さんと板橋田丸やさん。

 夜、「燃えよドラゴン」の続きを観始めるが、独特なリズムがそうさせるのか、また途中で寝る。
 早朝ふと目覚めた隙に途中まで観て気になっていた「スケアクロウ」を観終える。とても面白かった。マックスとライオン、ザンパノとジェルソミーナ(「ザンパノ」と「ジェルソミーナ」を声に出して言いたい)。

12月20日土曜日。
 前業からずっと今晩の不忍ブックストリームの準備。雨が降り続ける。雨。かたつむりシフトで開店して諸事。

 夜、YouTubeライブ「不忍ブックストリームⅡ」の本番。「ダメ男」を「ダメ”お”」と読むか「ダメ”おとこ”」と読むか、決まりのなさが面白い。鹿美社さんの『ダメ男小説傑作選』。
 担当コーナー、ブックスポーツ略して「b-Spo」は、テレビのバラエティー番組のコーナーにあった「本名寺の変」(芸能人などの本名を当てるクイズ)をなんと素晴らしいネーミング!と感動して完全に模倣させていただいた、漫画のキャラクターの本名を当てる「本名寺の乱」。和やかで楽しかった。
 「b-Spo」は1:24:05ごろからです。

 新型ウイルス禍以降、近隣の居酒屋さんがほとんど24時前には閉まってしまう(22:30ラストオーダー、23:00閉店が多いか)ようになり、ちょっと夜遅めの場合は打ち上げ宴会難民となるのが常だったのだが、ムトさんがふと「おいら気になってるとこがあんだ」と先導してくれて試みに入った居酒屋「勝や」さんが、夜遅めに一日を労うアルコールを飲みたい連中への頼もしい救助船だった。久しくなされていなかった大いなる開拓が成就した。

 深夜、ついに「燃えよドラゴン」を観終える。大量の練習生たちが整然と広場に並んで突きや蹴りの型稽古をしているのを空撮しているシーンがあるが、目を凝らすとそのうちの何人かがフニャフニャと仕方なくやらされているように見え、面白かった。

12月21日日曜日。
 前業で『朝日ジャーナル』のしばりをひたすら。1200冊と少しあった。開店して諸事。
 綿々と番台上滞留物の値段付け。

 閉店後の番台端会議の議題は定番の”宝くじが当たったらどうする?”。ビルを建てて地下2階から最上の10階まででなにを営むか。意見が噴出して愉しい。

# by ouraiza | 2026-01-18 17:53 | Comments(0)
ホリデイ    せと
12月8日月曜日
 営業はせず午後から内勤。
 店内奥に積んでいる山脈の大判の仕分けをずっと。
 大判の仕分けなどが終わり、よかった、あとは残った雑誌類をひたすら整理して仕分けだ、と一息ついて山脈を眺めていたら、その雑誌類の塔のバランスが決壊して複数の塔を道連れにし、だいきほ山崩れが起きた。絶望しながら店奥の一面に散らばった雑誌を拾い集めてまた積み直す。

 夜、映画「ジャッカルの日」を観終わる。FDD(Film Day Detective:映画の中に日付けを探す探偵業)としては、日付けが16個もあり、さらに登場する広場の名称が「6月18日広場」だったりして大混乱をきたす。

 続けて「戦場のメリークリスマス」(1983 大島渚監督)を観る。
 FDDをしているうちに浮上したトピックの一つに「クリスマス問題」があり、これはその典型例。有名なハラ軍曹のセリフ、「メリークリスマス、ミスターローレンス」が、12月24日か25日かわからない。「イブ」という明示があればいいのだが、戦メリには無い(と思う)。
 黒澤明監督の「醜聞 (スキャンダル)」の印象深い、左卜全さん志村喬さん三船敏郎さんがバーRedCatで「蛍の光」を合唱するとても素敵なシーンも、24日なのか25日なのか判明できない「クリスマス問題」の一例。

