食べものエッセイ集
『味見はるあき』刊行記念
き む ら ゆ う こ
木 村 衣 有 子 写 真 展
9/1(水)—9/20(月)
於/古書往来座小景
(古書往来座小景は古書往来座店内2.5メートルの板の上の小さな展示場です。)
「木村衣有子の野営 ~観音うらメモ」
木村さんが往来座を雑誌に紹介してくださったり、木村さんと仙台で飲んだり、目白で飲んだりしていたら、ポポタムさんでの飲み会中に、木村さんと立ち話をしていたうちでアルバイトをしてくれている古書文箱うすだ王子がすっとぼくの横に来て、「あの、木村さんの写真展、やりませんかやりましょうよ」と言った。んえ!と驚き、意表をつかれた。そういう大胆なことを思いつけなくなって数年経つ、という自覚がある。そういう、店内における今までにやってないことでやってみればできるんじゃないか、ということを唇を開いて口に出すまでに、のどの奥のマンホールのフタが重くて持ち上がらない自覚がある。どうしてこう固くなっていくんだろうか、それはとてもいけないことかもしれない、と内心思っているので、木村さんの写真展の話が、とてもありがたく思えた。
以前、なんの流れだったか、木村さんが持参なさっていたスナップ集をみせていただいたことがある。とても驚いた。ぼくたちが何気なく写真だ記念だ景色だきれいだ、と言っているものとぜんぜん違った。何気なくない木村さんをなかなか想像できないので、木村さんも何気なく撮っているのかもしれない。しかしなんというか、意味がある、というか物語がある、というか、狙いがあった。考える意味でなく、冗長な物語でなく、あけすけな狙いではなかった。ぼくは今までが恥ずかしくなった。少し前に刊行された『大阪のぞき』(京阪神エルマガジン社)の写真、知らずにうわいいな、と思ったのだが、それらも木村さん御自身による写真だった。
王子ががんばって、武藤良子さん文字書、星燈社山本さんデザイン協力、のちらし(右画像)が近日中にできる。
雑司が谷アミで飲みながら、狭くて小さくて少ないけど一応展示する場所・・・どう名付けようか数名で会議した結果、ヨコチンとかコチンとかチクビとか(他忘却)の候補のなかから、「小景」ということになった。古書往来座小景。横幅2メートル50センチ、奥行き26センチの板の上。本棚を1段はずし、スチール棚の横板に合わせて溝が掘られた天板を乗せた。そして、7回裏の右中間を破るスリーベースヒットぐらい上出来な仕掛けなのだが、防犯用のワイヤーが仕込んであるのです。