夕方、外の本を触りにドアから出ると、空気がとても焦げ臭かった。一部の小さなものが焼けた匂いではなく、街角全体を包み込むような広々と拡散される煙の匂い。火事だったら嫌だな、嫌すぎる、と禍々しい予感に満たされながら、とりあえずお隣の福祉複合マンションの周りを歩いてみた。店と一番離れた場所にあるマンションの一階に併設された幼稚園の前まで来ると、同じように焦げ臭さの正体を探してうろついていたのであろうご近所さんと幼稚園の先生との会話が耳に入った。「すみませーん、校庭で焼き芋焼いたんです、こんなに煙が出るとは、すみませーん」。ぼくもその会話の現場に少し近づき、「あ、焼き芋だったんですねーこの匂い。」と話を合わせてほっとしてして店に戻った。小さなころ、千葉県成田市の母親の実家の庭で、元軍人で身体の大きな祖父がドラム缶内におこした火にさつまいもを突っ込み焼き芋を作ってくれた。無性に美味しくて繰り返しもっと欲しいとねだったことを鮮明に思い出した。焼きたての焼き芋はほんとうに美味しいものなのに、その匂いにぼくは嫌な予感をもって詮索をする。そんな先週の小さな出来事。 1月8日月曜日。 祝日だし三省堂古本まつりの初日だし開店しようということで、ゆっくり出勤して定休日の無約束営業の開店、諸事。 店頭販売の在庫が無くなった『名画座手帳2024』の売り場と宣伝を解体。「SOLD OUT」表示を貼るなど。 極ご近所の、ビルのオーナーがなんども変わってついに移転することになりそうで引っ越しの準備をなさっている商店主FさんがDVDを10枚ほど買い取りで預けていかれ、15分ほどして「買い取りになる〜?」と戻っていらっしゃった。1000円です〜などと告げていると、番台上に目を向けているFさんが「あれ?ザナドゥーのDVDあるじゃん、いいんだよオリビアニュートンジョン。あれ、その下のやつとか、なんか俺と趣味が似てるなーー」とおっしゃる。1000円をお渡しし「あの、お伝えしづらいんですが、これさっきFさんが持ってきた‥‥」と言うと、「‥‥なーんだそうか!」と颯爽と手を振って帰って行かれた。 年末に入荷して車に積んでおいた大山を降ろして仕分け。また車に積み込む。 閉店後に田中角栄邸が火事で全焼、と聞く。となり町の自転車なら15分以内の場所だが、喧騒は聞こえなかった。 1月9日火曜日。 休み。なにもせず廃す。自宅の阿片窟にこもる。「ワンスアポンアタイムインアメリカ」における、主人公ヌードルスが弛緩埋没するチャン・ラオのチャイニーズシアター内阿片窟がとてもいい感じで、そういう場所があったらいいなーと思う。 夕方、サボってもいいんじゃないかという胸中デビルのツイートを見ぬふりをして市場に出品へ。2024年、いまだサボらず。 春日通りを南下、文京シビックセンター手前で、表示が薄くてチューンできずそれしか受信していないNHKFMから地震警報が流れる。運転中は余計焦る。震源は能登より少し上の新潟の様子。 夜、買い物ついでの散歩中に八代亜紀さんの訃報をきく。YouTubeを漁って八代亜紀さんの歌を聴く。 1月10日水曜日。 休み。自宅の煙草窟にこもる。 ずっと公開を待っている「ザ・ボーイズ シーズン4」が2024年中に放送されるらしいとわかる。夜、「ザ・ボーイズ」の傍流ドラマ「ジェン・ブイ」を観始める。 深夜、ふと再生ボタンを押して映画「エクスペンダブルズ」を観る。 1月11日木曜日。 開店して諸事。 年末に店員TTが作ってくれた昨年の売り上げデータが間違っていたことが判明。TTが2万7千円の売り上げを27万円と登録していて可笑しい。いろいろ計算をやり直してデータを修正。年末に一喜一憂した曜日別売り上げランキングも変更。火曜日の順位が一つ下がる。純粋店頭売り上げだと順に土日火水木金。それにしても平日の1位が火曜日であって週末に近い金曜日がビリなのが不思議。 お預かりした委託商品を慎重に商品化。番台上中山の値段つけをずっと。 店員TTがお土産にくれた新潟の柿の種がさすが本場と思わせる美味しさで驚く。