2010/6/19   のむ
2010/6/19   のむ_f0035084_23345479.jpg暮しの手帖 1世紀〜4世紀 100円〜300円 販売中!!




今週のシネみち
新文芸坐「溝口健二特集」にて。
◎『雨月物語』(田中絹代 森雅之 京マチ子 小沢栄 水戸光子)
◎◎『西鶴一代女』(田中絹代 三船敏郎 宇野重吉 進藤英太郎 大泉滉 沢村貞子)
◎『夜の女たち』(田中絹代)
△『楊貴妃』(京マチ子 森雅之 進藤英太郎 山村聡 小沢栄 杉村春子)再観
◎◎『祇園囃子』(木暮実千代 若尾文子 浪花千栄子 進藤英太郎 菅井一郎)

◯『春琴抄 お琴と佐助』(島津保次郎監督 田中絹代 高田浩吉)CS

少し前の新藤兼人特集で『ある映画監督の生涯 溝口健二の記録』を観て、溝口健二作品が観たくなり、楽しみにしていた今回の特集。好き嫌いはともかくも、二大名作が観れて嬉しい。
『雨月物語』森雅之に惚れぼれ・・・この年(1953)公開の映画が8本もある。マーくん大忙し。妖艶な京マチ子もよかったが、田中絹代扮するしっかり者の嫁、宮木が素晴らしい。幽玄な世界が見事に表現されていて、この頃の大映の美術がスゴいと言われているのも納得。『ある映画監督〜』の中で田中絹代が「難しかった」と話していたシーンなど、あぁこれが、と感慨深かった。
『西鶴一代女』はもう、田中絹代礼賛に尽きるだろう。何しろ13歳から50過ぎの娼婦まで演じているというのだから。実年齢は当時42歳。まぁ、13歳は無理があったか・・・。一度は大名の妾として子まで授けながら、何の因果かどん底まで落ちていく、悲しい女の一生涯。父親(菅井一郎)の駄父っぷりが観てて腹立たしいが、この人がやると憎めず。世襲した自分の子を一目見る機会に恵まれるも、目の前を通り過ぎる子に見向きもされずそれを追いかける姿には胸が痛んだ。娼婦になった時の化け猫のマネは、ちょっと・・・。
『夜の女たち』絹代は戦争未亡人のパン助。『西鶴〜』での娼婦といい、絹代の娼婦役には見た目的にやはり違和感がある。ただ、その違和感こそが、そこまで落ちなければならなかった悲しい女の性を引き立たせているとも思える。大阪のパンパン達が力強く描かれている。最後、寸での所でパンパンになるところだった義理の妹を説得し、仲間に殴られながら自分も更生するシーンはグッときた。
『楊貴妃』は去年の京マチ子特集で観たが、再度。一度観た映画も、少し時間が経ってから再度観ると、確実により多くの俳優を見知っており、また楽しい。とはいえ、作品的には面白くないんですけど。90分しかないのに、3時間くらいに感じられ。何度かウトウト・・・。き・・・ひ・・・。
『祇園囃子』は面白かったなぁ!若尾文子演じる16歳の舞妓姿の可愛らしいこと。浪花千栄子の女将、真骨頂。まだそこまで老いておらず、女の色気もあったりして。京都の祇園言葉にウットリ。へぇ、おぉきに。よりによって若尾文子に手を出すのが河津清三郎というのが可笑しかった。接吻されそうになり河津の唇を噛み切る若尾文子に拍手。妹分の若尾文子を守っていく覚悟を決めた木暮実千代の「栄子ちゃんの旦那はんは今日からアタシや。」というセリフがよかった。みちよーっ!
『春琴抄〜』特記なし。

今週のアカデミチ助演女猫賞は、『西鶴一代女』のタマに決定。田中絹代に嫉妬して意地悪をした沢村貞子の頭頂のヅラを見事にくわえて絹代のもとに持ってくる、冴えた演技に釘付け。

溝みち健二
by ouraiza | 2010-06-20 01:45 | ノミムメモ(土曜) | Comments(0)
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