2011/11/05 のむ
『The Illustrated Encyclopedia of COMMERCIAL AIRCRAFT』 英文
Bill Gunston 編
1980 Exeter社刊  
カバー全体的にシワ、後ろに破れあり。
3000円 販売中!!!


2011/11/05            のむ_f0035084_23134987.jpg2011/11/05            のむ_f0035084_2314335.jpg2011/11/05            のむ_f0035084_23141479.jpg





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♡今週のシネみち♡

1)◎◎『パブリック・ハウジング』'97米(フレデリック・ワイズマン監督)
2)◎1/2『おんなの河童』'11日独(いまおかしんじ監督 正木佐和 梅澤嘉朗 成田愛)
3)◎◎『シルクハットの大親分 ちょび髯の熊』'70東映(鈴木則文監督 若山富三郎 藤純子 伊吹吾郎 清川虹子 北竜二 )
4)◎1/2『シルクハットの大親分』'70東映(鈴木則文監督 若山富三郎監督 藤純子 伊吹吾郎 清川虹子 春川ますみ 遠藤辰雄 )
5)◎◎1/2『アジョシ』'10韓(イ・ジョンボム監督 ウォンビン キム・セロン他「キム」多数)
6)◎『ゴモラ』'08伊(マッテオ・ガッローネ監督)
7)◎◎1/2『子供の四季』'39松竹(清水宏監督 坂本武 吉川満子 河村藜吉 岡村文子 アメリカ小僧 日守新一 西村青児)
8)◎『比呂美 毛を抜く話』'81(鈴木志郎康監督 伊藤比呂美 ねじめ正一 四方田犬彦)

12:ユーロスペース 34:新文芸坐 5:ヒューマントラストシネマ渋谷 68:イメージフォーラム 7:DVD


2011/11/05            のむ_f0035084_342271.jpg『パブリック・ハウジング』
人生初ワイズマン。195分。監督来日やら『全貌フレデリック・ワイズマン』の刊行やらで、マニアの世界は大盛り上がり。果たして一本も観たことない自分なんかがおこがましくものこのこ行って入れるんだろうか、という気持ちもあったけれど、さすがに平日17:15の回でしかも195分の作品というのもあり、思ったよりも空いてました。本作は、イリノイ州シカゴ郊外の公共住宅の日常を住民だけでなく、様々な事業的視点から撮っているもの。低所得者の住むそれは、住民のほとんどが黒人。低所得ゆえに直面する問題、ドラッグや強盗などの犯罪、失業者が溢れるさま、が淡々とただ事実として映し出される。根底にあるのは問題提起なのですが、少し前のアメリカが単純に大好きな自分にとっては、アメリカの、普通(といっても本作は下級クラスの人々ですが)の民衆の様子が見れるだけで嬉しかったりするのです。ショックだったのは、本作は1997年に作られていて、1997年というと、ちょうど自分もアメリカに住んでいた時期なのですが、カラーがもう、古いんです。製作年を知ってて選んで観に行ったのに、観てるうち、これは70年代のアメリカかしら、と思えてくるほど古く映っている。これって、あえて監督がこういう風に撮ってるから、とかじゃないのかしら?97年って本当にもうこんなに古く見えちゃうのかしら、とショックでした。私の中の90年代のアメリカはこんなじゃないのに。。。。ワイズマン、作品の長さでスケジュールがなかなか合いませんが、まだあと何本かは観に行きたい。

2011/11/05            のむ_f0035084_34416.jpg『おんなの河童』
ピンクミュージカルと宣伝されていて、何となくガーリーなミュージカルを予想して観たら、「ピンク映画」だった。途中で「おや?」と思うほどセックスシーンがたくさんあって、上映後のトークショーで、「今日は女性のお客様にもいらして頂いて感激」されてそこで初めて自分が今観たものがピンク映画だったことに気づく。いや〜面白かった!何しろいまおか監督の他の作品を観た事がないので監督ファンとしては賛否が分かれる作品らしいのだけど、自分にとっては、絵も、音楽も、踊りも、好きでした。おそらくドイツ人女性がカタコトの日本語で歌う音楽が本当にツボで、その後数日は口ずさんでしまうほど。河童役の男の子のイケてなさが、愛おしい。

2011/11/05            のむ_f0035084_352719.jpg2011/11/05            のむ_f0035084_355752.jpg『シルクハットの大親分 ちょび髯の熊』『シルクハットの大親分』
この日のシルクハットシリーズ2本は、プリントが極美で。この頃の東映作品は退色激しいものが多いので、プリントが綺麗というだけで、顔が綻ぶ。作品も面白かったし、大満足!コミカルな若山富三郎、好きだなあ!両作品とも、緋牡丹のお竜さん(藤純子)の登場があまりに唐突でタイミング良くて、お客の笑いを誘う。でも藤純子本当に綺麗。先週観た『極道』で鶴田浩二が出て来た途端に引き締まったのと同様、B級の任侠映画にA級のスターが出るとやはりハクがつくのですなぁ。さあ、皆さんもご一緒に。右手を挙げて、顔の横に持って来て、「ニコニコニコ〜」!!