普段カキピーからピーだけを抜き出して食べていたが、カキだけでもいけるのは初めて。 1月12日金曜日。 開店して諸事。 番台上中山の値段つけをずっと。外周ではなく内周の仕事量を増やしたい。 長く保留して無駄に場所をふさぎ続けていた木のおもちゃ類を商品化。 夜、帳場にてYouTubeで懐メロを聴く会。BOØWY「季節が君だけを変える」の、「季節が、君だけを、変える」っていうのはどういうことなんだ、となる。 1月13日土曜日。 開店して諸事。 番台上の中山の値段つけを終わらせて次の中山を載せる。さらにお持ち込みの小山をシャッフルした中山も載せ、値段つけを開始。 夜、「シンデレラフィット」について教わる。信じられないほどジャストサイズ。 外の棚に鶴が置いてあった。 1月14日日曜日。 開店して諸事。 山脈の大部分だった映画系の大山の値段つけについに目処がつき始め、ウェブへの登録をひたすら。 先週作ったクリップとベニヤ板を組み合わせソフトゲルグロスという保護塗料を塗った「外商品先清算看板」が失敗だと確定。まずソフトゲルグロスを暑く塗ることの難しさに直面、ちょっと見辛くなるぐらいだからまあいいか、と許容範囲内だったが、クリップがドアの把手をがっちりキャッチするものだろうという前提が崩壊。ドアの把手というものは、想像以上に絶えず衝撃を受け、お客様の自由な発想で触られるものだという事実。自分は店に対して主観的にしかあり得ないという現実。お客様はもっと自然に茫然とドアの把手を掴み、看板を叩いて引っ張ったりなさる。これはまったく社会心理学的な設計ミス。最近そういう空振り工作が増えてきている。しつこく工法をかんがえることをやめ、ただ単に厚紙にメッセージを書いた紙をガムテープで貼ることにした。ソフトゲルグロスという塗料の勉強にはなった。 夕方、古書信天翁センパイと待ち合わせて古書組合北部支部の新年会へ。新鮮で楽しすぎて嬉しい感覚に飲まれて痛飲。小さな裂け目からいつの間にか染み込んでいた躁。浮遊した焦点は危惧した通りあてどを無くしてじたばたと空を舞い。気付いたら知らない道をうきうきと歩いていた。上池袋交番のおまわりさんがよろめいているぼくにとても優しく進路を教えてくれた。昨日駅を過ぎて今日駅へ。泥酔して徒歩で明日駅へ。
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by ouraiza
| 2024-01-15 03:06
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2024年1月1日月曜日。
昼に起き廃す。夕方前、店に寄り自分用の『名画座手帳2024』を下ろす。 池袋ロッテリア前に集合。誘っていただいてグランドシネマサンシャインにて「トップガン マーヴェリック」アトラクション上映「4DX」を観る。椅子が傾いたり突風が吹いたり足元がカサカサしたり水しぶきに少し濡れたり。冒頭のシーンがカリフォルニア州モハーヴェ砂漠で、昨晩観たバグダッドカフェもモハーヴェ砂漠を舞台にしていたのでとても驚いた。昨日フィンランドと西ドイツの映画を観たので、アメリカンなフィーリングを特に強く感じる。トム・クルーズさんはとてもかっこいい。 夜、サン浜名さんの2階にて今日の打ち上げ。地元のかたがたが集う居酒屋さんで、席にいたまさに長年の地元住人であるムトさんが新年の宴のために来店した軍団に「先輩!」と声をかけられて慌て、小学校時代の思い出などでがやがや。しばらくしたら急に背後に古書信天翁センパイが立っていて、今度はぼくが「センパイ!」と声を上げた。 切り上げようと席を立つころ、北陸で地震があったとスマホのニュースで読む。 1月2日火曜日。 夜まで廃テンションでなにもせず報道番組を茫然と眺めるなど。断続的な地震速報。被災地となってしまった地域の元旦、本来ならば祝賀の年始に、なんて嫌なことだろう。 金沢の龜鳴屋さんのお知らせ。 ダブルクリックのうちファーストクリックは平気だがセカンドクリックが嫌になるような気力バッテリーの容量の少なさ、疲れやすさの原因と思われる絶望的な運動不足を解消したく、今年の目標は「スポーティ」にしよう思った。 