小さきものへ。
小さきものへ。_f0035084_23584283.jpg『文房具を買いに』 片岡義男 著 東京書籍刊

私の文房具フェチは、小学生時代に遡る。当時、すでに小中学校のクラブ活動等で姉兄はそれぞれ忙しく、父は年の離れた末娘の私を日曜日によく職場へ連れて行ってくれた。その専門学校は建物こそ古けれ、父の研究室は夢の備品達で溢れていた。私が行く度、父は私がねだるままにいろんな文房具を与えてくれた。専門上(機械科)、いろんな円が描けるプレートやら、トレーシングペーパーやら使い方さえよくわからなかった立派なコンパス、鉛筆消ゴムの類を惜し気もなく与えてくれた。今考えると、相当ワルイ事をしていたのだ、父と私は。ちょっとした経費ドロボーだ。その頃から潜在的に文房具というものに惹かれ始めた。
この『文房具を買いに』は、そんな潜在的な私のフェティシズムをもの凄い強さで引き出し、起こしてしまった。この本の中に、私の桃源郷がある。片岡義男自らが撮る写真の素晴らしさ!まさに私好みの被写体達が、氏の写真の中で息づいている。消しゴムのページで氏は言う。「いちどに十九個の消しゴムを買う客というのも銀座とは言えかなり珍しいのではないか。」心の中で叫んだ。
「イルヨーココニイルヨー!」
そう、先日堰を切ったように買ってしまった消しゴム、その数23個であった。銀座どころか池袋で…。この本、私の一生の宝物本になりそうです。お菓子魔(岡島)さん、本当にありがとうございました!



小さきものへ。_f0035084_002117.jpg写真は最近買った(23個とはまた別の日)中でもイチオシのモノ達。3つともドイツのメーカー。左はステッドラー社のもの。ステッドラーの消しゴムは、世界堂やロフトなどでも簡単に見つかるが、GERMANYと書かれているくせに、側面にカタカナで「プラ」などと表示されていて、興ざめなのである。写真の品にはそれがなく、デザインも文句ナシ。
真ん中が万年筆で有名なメーカー、ペリカン社のもの。この本の消しゴムのページを見ると、著者はこのメーカーの消しゴムを最低3個は持っているらしい。非常にウラマヤしい。だってみかけないもの。今回のは、渋谷のアンティーク雑貨屋さんで偶然見つけた。小踊りした。1970~80年代のデッドストック、と。値も張った。
そして右が一番気に入っている、ロイファー社のもの。このメーカーのロゴやデザインが好きで、いくつか持っているが、これは見たことがない。古そうな気がするが、詳細は不明。半分現品限りのディスプレイ状態だったものを、売っていただいた。126円也。クゥゥ。


昨日は矢野顕子のソロコンサートに行った。やや特別な試みで、1976年のデビューアルバム「JAPANESE GIRL」をそっくりそのまま演奏するという。宣伝効果もテキメンでファンの間では話題騒然という感じであったが、本人曰く、「単なる思いつきよ。」さすが。で、2曲ほどのウォームアップの後、アルバムの曲をまるまるやり、アンコールでさらに2曲やって終了。いつもながら、感動である。矢野顕子を生で聴く際は、あごを15度ほど上げて聴いていることに気づく。涙がこぼれないように。さ、「JAPANESE GIRL」買わなくては。何せ、昨日のコンサートで初めて聴いたので。一緒にコンサートに行ったこともあるヤノ友の、uzoでお馴染みのかなまち京成氏に先日それを告白したら、大ヒンシュクをかった。


先日、偶然入荷した坂本龍一の文庫本を、商品化の際にパラパラめくっていると、目に入った言葉。「SF作家のアーサー・C・クラークはスリランカに住んでる」。その時へぇそうなんだ、と思ったのだが、その晩帰宅後テレビで見たニュースの見出しが、「SF作家のアーサー・C・クラーク氏、スリランカにて死去」。おののいた〜。


貧房具課課長 ごむみち 
by ouraiza | 2008-03-23 01:08 | ノミムメモ(土曜) | Comments(0)
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