『かつて・・・』ヴィム・ヴェンダース
平成11年 3刷 PARCO出版 ※画像はビニールカバーをかけてあります。 約半分は写真。 あとがきが泣ける。 この本は厚田雄春にささげられる。 彼は1904年に生まれ、1992年この世を去った。 彼はその生涯の仕事を選んだときから、小津安二郎と一緒だった。 彼の映画に、初めはカメラ助手として焦点を合わせ、カメラをパンした。 それから、20年にわたるチーフカメラマンとしてのキャリアが始まった。 1962年、小津が死んだとき、 誠実の人厚田は、 そのカメラマンとしてのキャリアに終止符を打った。 ************************************************************************************************** ♡先週のシネみち♡ 1)◎1/2『銀座の女』'55日活(吉村公三郎監督 飯田蝶子 轟夕起子 乙羽信子 藤間紫 ) 2)◎1/2『煉瓦女工』'40南旺映画(千葉泰樹監督 矢口陽子 三島雅夫 徳川夢声 小沢栄 赤木蘭子 宇野重吉 滝沢修) 3)◎◎1/2『下町』'57東宝(千葉泰樹監督 山田五十鈴 三船敏郎 淡路恵子 村田知栄子 多々良純 田中春男) 4)◎1/2『駆けだし刑事』'64日活(前田満洲夫監督 伊藤雄之助 長門裕之) 5)◎『気違い部落』'57松竹(渋谷実監督 伊藤雄之助 淡島千景 伴淳三郎 山形勲 石浜朗 水野久美 三井弘次 藤原釜足 清川虹子 森繁久彌) 6)◯『赤い水』'63大映(山本薩夫監督 伊藤雄之助 船越英二 八波むと志 川崎敬三 城健三朗 森光子 中田康子 宇野重吉 山茶花究) 7)◎『極道』'68東映(山下耕作監督 若山富三郎 大木実 清川虹子 鶴田浩二 菅原文太 待田京介 山城新伍) 8)◎1/2『極道VSまむし』'74東映(中島貞夫監督 若山富三郎 菅原文太 川地民夫 清川虹子 三島ゆり子) 1:フィルムセンター 23:神保町シアター 456:ラピュタ阿佐ヶ谷 78:新文芸坐 『銀座の女』 銀座で芸者小屋を経営するおかみを始め、そこに住む芸者達のさまざまな経緯、挫折、諦め、そして再生。出演していることすら知らなかった飯田蝶子が冒頭いきなり画面に現れた瞬間、喜びで身悶え。そのまま何とタイトル、クレジットを挟んで約10分間独演状態!三味線と唄まで披露。芸者見習い女中の少女が故郷帰りたさに小屋に放火し捕まるシーンなどホロリとさせられたが、おかみと芸者たちが、小屋は焼けたが明日からまた頑張ろうという所で終わるので、観後感は悪くない。轟夕起子、強し。その他見所、殿山泰司が警察署長役で出ており、推理小説好きで、読書中のエラリー・クィーンの『Xの悲劇』が次のシーンでは『Yの悲劇』になっていたり。猫が登場するのだが、金子信雄が猫を抱いている姿が何となく可笑しかったり。 『煉瓦女工』 横浜鶴見の貧しい集落が舞台。そこに住む少女の目を通して描かれる、貧しいながらもたくましく生きて行く人々。主人公の矢口陽子は、のちの黒澤明夫人。眩いばかりの可愛さ。少女と交流のある朝鮮人一家の母役原泉子は、中野重治夫人。この映画でも猫がでてきたが、徳川夢声だったか小沢栄だったかに放り投げられ、その瞬間ひええと息を呑む。三島雅夫は主人公の父親役。髪の毛、アリ!大工で貧乏なのにやりたくない仕事はしない。妻に文句を言われるも、「なァに、そのうち家の一軒くらい建ててやらァね」と飄々としていてステキ。貧しいなりに、もちろん悲劇も起こるけれど、特に子供たちの健気さで、湿っぽくないのが、いい。 『下町』 ウワサに違わず、の名作。たかだか一時間の作品とは思えない。