 「洲崎パラダイス 赤信号」(1956 川島雄三監督)を観た。役柄がうじうじとしすぎた男性で、三橋達也さんを嫌いになりそう。主な舞台の一つ、川沿いにある「千草」は居酒屋と同時に貸しボート屋でもあり、なんたる二刀流!とうらやましい。

12月9日火曜日
 休みだが、午後、立石書店一郎さんの運転で市場へ出品に行く。帰路、神楽坂の坂の途中で一郎さんに待っていてもらい洋服屋さんに飛び込み、先日立ち寄った際に手に取って眺め、酔っていたのと時間がないのとで「今度またきます」と店員さんにオタメゴカシを言ったことがこの一週間ほど気になってしかたなかったコートを買う。

 夕方から友人かつビリヤードの師である山田くんとムトさんと軽い忘年会。なんとなくな勢いでカラオケにいき、”音程知らず”とされてきた山田くんがしっかり歌を歌っていて非常に可笑しくびっくりした。
 帰宅後、大事な書類を居酒屋さんに置き忘れてきたことに気付いた。

 深夜、映画「白痴」(1951 黒澤明監督)を半分ほど観る。

12月10日水曜日。
 休み。
 昨晩紛失した書類を探しに隣区の居酒屋さんのランチ営業の始業時間に自転車で行く。落とし物として番台に届けられておらず。スマホや鍵とかだったら保存するんですが折りたたんだ紙の書類ならテーブルの片付けのときにたいてい捨てちゃうんですよね、と丁寧に一緒に探索してくださった店員さんがおっしゃる。空は快晴、気分はどしゃ降りで帰路についた。

 夕方から古書会館にて会議。会議後の荷捌場でヌーヴェルヴァーグ文庫さんから楽しみなお話を聞く。居酒屋はなびさんで反省会。同業のTちゃんがコンセプトカフェという喫茶店に行って社会見学してきたとのことでポラロイド写真を見せてくれた(掲載許可もいただいた♡)。手帳には「半生の反省」と残っているがなんのことだか思い出せない。
ホリデイ    せと_f0035084_18195006.jpeg
 深夜「白痴」を観終わり、「この広い空のどこかに」(1954 小林正樹監督)を観始めた。
 
12月11日木曜日。
 体調が悪く立っていることがとても辛い。ああ自業自得だなーと思う。思うに、深夜に「洲崎パラダイス赤信号」を観て睡眠不足→ご機嫌にアルコールを摂取して二日酔い→深夜に「白痴」前半を観て睡眠不足→書類を紛失して落胆、またアルコールを摂取して二日酔い→深夜に「白痴」後半を観て「この広い空のどこかに」を観始めて睡眠不足。というサイクルが身体に悪影響を及ぼしている気がする。「白痴」の原節子さんの演技に中った感もある。
 午後一応出勤したが絶不調なので店員ノムにあとを頼んで早退。家で、断続的なマーライオンのように吐瀉しながら昏倒する。

12月12日金曜日。
 中程度に回復したので出勤。前業から開店後の諸事を挟んで店奥を封鎖している山脈を削って市場準備。学術系雑誌をタイトル別に分けていく。『世界』『思想』『理想』『中央公論』『思想の科学』他、他。
 体調に難ありなので禁酒する。

 「この広い空のどこかに」を観終わった。若き大木実さんはとてもシャープで美男子だなあ、と思って観ていたら後半にたくましい大木実さんがふすまを開けて登場したのでびっくり。一時停止してキャストを調べるとあの美男子は石濱朗さんだった。

12月13日土曜日。
 前業で少しだけ滞留物の商品化。開店して諸事。
 年末が迫る週末なのでお持ち込み買い取りが多く、番台上滞留物の大山の標高がどんどん高くなる。

 ここ数日続けていた山脈を掘削しての市場向けの商品作りの区切りがよかったので市場へ出品へ行く。
 一昨日のノックダウンが尾を引いていてなんだかまだ臓腑が重苦しいので禁酒。