夜、去年一番面白かったものを新年にも、と映画「RRR」を観る。 1月3日水曜日。 能登地震とかさねて羽田空港の事故のニュースを観る。 午後店に行き、休業中に少し溜まったウェブ発注対応の準備。投函直前に確認が必要なので封はしない。 『名画座手帳2024』の版元在庫があと10部になった。 夜、恒例のムトさんのお母様が作ってくださるお節料理を古書信天翁センパイといただく会。今年もヤツガシラをいただく。鳥のカードゲームも楽しかった。神経衰弱のようなゲームで、ぼくはめずらしく調子が良かった。鬼子母神に「デンセンマン」がなにかの催しで来たころ、子供たちは皆家のこたつに上がって電線音頭を踊り、学校から禁止されていたとのこと。兄や姉の世代との距離指針を見つけた。 深夜、ニューヨークで爆発か、というニュースを読む。 1月4日木曜日。 新年最初の営業日の開店作業をして諸事。 複数個の通販商品を間違わぬよう慎重に確認しながら発送。 郵送いただいた買い取りの一箱を査定、仕分け。 今年の目標の一つが「笑顔増量」ということもあり、かっこいい真っ赤なコートを着ているかたに「ナイスレッド!」とお声かけしようと思っていたのに流れにのまれてできなかった。 量産コピーされたばかりの『名画座かんぺ』最新号を折り始める。 クリックポスト発送の新方式を試してみる。ラベルをプリントアウトして切り取りその四辺をセロテープで囲んで封筒に貼っていたのを、封筒の代わりに透明なOPP袋を使い、ラベルをその内側の表面に入れる。印字されているバーコードが透明なビニールの下にあってもいいものかどうか、先日念のため郵便局2軒で尋ねてそれで大丈夫だと確認しておいた。 閉店間際に勝小吉『夢酔独言』とつかこうへいを買ってくれたミヤモトくんが両著者名を指差しながら「かつ、と、つか‥‥です‥‥」と言っていた。 司馬遼太郎『草原の記』を読み終わった。「モンゴル人は、わずか数百万ながらも確固として存在し、他民族にくらべて卓越した肉体と知力を持っている。ただ奇跡的なほどに欲望すくなく生きている。その欲望のすくなさについて的確に説明しにくいが、かねがねかれらの存在そのものが詩であると私は思ってきた。詩は散文に移しがたい。」 前半をモンゴル地域の歴史的解説、草原の在りように割き、222ページある本文の108ページ目にして、この本の核となる女性が本格的に紹介され始めるのも驚きだった。「この稿も、やっとツェベクマさんの話になる。」そして最後の3ページは泣きながら読んだ。「モンゴル」が胸に残る。 1月5日金曜日。 開店して諸事。正月の浮遊感がまだ道にあり、正月が例年より長い気がする。 能登半島の地震での被害のニュースにだんだん生活の細部が含まれ始めていて暗澹とする。 『名画座かんぺ』最新号の折り作業に集中。夜完了、昨日の分と合わせて285枚。 昨年就職のために南の島に旅立ったKくんが島暮らしをやめて帰還。弟さんと一緒にきてくれた。どんな感じだったかよくよくお話をお聞きしたい。 車に積んである市場で無落札だった中山を降ろして整理、ツブシ用に縛ることをいったんはサボろうと決めた。しかしそれではイカン、と思い直して決行。新年はまだ無サボり。
映画「横道世之介」の続きをしりたくて、まずは映画原作の文春文庫吉田修一著『横道世之介』を読み始める。映画との細部の違いが楽しい。映像の効果と文章の効果について想う。 1月6日土曜日。 開店して諸事。 年末にふと思いついた工作を開始。大型クリップとベニヤ板を合体させて塗装、「外の商品は先に清算」看板を作る。 そこまではうまくいったが、表面をガードして長持ちさせるために「ソフト ゲル グロス」という塗料を塗ると木に貼った紙が湿ってよじれてしまう問題が起き難航。 夜、「芋たこなんきん」を観る。 1月7日日曜日。 開店して諸事。 乾いて半透明になったソフトゲルグロスの重ね塗り。中山に値段つけ。 夕方、となり町の多岐祐介先生宅へお片づけのお預かりへ伺う。