いつか王子様で
いつか王子様で_f0035084_102933.jpg 「回避せざる遅延パートⅡ~運命の出会い~」。朝、あたふたと開店の準備を進めていた11時10分頃(開店は11時です)、不意に一台のワゴンカーが目の前に現れた。ふと運転席に目をやると、マコチだった。やばいと思った。車が止まり、ドアがゴロゴロと開きはじめた。けれど、気付かないそぶりを見せる事にした。そして数秒後、マコチと目が合った。ここは先手必勝「うわぁーどおしてぇ~」。苦笑するマコチ。そしてすかさず「なんでこんなに早いのぉ~、とほほ~ごめぇん」とその場の空気を濁しまくる。しかし次の瞬間、思わぬ光景に出くわした。なんと、かつての大学の友達とサークルの後輩が一緒に乗っているではないか。なんでも、昨日のとある飲み会で一緒になり、その後酔っ払って代表のお宅に泊めさせてもらったのだという。ちなみに、その友達とは数ヶ月ぶりの再会となる。成長した自分どころか、のこのこ遅れてパーマくるくるの自分を見られ、もう小芝居をうつ気がうせる。そして最後は、往来座代表。

いつか王子様で_f0035084_104762.jpg 「おはようございます」。この重み。しかし、代表の「ゆっくりやんな」の一言に救われる。
 恥ずかしいやら情けないやらで、友達と後輩とは、ほとんど顔を合わせられずに終わる。ふと気付くと、店内をひとりでぶつぶつ言いながら歩いている自分がいた。反省タイムだ。だけどそういうときに限って、全然違うことを考えてしまう。生まれて三ヶ月で故郷の徳島から東京に移ったこととか、4歳の時「起きなさい!」とおばあちゃんに思いっきり右腕を引っ張られて脱臼してしまったこととか、でも、起こってしまったことは受け入れるしかない。忘れずに、そのつど述懐していこう。オッパイ、オッパイ(リギニコ語でのドンマイ、ドンマイ)だ。いやはや、すみません。
 お昼ごろ、外の雑誌ラックを整理していたら、どこからか「おはよう、おはよう」という声が聞こえてきた。傍を通りかかる間、その一言を何回も繰り返すので、またへんなひとが明治通りを歩いているよ、と怖くて後ろを振り向けなかった。そしたら、武藤さんだった。すみませんでした。そして武藤さんとは、夜、店を閉めているときにも、もういちど挨拶を交
いつか王子様で_f0035084_20431347.jpg わした。昼と夜、行きと帰りで挨拶を交わすなんて、きもちのいい偶然だなとおもった。
 あと、上のふたつの画像は、のむみちの消しゴムコレクションの中から選ばせてもらった。

 たまには絵本を紹介してみたいと思い、一冊用意させて頂きました。1973年にハンブルグの出版社から出された、「ちいさな機関車のふしぎなお話(仮題) ペーター・ニックル/ビネッテ・シュローダー著」という絵本です。半年くらい前に、西荻窪の音羽館で購入しました。絵がすばらしいし、何も考えずに楽しめそうなので、この機会に訳してみようかなと思っています。やっぱり難しいので、ゆっくりといいかげんに進んでいきますので、ご報告とあわせて、気楽に楽しんで頂ければと思います。
それでは。

いつか王子様で_f0035084_20453732.jpg『Ra ta ta tam~ちいさな機関車のふしぎなお話~』

「これ以上、機関車のおはなしはできないよ」と、ぼくはさけんだ。
「これ以上、知らないんだってば!」
「ううん、もっと話して!」と、子どもたちは声をあげた。「らたたたん、らたたたん、ぼくらは機関車が大好き」
「そうか、大好きか…」ぼくはにこりとわらった。だけど、そうこうしているうちに、マットホイス・ヴィンツィヒのおかしな物語が、ふいとあたまに浮かんできた。不思議な機関車のおはなしだ。それならば、と今までの経験上ぼくは心得ていた―らたたたん―子どもたちに話してあげなくちゃ、と―らたたたん―ぼくはさっそく始めることにした。
 
マットホイス・ヴィンツィヒは小柄な男の子だった。ほんのちょっぴりちいさかっただけで、なにも親指みたいにちいさかったわけじゃない。チビのムック(ヴィルハイム・ハウフの童話)よりはいくらか大きめだったが、まあ、ほとんど同じくらいの大きさだ。そしてかれは、まともなやつだったらきっと、なんだかおかしいなと思ってしまうほど、とにかく機関車が大好きだった。だけど連中は、あえてかれを笑いものにすることはなかった。なぜなら、マットホイス・ヴィンツィヒはとても、とても利口なやつだったんだ。(つづく)
 こにぎり
by ouraiza | 2007-12-16 20:43 | こみにぎり(終了) | Comments(0)
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