 半同居しているムトさんが出先から「なんじゃこりゃー気持ちわりー」と早退してきて、ぼくとまったく同じ症状で寝込んでしまった。その苦悶の姿から、むむむ、これは不摂生が原因の故障ではなかったのだな!と判明。原因として思いつくのは、火曜日に居酒屋さんで食べた生ガキ。ムトさんは生ガキを食べていないのにぼくから感染してしまったのだ。非常に申し訳ないことだ。その時一緒に生ガキを食べた山田くんに宴の後の体調をラインで尋ねるとすぐに電話がかかってきて、「気持ち悪くて32時間寝続けたぜ」と言っており、ムトさんに申し訳なくも笑った。そしてつまり、不摂生はまだ大丈夫、ということだ。

12月14日日曜日。
 前業で少し滞留物の商品化と配架。開店して諸事。
 俵万智さんの歌集『オレがマリオ』を拾い読みしていたらとても良くて少し泣く。勘としか言いようがないのだが、ぼくには俵万智さんが根本的に不足している、という気がしていたのだった。

 店員ノムが恒例の矢野顕子ライブ観覧のため早退したので一人番。数日前にひらめいた工作を始めることにする。
 店内で仕事はしているが営業をしていない時、「本日は定休日です」という貼り紙をその都度ガラス扉にマグネットで挟んで留めていたのだが、外すのを忘れたり、毎週のこととなると面倒な一手間だった。
 入口ドアのすぐ横に、外に置く本棚がガラス面にぶつかることを防ぐために厚めの木の板を置いており、その板の裏面に休業中であることの表示をすれば、いつも置いてある場所の板をほんの少し動かして裏返して立てるだけで「本日は定休日です」を示すことができる。
 文字を板に書く方法に悩み、思い立ってスプレー塗料でのステンシルにした。マスキングとなる紙の縁が浮かないようにシワなしピットで留め、黒いスプレーを噴霧。
 ほんの少しのにじみはでてしまったが、キリッとするよりも文字の輪郭が柔らかくなってよかったかもしれない。「休」の一字で全てを表す!とその直球ぶりに悦にいっていたが、しまった最近とても多い海外の人にはわからないではないか、と気付き、「CLOSE」はなんとなく違うと思い「HOLIDAY」を慌ててつけ足した。
ホリデイ    せと_f0035084_18201145.jpeg
ホリデイ    せと_f0035084_18210325.jpeg

# by ouraiza | 2026-01-09 00:32 | 工作 | Comments(0)
清と精    せと
12月1日月曜日。
 内勤を休んで寝る。午後遅めから少しだけ諸事。受注物の発送などなど。封鎖している店奥に積んでいる大山脈の一部が崩れそうなので積み直し。
 
 夜、遠方の頑張っている同業の友人といわゆるZOOM飲み会をする。こんなことができるなんて、インターネットというのはすごいものだ。もしインターネットの通信電波が目に視えたとしたら世界は何色だろう。多分、空気の成分は酸素と窒素とワイファイ、に違いない。

12月2日火曜日。
 休み。
 映画を観る。「麻雀放浪記」(1984 和田誠監督)、「昭和残侠伝」(1965 佐伯清監督)、「醜聞 (スキャンダル)」(1950 黒澤明監督)。3作とも戦後の焼け跡の気配が色濃く、映画が映す時流の背景がとても面白い。ギャンブラー、やくざ、画家、弁護士の復興。
 夜、「いのちぼうにふろう」(1971 小林正樹監督)を観る。仲代達矢さんのなんたるかっこよさ。人を斬り小鳥を護る。

