地下鉄のロビンソン・クルーソー
殺人的な北風により、特価本舞う。


地下鉄のロビンソン・クルーソー_f0035084_138563.jpg『地下鉄少年スレイク』フェリス・ホルマン著、出版工房原生林刊
児童文学のジャンルに入るようですが、はっきり言って大人が読むべき本でした。まず、装丁がシック。新書と単行本の間という小ささも素敵。場面場面にマッチしたニューヨークの写真が読者を主人公スレイクの世界へと引き込みます。ストーリーは、13歳の冴えないいじめられっ子スレイクが、地下鉄のトンネルの横穴で121日間過ごすというもの。とは言っても、こもりっぱなしというのではなく、あくまでそこが住処ということです。地下に潜った時には一文無しだったにもかかわらず、ひょんなことから駅構内に捨てられた新聞をプラットホームで安く売るというビジネスを始める羽目になったり、稼いだお金で毎朝通うカフェの掃除を頼まれたりと、だんだん何とか生きていくその姿には本当に勇気が出ます。本当に幸せな人というのは、多くを必要としないのですね。あと、メインストーリーの他に、挿話があり、二つの絡みも素敵でした。心がほっこりしました。のむみち
by ouraiza | 2007-01-08 02:13 | ノミムメモ(土曜) | Comments(0)
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