いったん駐車場に戻りUターン。YouTube撮影現場を少し拝見して、先生と先生の講義YouTubeチャンネル「隠居夜咄」を作っているKさんとお仲間と新年会。Kさんにほんとに貴重ですごいことをなさっていると感動をお伝えしたかった。長髪計画のために日々育毛剤リアップ塗布に励んでいることを喧伝すると、Fさんが「間に合わねぇーよ!」と言ってくださるなど可笑しい。 深夜、酔いすぎた自己呪詛をまぎらわすには都道府県名を北から思い出してみることがいいかもしれないと気付く。萩原朔太郎「宿酔の朝に」(宿酔の読みが「しゅくすい」なのか「ふつかよい」なのか、定説があるのか不詳)をスマホで読む、などもいいかもしれない。『宿命』内の一編。「野卑と愚劣との外の何物でもないやうな記憶の再現」。 #
by ouraiza
| 2024-01-08 16:53
| 工作
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12月25日月曜日。
定休日。ありがたく嬉しい件のご連絡をいただき曇り空が突然晴れ渡った青空に変わる。 午後、店にて少し諸事をしてから年末恒例の某事務所様への買い取りへ。オリコン5つと例年より少なめ。仕分けは来年に持ち越そうと決め車から降ろさず。 店に戻って『名画座手帳2024』の発送作業など。年末年始の営業時間のお知らせをほとんどしていないことに思い至る。 「芋たこなんきん」を観る。 12月26日火曜日。 非番。YBA(友人山田くんによるビリヤードアカデミー)の予定だったが山田くんが体調不良とのことで急遽中止に。急にできた空き時間をどうしようか迷い最近の体調不安を癒やすために寝る。 夜、来年のYBAの予習のつもりで20分だけビリヤードの練習。山田くんと反省忘年会をするつもりだった焼き鳥まさ樹さんにてムトさんと軽宴。発酵料理を美味しくいただく。来年の計画が少し決まる。今年はとても旅行を多くした年で、移動距離を計算してみた。仙台、石巻、岐阜、倉敷、那覇、長野県辰野町へ3度。スマホの経路地図によると往復で約9300キロ。池袋からアムステルダムへの片道がだいたいそれくらいのようだ。出不精の自分には途方もなく遠い。 「芋たこなんきん」を観る。 深夜、ブログ、X、日本の古本屋、オンラインストアのウェブ上各所に年末年始の営業予定を記載する。 12月27日水曜日。 非番。毎年の恒例行事になっているM1グランプリをピザを食べながら1日中観る日。今年は慌ただしさからこの行事をほとんど諦めていたが、ふとぽっかり浮かんだ1日が見つかった。目白台ドミノピザまでの散歩で久々にのんきな時間を過ごしている気がした。ニュースやソーシャルネットワークサービスを通じて結果や感想を目にしないことは無理だと思っていたので気にせず優勝者や経緯も頭に入れた上で観たが、とても愉しかった。 12月28日木曜日。 午前中に出て市場へ入札されなかった商品の引き上げに行く。サボっちゃおうと思っていたが残った額類を放置もできず。車が空いていてとても楽。1時間ほどで戻ってくることができた。 開店して諸事。午後、新宿世界堂へ工作に使うカッティングペーパーを買いに行く。東急ハンズには白黒以外のカラーが45センチ幅のロールしか無くなってしまったのだが、世界堂には110センチがある。以前主流だった90センチはどこにも無い。店の現金が心もとなくカードにて購入。 夕方、徒歩1分以内の極ご近所様の本を引き取りにお伺いする。12月に急に増えた本を移動する作業が、最近の雨の少なさにかなり助けられたと思う。 夜、閉店時間前からいつもの人員が集ってくれて自然発生的な店の忘年会となる。とても嬉しく楽しい。目につく限りの缶ビールを飲み、それが過ぎる。先日も出張買い取り作業の途中でズボンの腰紐が経年劣化で切れたのだが、今日もまた別のズボンの腰紐が擦れて切れてしまった。落ちぬように持ち上げながらくらくらと帰る。 12月29日金曜日。 開店して諸事。 年末のまとめ的業務に焦る。