 買い物をしに出て、東池袋のタワーマンション建設工事現場の横を通りかかると、ヘルメットの影が店に整列している静かなシーンがあった。
清と精    せと_f0035084_14530920.jpeg
12月3日水曜日。
 休み。午後出かける前に「アパートの鍵貸します」(1960 ビリー・ワイルダー監督)を観る。これがあのテニスラケットパスタすくいか!と思った。
 神保町の文房堂さんに額縁を誂えにいく友人Kさんとムトさんについていき、B4判のポスターフレームを買う。さんま好きのKさんと行きたいと機を待っていた飯田橋の居酒屋秋刀魚さんへ。さんまの塩焼きはメニューになく、お店のかたにお尋ねすると、もう時期が遅くて小さいのしか入らないからとのことだったが、それでもいいのでとメニュー外のお願いをして今年最後のさんまの塩焼きをいただいた。
清と精    せと_f0035084_14535571.jpeg
 神楽坂を歩いて以前から気になっていたビリヤードStellaさんで少し遊ぶ。ムトさんと柘榴杯。こういうお店が近所にあったらいいのになあ、と思う。

 夜、映画「悪い奴ほどよく眠る」(1960 黒澤明監督)を観た。

12月4日木曜日。
 前業後に開店して諸事。
 梶芽衣子さんの『女囚さそり 第41雑居房』のパンフレットを昨日買ったフレームに入れて飾る。かっこいい。
清と精    せと_f0035084_14581141.jpeg
 大山脈で店奥を封鎖したまま年を越してしまいそうなのがイヤで、普段は場ががちゃがちゃと乱れるのでやらないようにしている営業中の山脈の仕分けを番台横でやることにする。台車2台分程度を切り分けたところで縛り、次の2台に移ることを繰り返す。

 今日は「江分利満氏の優雅な生活」を観るのだ、と言ってしばらく後に、ムトさんが「おい、今日は佐分利信を観るんだろ?」と言うので、「エブリだよ!」と応じる。「ブリが一緒じゃねーか!」とのことで可笑しい。

 氏名を訊ねられた時、苗字と名前のうち名前を1回先に言うといい感じ、という説を聞いた。例えば「お名前は?」「太郎‥‥山田太郎。」のようなこと。機会があったらやってみたい。

 映画「江分利満氏の優雅な生活」(岡本喜八監督)を観た。

12月5日金曜日。
 前業から開店して諸事をはさんで店内奥を封鎖している山脈の仕分けをずっと。

 夕方、入口ドアと店内の2箇所に掲示している「屋外の商品は先にご清算ください」という貼り紙を指して、「あの‥‥何度か来店してずっと気になっていることがあって‥‥余計なお世話だったらまことに申し訳ないんですが‥‥」と男性のお客様がお会計をしながら話しかけてくださった。内容をお聞きしてとても驚いた。お客様は宙に指で文字を書きながら、「あの貼り紙に『清算』とあるのは『精算』なんじゃないでしょうか‥‥もしなにかこだわりがあるのならすみませんが‥‥」とご丁寧に仰る。なんたることだろう、ぼくは「清算」と「精算」が微細な違いはあるかもしれないが大きな枠内ではお会計の意味に使える終局的には同じもの、だと思い込んでいたのだ。「十分」と「充分」のように、差は手癖くらいのものだろうと。
 講談社学術文庫『国語辞典』より抜粋。
清算/財産を整理、処分すること。過去の関係を全部捨てさること。
精算/こまかに計算し直すこと。

 夜、映画「ジャッカルの日」(1973 フレッド・ジンネマン監督)を観た。今日と言う日の打ち上げでの飲酒による酔い、ストーリー展開の速さ、フランスとアルジェリアの歴史的関係への無知によって脳が追いつかず、半分も進まずに眠りの底へ沈没していた。

12月6日土曜日。
 前業から開店して諸事を挟んでずっと店内奥を封鎖している山脈の仕分け。四六判が終わった。多い順に、政治、歴史、中国関連、帝王学、宗教、など。

 夕方ふと空いた時間に「屋外の商品は先にご[清算]ください」看板を[精算]に作り直して貼り替える。

 夜、ムトさんに連れられ新宿のライブハウスでムトさんが応援中のっぺらさんのライブを観る。鳴れ鳴れもっと鳴っていろいろつんざけー、という想いが湧いて涙がでてきた。各種貼り紙を見ると、ライブハウスは往来座と同じ年に開業なさっているようだった。しきりに「俺薄着なんすよー、失敗したなー」と照れくさそうに繰り返す男性と「そうすねー、厚手の上着あったらいいすねー」などと言いながら喫煙所でたばこを吸った。とても楽しかった。

