2012/12/28  せと
 くだらないぼくの妄想。
 下坂昇(くだりざか のぼる)は高校を卒業すると、少年のころから通っていた荒川沿いにある古本屋、古書荒川でアルバイトをはじめた。店主の名は雀雀太郎(すずめ ちゅんたろう)。盲目の古書店主であった。うち(古書往来座)でやっていたイベント「外市」にも、下坂にお願いして4,5回参加してもらっていた。
 「古書荒川」は、下坂昇による、古書荒川にまつわる回想記である。
 残念ながら去年の夏、店主雀雀太郎は亡くなった。灯りの消えた古書荒川は工場街の片隅で朽ちていくしかない。店員だった下坂昇は現在どこにいるのかわからない。行方不明なのである。
 心配を募らせる友人たち、といっても私とほんの数人だが、が先日板橋にある下坂の4畳半の部屋に集い、大家の許しを得て、下坂を懐かしみながらささやかな忘年会をひらいた。友人のひとり玉川が酔いの勢いを借りて下坂の机の引き出しを開けてしまった。
「お、この封筒なんだ?」
表にはきたない文字で「荒川」と書いてあった。
「まさか、古書荒川のつづきじゃ・・・」
 下坂はたぶん戻ってはこないだろう。またいずれどこからか回想の一部が発見されるかもしれない。
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by ouraiza | 2012-12-28 22:02 | Comments(0)
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