店の年間売り上げを計算したり、市場での委託商品の分配を計算したり、『名画座手帳2024』の数を数えたり、銀行の通帳とカードを探したり(経理担当さんが自宅に持っていてくれた)、明日使うカッティングシートをそれ用のサイズに切ったり。 去年委託商品をお預かりしたAさんがさらにお祖父様(大正生まれの風雅風流なお医者様)の棚から発見なさったという別の委託商品を持ってきてくださった。来年の楽しみの一つ。 最終営業日である今日の閉店30分前くらいから、さて『名画座かんぺ』最新号の表紙作りをするぞと勇んで用意を始めたところに、ご常連のミヤビンさんがご来店くださり、踊りを撮影しましょう、とおっしゃる。ミヤビンさんは、1970年代にコメディアンの橋達也というかたがリリースなさった「ピヨピヨ音頭」(byピヨピヨ軍団=橋達也と笑いの園)という楽曲を顕彰、普及しようとする軍団の見習いのような立場にいらっしゃるらしく、その活動へのふんわりした応援としてピヨピヨ体操を踊ること、が2023年営業時間内の最後の業務となった。振り付けはまったく覚えられなかった。 奇妙な時間が終わって閉店後に『名画座かんぺ』最新号の表紙と「おあしす」の編集をしてデータ化。今日やろうと目指していたことは一応完了。 12月30日土曜日。 発送などの諸事後、例年なら皆でガラス拭きなどの大掃除をするのだが、どうしても終わらせたい工作を来年に持ち越したくなく、総出でその店内改装を終わらすことにする。傷や隙間だらけではあるが攻めになることを少しでもしてあがきたい。2年ほど前から課題にしていた、本棚最下段の解体。「目を凝らして本を探す」ということがされなくなったことによる最下段の不必要性と、棚間の狭さを少しでも広げたい願望、を解決したく思いついてはいたのだがなかなか実行に移せなかった。 ぼくが本棚の強度を下げないように固定すべきところを固定しながらスチールの幅木部分を外して新たに付け替え、ムトさんと店員ノムがカッティングシートを新たに付け直された幅木部分に貼り、店員TTがすべての棚の高さを揃えていく。 予定外にぼくの工作部分に時間がかかってしまい、僅かな見栄えの処理は来年やることにして、制限時間ギリギリでついに完成。 急いで片付けて閉店作業。 今年最もお世話になった居酒屋さん、うどんの硯家さんにて店員皆で納会。TTがエクセルの魔法を使って日々の細部データを集計してくれて、曜日別の数値研究を肴にする。たまに無約束営業をするだけの月曜日とウェブでの売り上げを抜いた純粋な店頭売り上げの1位は土曜日、2位が大健闘の火曜日。最下位は金曜日。順位で並べると土火日水木金。全体では、ウェブ販売を始めて初めて通販の売り上げが減少、しかし店頭は少し上昇。不思議。海外からのお客様が増えていることに対する新しい作戦も提案されたりしてありがたい。 なんとなくカラオケに行こうとなり、店員TTの甲斐バンドに驚く、など。「恋するフォーチュンクッキー」の歌詞、「明日は明日の風が吹く と思う」の「と思う」がなんだかすごいと思ったりした。 積年の懸念だった棚の最下段解体がだいたい終わった、ということがとても嬉しいのだが、それがどんな感覚を呼んでくるのか、緊張もする。 12月31日日曜日。 休む。 午後、なんとなく観たかった映画「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」を観る。夜、紅白歌合戦をチラ観し、観ようとリストに入れていたが配信が終わってしまうと聞き、映画「バグダッド・カフェ」を駆け込みで観る。 年越しそばがおいしい。 買い物ついでの散歩に出ると、外が冬らしくない暖かさだった。
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by ouraiza
| 2023-12-31 23:59
| 工作
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12月18日月曜日。