12月7日日曜日
 短い前業。開店して諸事。
 店奥に積んでいる山脈の仕分け、A5判をよいしょよいしょと進めて終わらせる。
 
 閉店後の番台端会議にて、なぜか不思議と日々の隙間に忍び寄ってきてそれなりに盛り上がり楽しいけど不毛な話題の筆頭、「宝くじで10億円当たったらどうする」会議が始まる。今回の反対意見が最少の一応の落着点は、「どこかの町に横丁を作る」だった。
 映画「ジャッカルの日」の背景になっているフランスとアルジェリアの関係について調べたり話したりしていたら、ムトさんが「ん?アルジェリアだっけ?ナイジェリアじゃねーか?」と言う。なるほど、ジェリアが有るのか無いのか。


# by ouraiza | 2025-12-08 01:57 | Comments(0)
空き地    せと
11月24日月曜日。
 営業はせず内勤。
 午後すぐに極ご近所様宅へ出張買い取りへ。先週下見をさせていただいたので作業の軌道をイメージできており早い。店員ノムもシバリをしてくれて約30分で終了、30束。
 車から店に降ろし、店の諸事をいろいろ。
 目標だった店奥封鎖の要因である山脈の掘削はほとんどできなかった。

 映画「ミッドナイト・ラン」(1988 マーティン・ブレスト監督)を観る。何度目かだが、やはりとても面白い。

11月25日火曜日。
 休み。午後から阿佐ヶ谷のブックギャラリーポポタムさんにてムトさんの個展「沼日、また」の片付け、搬出作業。素敵な町だなあとまた羨ましがりながら散歩してビリヤードルーツさんにいたり、ビールをいただきつつほんの少し遊ぶ。

 夜、映画「血と砂」(1965 岡本喜八監督)を観た。すごかった。ブラスバンドの「聖者の行進」がずっと残る。

11月26日水曜日。
 休み。午後、去年に続いて2回目となる北部古書会館跡地の空き地の雑草を抜いて掃除をする北部空き地クラブを有志にて。草をぼすぼす抜いて一箇所に集めるのは簡単なのだが、ビニールのゴミ袋に詰め込むのが難しい。しかし繰り返しているうちに、太い幹の部分がうまく袋に納まるような折り方、丸め方に熟練し、上達するのが楽しかった。ゴミ袋25袋を作り、記念撮影して缶ビール。信天翁センパイが買ってきてくれたゴムボールでオミさんとセンパイと短時間のキャッチボールをして遊ぶ。
空き地    せと_f0035084_02501741.jpeg
 作業後の夕方、いつかお伺いしたかった下赤塚の司書房さんへ。屋外の古道具コーナーに木製のビリヤードキューを見つけ、ブレイクキューにびったりだ、と購入する。無銘だがガッチリと太くたくましい。いつもは師・山田くんに借りていたのだが、これでついに自前を持てた。
 オミさんのお父上から店作りの工夫についてお伺いする。再編集と発明と手を動かすこと。売り物にならないと思えるようなものでも、組み合わせや新しく手を加えることで甦ること。商品を創造なさっている。店番中だったオミさんのお母様は、まるで邦画に出てくる女優さんのようで眩しかった。
 駅前でご家族にケーキを買おうとなさっていた同業のKさんと偶然ばったり出会うなどしながらたどりついた下赤塚の焼き鳥屋さんにて打ち上げ。

 深夜、ぼーっとしており、くわえた歯ブラシをタバコと間違えて柄の端にライターで火をつけていた。

11月27日木曜日。
 前業で多分、滞留物の商品化、配架。開店して諸事。

 昨日空き地の掃除で使った鎌や火バサミが入っているトランクを片付けようとチャックを開けると、空き地で開け放っていた期間に侵入してそのまま運ばれてしまったのであろう蟻と蜘蛛と変な虫が出てきたのでキャーッと叫んだ。

