ひらく店などあるじゃなし
 新年に入ってから、また少しずつ本を集め始めました。
 『されど、海(存亡のオホーツク)』 土本典昭著 500円
 『なすの夜ばなし』 土方與志著 500円 
 『風が行く場所』 せと たづ著 500円
 『羊の怒る時』 江馬修著 100円
 『森有正先生のこと』(筑摩書房) 栃折久美子著 450円
 『デレック・ウォルコット詩集』(小沢書店) 100円
 『外燈』(角川小説新書) 永井龍男著 1200円(高め)
 『あの夏 あの海』(河出書房新社) 阿部昭 1200円
 一番目から四番目の本までは、影書房の本。常連のお客様の情報により、いまこの出版社の本をブックオフでよく見掛けるとの情報を得て、早速葛西(地元です)のブックオフへ行く。ちょうどその日は単行本が500円均一の日だったらしく、調子に乗って3冊も買う。読めよ、ちゃんと。影書房といわれても、その時はあまりピンと来ずに、ああ、あれですか、なんて誤魔化していたのだけれど、せと たずさんの経歴を見て、ピンと来た。「井上光晴文学伝習所」の方の本を出してる出版社。それはあくまで一面に過ぎないけれど。ちなみに、『野いばら咲け』(風媒社) 山下智恵子著という本には、伝習所の事が個人的な体験をもとに書かれていて、当時の井上光晴が描かれてある。閑話休題で、そうか。せとさんの本、ぜったい読も。
ひらく店などあるじゃなし_f0035084_4195187.jpg 『外燈』と『あの夏 あの海』は、正月、父方の田舎の甲府に帰った時、たまたま開いていた古書肆 明文堂で買ったもの。何しろ二日だったし、ご主人は番台に座っていたのだけれど、ぼくがじろじろ棚を見ていると、間もなく「何かお探しですか」とたずねて来る。それならばと、適当に作家の名前を3,4人聞いてみるけど、全部無いと言われた。その後棚を見たら1人の本はあった。この会話で、なるほど、このご主人は早めに店じまいをしたいのだなと感じる。無理も無い。だけど、置いてある本が面白い。値段は少し高めだけど、大正時代に出された中村星湖の『少年行』なんて初めて見た。山梨にゆかりのある作家の本が奥の棚を占めてる。飯田蛇笏とか深沢七郎とか。「つまらない本ばかり置いてありますけど」と謙虚な姿勢。その後、「今日はもう閉めますので」とご主人。ほら来た。
 前日、ドイツのことが出てくるというので、『アドルフに告ぐ』を店長から頂く。寝る前の楽しみが出来た。ほんとに、ありがたい。どれどれ、まず第一巻を読む。まず日本人留学生の勲という青年が、ベルリンのマンションで滅多刺しにされて殺害される。その後、ニュースタンドルフなるところで、オットーさん一家皆殺し。それから主人公の峠草平が怪しげなドイツ人に捕まり、拷問を受ける。リンダウェーバーと名乗る本名ローザランプという謎の女性が飛び降り自殺。まだまだありそう・・・。カルチャーショックを受ける。
こにぎり
by ouraiza | 2007-01-12 04:15 | こみにぎり(終了) | Comments(0)
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