定休日の無約束営業はできず、午後始めから23時ごろまで店の一角を埋めている山脈の仕分け、査定に集中。別の用事のために動かせなかった山脈が細分化され方向性が決まっていき嬉しい。 店員ノムが、連載している宮崎日日新聞に掲載する記事に添付する画像の権利関係が微妙に不明、ということで苦慮。とても難しい点。窮余の策として、ぼくが大木実さんの肖像イラストを描いてみることになった。本望な出来ではないが、突発的なわりにはなかなかかもしれない。 12月19日火曜日。 非番だが午後、内田モーターさんへスターターという部品をリフレッシュした車八号を引き取りに伺う。夕方に戻って昨日準備した65束を車に積んで市場に出品へ。苦手な運転の走行距離は68.4km。約4時間。退院した八号が好調で嬉しい。 夜「芋たこなんきん」を観る。 先日なんとなく途中まで観ていた「ランボー」も最後まで観る。スタローンかっこいい。それにしても少年時代に観たはずだがまったく内容を憶えておらず、新鮮。 12月20日水曜日。 午後まで廃す。 普段ほとんど扱わない書などの額類を緊張しながら市場へ持っていく。良い結果を祈る。 夜、先日途中まで観た映画「マッキー」を最後まで観る。急になんとなく観たくなり「バーフバリ 伝説誕生」も再観。観終わって続編の「王の凱旋」へ進みそうになったがうまいこと有料ですでに丑三つ時を過ぎ、あ、なにやってんだろ、と我に返って昏倒。用事が多い時ほど急務ではないことに時間を使いがちな魔の法。 12月21日木曜日。 開店して諸事。 バックヤードに溜まった市場の準備。車に載せて市場に出品へ。無入札の可能性の高さにくじけそうになるがやらないよりはまし、とセルフ励ましをしつつ。 帰路ダイハルにてダンボールを調達。 大家さんに現状についてのご報告のお手紙を書く。夏から続いている「地下のどこかで漏水している問題」、またさらに量が増えている件と、ついにエアコンの暖房機能が使えなくなった件。いやはや。築44年の建物、いろいろある。 養生の早寝。 12月22日金曜日。 開店して諸事。 不忍ブックストリームのデータ作成など。登録者様数が2020年11月/66、2022年12月/187、2023年12月/234。じわりじわりと増えているのはとても嬉しい。 一昨日勇んで市場に出品した額類が見事なフルスイングで空振り。ぼくの予定では50万円だったが3万円だった。落ち込もうと思えばそりゃ落ち込めるけれど、それもつまらないので、ふふふ、そうですかそのようなおつもりですね、ふふふ、と逆に奮起しようと心掛ける。 エアコンの調子がここ数年ずっと悪かったが、昨日暖房機能が使えないことが判明、すると今日、壁に設置されたエアコンのスイッチすら入らなくなってしまった。寒さ対策をかんがえる。 夜、不忍ブックストリームの忘年会。千駄木の居酒屋にしきやさんはとても美味しくて楽しい。実現可能ないいアイデアが噴出。生ビール大をひたすら飲んでオートマティックに熱くなる。YouTubeでそれなりなチャンネルを形成するのが非常に難しいことだからこそ、蟻が像に挑むようで、なんだか楽しい。配信担当鈴木さんとハグ。 12月23日土曜日。 昼、先日車に積んでおいた出品物を市場に持っていく。猛烈に眠い。先日と先々日に入札されなかった不人気な束をリミックスして再編。店によろよろと戻り少し諸事。 実家にて片付けをせねばならなかったがぐったりして床で仮眠。実家では給湯設備が壊れてお湯が出ない。先週の車の故障に続き、家のガスコンロなど、連携しているかのように壊れていく。 実家片付け組にて焼肉の忘年会。兄がぼくにプレステ3をくれると言ってくれたが多分すぐ忘れるだろう。隣りで卓上を差配してくれているムトさんからビールを初期一杯に制限され、体調危機の自覚があるので従う。ウーロン茶美味しい。 12月24日日曜日。 開店して諸事。 光村図書と文藝春秋の「ベスト・エッセイ」シリーズってこんなに楽しそうな内容なのになかなか売れないなーと感慨を持ちながら200円の屋外特価棚に配架。 