 夜、映画「異人たちとの夏」を観た。ノスタルジーとホラーとスプラッターの奇抜な融合。
 続いて現存するフィルムが11分しかないという「大学は出たけれど」(1929 小津安二郎)を観た。

11月28日金曜日。
 前業で多分、滞留物の商品化、配架。開店して諸事。

 映画の中に日付けを探す企画フィルム・デイ・ディテクティブのデータ整理が無性に楽しい。

 店の入り口の前のコンクリートの溝にたんぽぽの綿毛があった。
空き地    せと_f0035084_10302194.jpeg
 夜、映画「の・ようなもの」(1981 森田芳光監督)を観る。映画鑑賞には飲酒が過ぎていて、あー最近伺ったばかりの谷中HAGISOさんの昔の姿だ!あー普通に街の商店街として賑わっていた谷中銀座だ!などと驚いているうちに眠りの地平に堕ちていた。 

11月29日土曜日。
 前業でなにをしたのか。開店して諸事。
 午後早めに市場に行き数点の商品を出品し、先週に引き続き、夏に逝去なさった先輩T書店さんの在庫の市場への商品化を頑張っているKさんやOさんたちをお手伝いする。
 大量のビニールでパックされた映画パンフレットのセロテープが経年で溶けたような状態になり、1冊ずつ剥がしていくのに一苦労。一緒にお手伝いをしていた長年Tさんといろいろな催事で一緒に仕事をなさっていたAさんに、テープが溶けてすごいことになってるっす、と報告すると、Aさんは「まあ、Tさんハゲてたからな!」とのことで可笑しい。さらにAさんが「Tさんってさ、手をグーにしたのを前から見たらほんとクリームパンみたいなんだよ、可愛かった」と教えていただいた。グーにした手がクリームパンみたいだった。なんて素敵な追悼だろう。
 先週と今週、今までにほとんどしてこなかった、というか機会が生まれなかった、同業者と一緒に作業をする、という体験をした。店への執着が長いせいで、そういう経験をするのがとても遅い。地区支部の役をやり、同業と共同作業をする機会があればできるだけ率先して参加してみよう、と思っていて、ほんの極一部をお手伝いしただけなのだが、業者の一人としてその業界内の大事な景色を見せてもらっていると感じる。

 閉店後、ぴたりとタイミングが合い絶好の機会だったので、高校生時代にビリヤードをプレイしていたが壁にぶつかって以来やっていないという手帳編集部Iさんを誘ってビリヤード場で深夜まで遊ぶ。台上の宇宙の闇へもぐり、右往左往する。まったくもって難しくて面白い。

11月30日日曜日。
 前業でなにをしたのか。開店して諸事。
 
 「ストロガノフ」ってなんだ、と唐突に思う。軽検索によると[ビーフストロガノフ=ロシアの貴族「ストロガノフ家」に由来し、その家で考案された料理、またはその晩餐会で即興で作られた、など諸説あり]とのこと。ストロガノフ家(Стро́гановы)。いろいろなネーミングに使いたくなるストロガノフ。坂道ストロガノフ。電話ストロガノフ。梅ストロガノフ。

 映画「の・ようなもの」を観終える。とても面白かった。ロケ地のひとつが谷中だったが、若き落語家さんが古書往来座からほど近い南池袋3丁目の路地でちりがみ交換のアルバイトをしていたのでさらに驚いた。出船亭志ん魚(しんとと)さんが町をつぶやきで描写(「道中づけ」というらしい)しつつ途中でリズムを整えるかのように「しんととしんとと」と合いの手を刻みながら歩き続ける東京の夜が美しい。しんととしんとと、これから長い距離をひたすら歩くときにきっと思い出すだろう。

# by ouraiza | 2025-11-30 15:10 | Comments(0)