もちろんあっという間なんだけど、一時間しかない作品とは思えぬ深い感動。三船敏郎は、戦争から帰還したら妻はすでに他の男とデキていた、という男やもめ。山田五十鈴は、夫がシベリア抑留で行方知れず、幼い一人息子をかかえて幼なじみのアパートに身を寄せている。このアパートというのが事実上売春宿みたいなもので、宿のおかみで抜け目のない幼なじみ役に村田知栄子、そのダメ亭主に田中春男、村田知栄子のパトロンで山田五十鈴を妾にしようと企むスケベじじいに多々良純、長患いの夫の療養のため体で稼ぐ淡路恵子、これ以上は望めまいというキャスティング。涙なしでは観れないと聞いてたけれど、自分は、ラスト呆然としすぎて結局涙出ず。山田五十鈴、個人的には、見た瞬間に美人と思う顔ではないのだけれど、大体どの作品においても、うわっと思う瞬間があって、本作では、三船敏郎と息子と雨宿りした旅館に泊まるシーン、布団の中左向きに横たわる五十鈴の顔を斜め上から撮ったショットが、この世のものとは思えない美しさだった。 『駆けだし刑事』 乾いたタッチの刑事ドラマもの。モノクロ画面がカッコいい。長門裕之の駆け出しっぷりが微笑ましい。ジャズテイストの音楽もよかった。伊藤雄之助の、ベテラン刑事で、でも花を愛し、職場でもせっせと花を世話するというギャップがステキ。かあちゃんが喜ぶから、と不器用に新入りの長門裕之を家に誘うシーンにほっこりする。結局、二人にとって身近な人を巻き込む結果となった殺人事件、苦いエンディングが心地よい切なさで、マル。 『気違い部落』 あの、かの有名な、というので期待しすぎっちまったかな〜。キャスト的にみても、もうちょっとコメディタッチなのかと思ってたら、意外にシリアス。冒頭の森繁がナレーションを始めたときはワクワクしたんだが。伊藤雄之助と山形勲の顔がでかすぎて、三井弘次と藤原釜足が貧相に見えること!水野久美のデビュー作とのことだが、もうすでに「水野久美」で、さほど初々しさは感じられず。三好栄子の婆っぷりや、細かい所で笑えはするも、全体的には、部落の閉塞感、村八分など、暗さが根底にあり、ラストも含め観ていてそんなに楽しいものではなかった。 『赤い水』ひょんなきっかけで寺の敷地内から湧き出た赤い水をめぐっての、ドタバタ風刺喜劇。キャストが豪華な割に、自分的にはあまり笑えず。何度かウトウト。。。伊藤雄之助扮する乱杭歯むき出しのインチキ臭い坊主は、確かに珍演。苦手な森光子が出ていたけれど、そんなに出番も多くなく、さほど気にならなかった。 『極道』 フィルムの退色がひどく、どピンク映画状態。結構コマも飛んでたし。残念ですが、まあ東映作品にはよくあること。作品的には、楽しめた。ハード任侠があまり得意ではない自分なんかには、これぐらいコメディ要素が高いと助かる。といっても、愛しの鶴田浩二が登場してからは、グッと引き締まり、ラストの殴り込みまでの流れもコテコテ任侠でしたが。チラシにも書いてあるが、女房清川虹子との濃厚チューが定番ネタらしいが、確かにスゴい。「ほな、チューしよか」、て! 『極道VSまむし』 これも笑えたなあ!富三郎のヅラ付き帽子姿が、知り合いの人に激似で、お腹が痛かった。任侠に強くない自分は、菅原文太のまむしシリーズも観たことがなく、それに慣れ親しんでる人達に比べると、キャラ的な遊び心が充分汲めなかったかもしれないけれど、充分笑わせていただきました。清川虹子の老け度がすごすぎてコワかった。。。 若山ノム三郎
by ouraiza
| 2011-11-01 22:14
| ノミムメモ(土曜)
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