エアコンが気絶している原因があるのではないか、と、店奥のブレーカー盤を、そのドアの前にごちゃっと置いてある備品類を一旦どけてじっくり確認してみる。エアコンの電源操作の根源らしきつまみをみつけオンオフを試してみると、オンにした数秒間、壁にはめ込まれたエアコン操作盤が「キューー」っと鳴くことに気付いた。店員ノムにもその「キューー」を聞いてもらって絶望感を分配。 大量にあるワイズ出版さんの山脈を店員ノムが少しずつ掘り進めている作業の手伝いを少し。とりあえず番台上に積んだ一部が完了、しかしあと10箱ほどはある。 店奥の一角を占めている数カ所から入荷して溜まった大山をダンボール箱に移し替える。14箱。入荷と出荷のバランスが崩壊しており、いかに是正していくかが今後の課題になる。 家から使っていなかった暖房器具「暖話室」を持ってきてスイッチを入れてみるとなかなかに暖かい。この冬はこれでしのぐ。 閉店間際に『ユリイカ 特集バーフバリ』を買ってくださったお客様と「RRR」のお話をし、ふと思い出してメリークリスマスを言う。 養生のため脱夜更かし。 #
by ouraiza
| 2023-12-25 03:05
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12月11日月曜日。 定休日。ある会社事務所さんへ出張買い取り。前日にお引越しが終わり、椅子とテーブルと本棚と本しか残されておらず、本のサイズを揃えて縛る作業がまるでそのためにあるような場所だったので非常にスムーズに進行。こんな作業場が店にあったらいいのに。2往復を覚悟していたが手伝ってくれたムトさんが本の束テトリスを非常に上手くクリアし、店員ノムも同乗して一度で終わらすことができた。 ジュンク堂にて友人が勧めてくれてとても気になっていた司馬遼太郎『草原の記』新潮文庫を買う。 蕎麦焼き鳥雲吉さんにて極軽く今日の慰労打ち上げ。 深夜、なんとなく再生ボタンを押して映画「すばらしき世界」を観る。去年の1度目よりも面白かった。 12月12日火曜日。 休み。何気なく再生ボタンを押して「ランボー ラスト・ブラッド」を観る。 夕方からKさんが主催してくださったふぐを食べる会。以前美味しさに感動した板橋きくひろさんにて。『名画座手帳2024』刊行打ち上げと編集室忘年会を兼ねさせていただく。改めてふぐの肉という淡い存在に驚く。「ブックサンタ」というNPO法人と新刊書店の企画についてお聞きしたり、編集室Iさんの会社のキャラクターをかんがえねばならないという喫緊の課題が挙がったりで楽しい。 お店に行く途中、板橋駅前の近藤勇墓所・新選組隊士慰霊碑を皆で眺めた。経緯がよくわからずモヤるので、後日軽検索。”板橋駅前にあった「馬捨て場」(現在の供養塔の斜め向かいあたりの区画)で近藤勇は斬首されます。(中略)処刑後、首は京に送られて晒されます。体は、一度最期の地となった馬捨て場に埋葬されます。が、恨みを持つ者に掘り出されるのを警戒し、その夜、現在供養塔が立つあたりに埋葬され直します。近藤勇の甥・勇五郎たちが、3日後に馬捨て場にいた者に金を握らせ、埋葬された場所(現在の供養塔のあたり)を聞き出し、夜闇に紛れて掘り出します。京で負った肩の銃創から、これが近藤勇の遺体だということになり、棺桶に入れて駕籠に乗せます。そして夜を徹して故郷の菩提寺・三鷹の龍源寺まで運び、埋葬しました。板橋でも夜を徹して見張っていたため、掘り出せなかったはずという説もあり、現在近藤勇の体については、板橋説と龍源寺説があります。”(新選組観光ナビ) 12月13日水曜日。 一日中廃して静養。まんじりとし続けながらYouTube徘徊や読書など。一歩も外へ出ず。 夜「芋たこなんきん」を観る。 12月14日木曜日。 開店して諸事。 やっと諸事を終えて夕方前に月曜にお預かりした山脈を車から降ろして査定仕分け作業を始めようと駐車場へ行き、いつも通り車八号のハンドル下に鍵を挿して回したが、八号のエンジンがかからない。俄かに信じがたくなんども試みたが、エンジン起動のとっかかりとなるシュルシュル音もしないし、カッカッカ音もしない。