2011/11/05            のむ_f0035084_362087.jpg『アジョシ』
えー?韓流でしょ?ウォンビンでしょ?行っかないよ、そんなの〜!と思っている人にこそ勧めたい一本。自分も韓流にはうとく、ウォンビンと言われてもピンと来ないし顔もわからないくらいでしたが、いやはや、最高級の娯楽大作でした。アクションシーンは残酷なシーンもあって、目を覆いたいくらいの箇所もありますが、それよりもあまりの華麗さに見とれてしまう。ウォンビンは確かにヤバかっこ良い。自分は長髪の時の方が好き。でも、昔ファミレスでバイトしてた時、長髪ウォンビンそっくりな男の子、いたけどね。内田君っていうの。主演の女の子は『冬の小鳥』(未観)の演技も絶賛されていたキム・セロン。さすがの演技です。泣かされる。映画を観るという行為にはいろいろな目的や意味がありますが、たまには、本作のような完璧な現代のエンターテインメント作品を観て、スカっとするのも本当にいいもんです。観終わった後、今なら誰だってやっつけられると思った。アブないアブない!

2011/11/05            のむ_f0035084_364094.jpg『ゴモラ』
何だか話題作のようで。イメージフォーラムで何度も予告編を目にしていましたが、正直惹かれず、自分は多分観に行かないなと思ってたのですが、やはり公開されるといろんな人のレビューがツイッターで流れて来て、影響受け易い自分はすっかり観なければ!と鼻息荒く。でもやっぱり自分向きではなかったように思う。確かにイタリアで、というか世界にまで影響を及ぼしているイタリアの巨大犯罪組織「カモッラ」の内部が露に、という所でそういうウラ社会的な要素が大好きな人達には面白く観れるのかもしれない。ただ、仮にもフィクション映画を映画として楽しむにはある程度のわかり易さが必要なアタマの悪い自分のような者には、わかりにくくてしょうがない。5つの筋を絡み合わせながら一つの作品を作っているのですが、この5つの筋のそれぞれの主人公のうち、二人(仕立て屋と給料分配人)が非常に見た目が似ていて、こんがらがってくる。途中途中で流れるイタリアンポップ(というか演歌に近いのか?)音楽、ダサイんだこれが!予告編でも使われていて、音楽だけ聴くとイタリア映画じゃなくて、どこか中東とか文化的に発達してない国(差別かしらね・・)の映画と思ってしまうほど。などと、だいぶ叩いてしまいましたが、やはりドライな観点でこれだけの巨大な対象を撮っていて、この組織の怖さは充分解りますし、観ておいて損はなかったかな、とも思います。世界中で大絶賛のようですし。イメージフォーラム、何度か来てますが、これまででダントツのおじさま(マニアではなく普通にスーツ姿のサラリーマン)率。おそらく「二十一世紀のゴッドファーザー」という宣伝文句に惹かれたのでしょう。全然違いましたがね。あんなドラマ性はない。そこを期待していくと、2時間15分は苦痛です。これから観ようかな、と思ってらっしゃる方は、主人公らの顔をアタマに叩きつけ、かつドキュメンタリーを観るくらいの気持ちで行くと楽しめるかも。

2011/11/05            のむ_f0035084_371731.jpg『子供の四季』
秀逸。ため息が出る。これまで清水宏の子供シリーズを何本か観たが、これまでで一番感動したかも。登場人物一人一人それぞれの心情があり、描き方も丁寧で、もう、皆に感情移入してしまう。『子供の四季』という題名や、実際子供たちが泳いだり走ったりするシーンも多いことから、単なる田舎の子供が映っている映画と思っている人(←はっきり言ってこれ自分)もいるかもしれないが、何の何の。家業の紡績会社の乗っ取りやら、親戚同士のいがみ合いやら、そりゃあもう山崎豊子ばりの愛憎混ざりあいのとんでもないドラマなのです。それをここまでサラリと、広大な自然と共に爽やかに描き上げる清水宏は、やはり天才と呼ばれるに相応しいのだろう、と思わざるを得ません。河村黎吉は何しろすぐ死んでしまうのでアレですが、吉川満子は相変わらずの安定した御姿。吉川満子がよよ、と涙を流すだけでもらい泣きしてしまう。アメリカ小僧は、小僧三羽烏(突貫・爆弾)の中で一番顔が好み。

2011/11/05            のむ_f0035084_3153749.jpg『比呂美 毛を抜く話』
最近、知人に借りていた伊藤比呂美のヌードを石内都が撮ったフォト散文集『手・足・肉・体』という本を読んで。何となくこの作品と通じるものがあるのでは、と急遽観てみることに。最初は、伊藤比呂美がひたすら毛を抜く姿を撮ったドキュメンタリーなんじゃないか、と思っていたのですが、そうではなかった。伊藤比呂美が自分の「毛」というものに対する考察を延々とカメラに向かって(鈴木志郎康に向かって)話すというものだった。いやはや、この人ったらとってもへんてこな人!でも困ったことに、毛を抜くということに関して、このへんてこな人と共通する部分がたくさんある、自分!自分も毛を抜くのは嫌いじゃなく、毛を抜く女性はおそらくみんなそうじゃないかと思うんだけれど、抜くからには気合入れて抜くし、本当に根っこの方から根こそぎ抜けた時は快感だし、抜こうとした毛が途中で切れちゃったりするとほじくってまで毛抜きで捕らえ流血もする。さすがに伊藤比呂美のように、根こそぎ抜けた毛の毛根部のゼリー状になったものを口に含んだりはしないけれど。若き日のねじめ正一の朗読(褌姿で便器椅子に座って)が聴けたり、途中途中で挿入される鈴木志郎康の視点(あじさいや猫、都電など)も興味深かった。いとうぶーよん(だったかな)という比呂美さんの飼い猫がもー可愛くって!板橋の出身というのも、何となく親近感。(もっとも自分は現在の地元であって出身ではないですが。)


ノモラ
by ouraiza | 2011-11-05 23:14 | ノミムメモ(土曜) | Comments(0)
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