ぺろり。
土曜日が恒例矢野顕子のコンサートなので、同僚のなつき氏にシフトを交換してもらう。
ハーレクインとそれと同系列の文庫を大量入荷。99%にカバーがかかっており、普段なら何の本が出てくるかワクワクしながら剥がすのだが、今日は内容が一つなので、じき飽きる。それ故、壇一雄の『夕日と拳銃』(河出文庫)が出て来たときの衝撃はちょっと言葉に表せない。


ぺろり。_f0035084_144826.jpg『犬婿入り』多和田葉子著 講談社文庫
少し前から気になっていた作家だった。ドイツ在住ということで。本作には、芥川賞受賞の表題作と「ペルソナ」の2編を収録。「犬婿入り」は、面白い、スルスルと楽しめました。寓話の世界のお話で、そこに焦点を当てるのはおそらく間違っているだろうけれども、北村みつこ、素敵すぎます。キタムラ塾を開いており、とにかく子供が行きたがる。「擦り切れたもんぺのようなものをはいて洒落たサングラスをかけ、八重桜の下で嬉しそうにポーランド語の小説を読んだり」しちゃうんですと。その後の「犬婿入り」という民話が本当に起こったいきさつも、奇妙で可笑しいです。
「ペルソナ」は全くテーマもガラリと変わって、異国において日本人主人公が体験する、二つの言語・文化で揺れる心情が描かれています。日本人であることに固執し、その域から決して出ようとしない弟や日本人の奥様たちに囲まれ、主人公の道子だけが異質の存在。「仮面のような顔の下で何を考えているかわからない」というアジア人に対する差別に憤るも、ドイツ人の友人との電話では「腹がたたないの」と尋ねられてしまうほど冷静にしか憤れない。日本人の顔を失いつつある主人公が、最後に能面を被ることで自己表現を試みるが、「道子が一番日本人らしく見えたこの日に、人々は道子が日本人であることに気づかないのだった。」素晴らしかったです、このラストは。
追える現役作家がまた一人増えて、嬉しい。

クリスマスを目前にキリスト教に入信しようというのではないが、聖書を読んでいる。創世記読了。何十人という誰が誰の子供で、という名前がただツラツラと並んでいるような箇所はサラッとしか目を通していないが、ストーリーがある部分を読んでみると、結構下世話で俗っぽく興味深かった。交わり豊かで、子供がぽこぽこ産まれる・・むにゃむにゃ。はてさて完読はいつになるやら。イエスさん、早う出て来て。


よむみち
by ouraiza | 2007-12-13 02:02 | ノミムメモ(土曜) | Comments(2)
Commented by ヴェガ at 2007-12-14 00:54 x
こんばんは。
結構早い段階でイエス様が出てきて、これから大活躍が
始まりますよ、楽しみですね。

聖書の話は同じ事柄について弟子の皆さんがそれぞれに書いていたり
するので、「あれ、この話前にもあったじゃん」ということが多く、
「しまった、この本前にも買ってた!」ということがよくある古本好きには
”でじゃぶう”な感じがたまりません。

私はお腹がすいた時によく、5匹の魚と2個のパンを大勢に分け与えた
話を思い出します。いつまでたってもなくならない魚とパンは夢の食料です。
Commented by ouraiza at 2007-12-14 21:58
ヴェガ様、コメントありがとうございます!
イエスさんは有名な方ですからね、大活躍が楽しみです。
我が家のパンはもちろん食べるとなくなりますので、
今日買ってきました。私の中で、市販のパンはPascoの超熟
が一番おいしいと思います。ヤマザキなんてメじゃないです。
それにしても、パン、値段上がりましたよね?小麦ですかね?
あ〜あ、私もなくならないパン欲しい。のむみち
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