バッテリー消失かと訝ったがラジオやライトの電気系統は作動した。 悩ましい思いで八号の主治医、内田モーターの内田くんに電話。多分スターターという部位の調子が悪く、鉄の棒などで叩いたら治るかもしれない、とのこと。荷台からゴミ拾い用のトングというのか火バサミというのかを見つけ、再び内田くんの指示を仰いで運転席と助手席のシートのロックを外して倒し、車の下部構造を見るという初体験。内田くんが示してくれた形状のスターターという部品をトングでゴキンゴキンとなんども叩く。 昔の電気製品も叩いたら治ることがあったが、八号のエンジンもなんとそのトングゴキンゴキンによって復活。一度切るとまた気絶する可能性があるとのことで、店の横に停めてエンジンをかけたまま店員ノムに手伝ってもらいつつ大急ぎで約100束の本を降ろす。 スターターのストップで動揺して浮き足立ち、今日のやることリストの4項目のうち達成は0。 12月15日金曜日。 開店して諸事。 不忍ブックストリームの準備。体調の悪さで意識を集中して固めようとしても砂のように指の隙間からこぼれて絶不調。なにも思いつかない。 いろいろ時間が足りないのだがかんがえがまとまらずピタッと静止。静止に焦ってさらに停止。 運び込んだ山脈は一旦崩し始めるとある程度の時間が必要となり、細かく区切ることができないのでただそこにあるだけ。山脈はただそこにあり、ぼくはただその横にいて口をぱくぱくさせて呼吸しようとしている。 内田モーターさんへ入院するために内田くんが車八号を引き取りに来てくれた。 夜、「RRR」のラージャマウリ監督の過去の映画「マッキー」を観始めたが、砂頭に強風が吹きつけて散り散りになりそうで途中で昏倒。 12月16日土曜日。 開店して諸事。 不忍ブックストリームの準備をしようと試みるも遅々として進まず。 お持ち込み買い取りの小山をミックスして仕分け、値段つけ、など。年末だからだろう、お持ち込み買い取りが非常に多く、しかしそれらの商品化にすぐに取り組めないモヤモヤが募る。 内田くんが車八号の臓器移植に成功し写真を送ってくれた。新しいスターターと25年間(1998年製)がんばったスターター。 (撮影/内田モーター内田くん) 夕方、やっと不忍ブックストリームの準備の方向性が定まる。悶々とすることに使う時間が長い。 浦和にてミヤモトくん主催のムトさんの絵を買ってくれた友人たちとの宴。猫のガジちゃんは悠々としたかわいい雄だった。Yさんがレコードプレイヤーでニール・ヤングを聴かせてくださり、やっぱり素晴らしいと思う。アルバム「Harvest」いいよねーと聴き始め、なんだか新鮮だなーと思いつつA面もB面も聴き終わった時にやっとジャケットへの入れ間違いで別のアルバム「Everybody Knows This Is Nowhere」を聴いていたことに気付く、など。レコード楽しい。 12月17日日曜日。 開店して諸事。 不忍ブックストリームの準備。風邪のような風邪ではないような絶妙な心身不調で捗らない。 お持ち込み買い取りがやはり多く、小山の溜まりが溢れ出す。こぼれ落ちぬよう2、3冊を配架。 年内最終日までの日程をじっくり調整してみてその余裕の無さが淋しい。毎年恒例の、今ある課題を年内に終わらせねばならないノイローゼに完全に陥っている。 夜、YouTubeライブ放送「不忍ブックストリーム」の本番。ゲストを招かずスタッフが今年印象に残った3冊となにか1点を紹介する年末回。ぼくは『ヴェネツィアの宿』、『出久根達郎の古本屋小説集』、『さざなみ軍記・ジョン万次郎放浪記』、「RRR」。そもそもの読書量の少なさと、じっくり振り返る時間を持てなかったことに悔いを残す。 ダウンジャケットを着始めたが、冬のように寒い。
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by ouraiza
| 2023-12-18 01:11
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