2015/3/24    せと
2015/3/24    せと_f0035084_1335197.jpg カテゴリー「メモ/雑司が谷の本」に大木実の『詩集 夜半の声』のなかの一篇「夏の日」を追加。スッとした造本の綺麗な詩集。赤と黒二色の活版刷りの文字が味わい深い。

『詩集 夜半の声』(昭和51年 限定500部 潮流社)所収
「夏の日」

 早稲田から王子へ、東京では市街を走る電車の殆どが、撤去され
すがたを消してしまったのに、この路線だけはいまだに残されて、
町裏を、家々のうしろを、走り続けていた。
 早稲田から乗り、いちどここを通った覚えがあるが、そのときど
こまで行ったのか、どこで降りたのか、記憶がないのはたいした用
事ではなかったのだろう。遠い日のことだ。ひとり身の青年の日の
ことだ。
 きょう、私は鬼子母神前の停留所に立って、僅かのひとを乗せ眼
の前を過ぎていく電車を眺めていた。白絣を着た私も乗っていた。
一枚の切符を握りしめて外を眺めている、三十年前の若い私が――。



 佐藤ジュンコさんの展示「キャンディス・キャンベルのマントルピース」
 目白 絵本と木のおもちゃ・貝の小鳥さんにて。3月28日(土)~4月29日(水)。
 『月刊佐藤ジュンコ』形式のチラシ、配布中です!!
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by ouraiza | 2015-03-25 13:46 | Comments(0)
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