2012/4/8 みみふん うすだ

2012/4/8 みみふん うすだ_f0035084_12441828.jpg今日も月が明るい。この数日の夜雲との関係の仕方は異常に美しく感じる。幽玄な雲のただよいに漆黒を染め纏いながら消えるように流れていくさまにみとれる。そして宙の深い紺の中で漆黒を淡く纏う雲が流れているさまを見ていると、William Basinski“disintegration loop 1.1”、を思い出さずにはいられない。美しく悲しく無言。また、この数日の月と雲の関係は、yumbo「Vespid Collection」から、『猿』『百日咳』『お正月』の流れを繰り返し聴くようで、雲の刹那を刺す月の光線に霊的なものを感じる。恐ろしいぐらい荘厳であり、不思議な安堵感。


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『あけがたにくる人よ』
永瀬清子/著 思潮社
840円 販売中



【※注意 下記の詩は、上記掲載の『あけがたにくる人よ』(思潮社)には収録されていません。
現代詩文庫1039『永瀬清子詩集』(思潮社)を参照しました。】


朝になると
いってくるわと云って樹々のしげみの中にかくれてゆく菜穂子は
髪の毛もまだ短くて二本の固い三つ組みにあみ
小鳥のように見えなくなる
汽車にのって学校へいくために
早くかるくふんでいく足は
れんげやきんぽうげの花の上を
できたての風のようにたのしげにいくだろう
つめたい朝の空気に
とおいとおい見えない空のふかさが
その上に燃えているだろう

矢のゆくえを見守る人のように私は
もう何も見えないものを聴き知ろうとして
いつまでもうすあおい枝々のかげに
前掛けで手をふきながら
たたずみみつめているのだ


「朝になると」永瀬清子



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GROUP - Or
album 「Before Turning Off The Light」より





うすだ
by ouraiza | 2012-04-08 23:24 | みみずのふん(終了) | Comments(0)
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